1. オフショア開発におけるテスターとは?
開発プロジェクトにおける「テスター」とは、開発したシステムやソフトウェア、アプリケーションが仕様書に記載された通りに動作するか、意図していない動作が発生していないかを確認する職種です。
「オフショア開発におけるテスター」とは、オフショア開発のテスト工程を担当するエンジニアを指します。職務内容は通常のテスターと変わりませんが、日本人ではなくオフショア先の外国人テスターである場合が多いです。
開発プロジェクトにおける「テスト」には以下のような種類があります。
- 単体テスト
- 結合テスト
- システムテスト
- 受け入れテスト
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「オフショアテスト」とは、開発プロジェクトにおけるテストを、日本人エンジニアではなく海外のエンジニアに依頼して実施することです。オフショア開発と同様にテストを海外のエンジニアに任せることで、テスト工程にかかるコストを削減できます。
また、近年では自社で開発を行いテスト工程だけ他の企業へ依頼するケースや、開発を依頼した会社とは別の企業へテスト工程だけを依頼する「第三者検証」を導入するケースが増加しており、低コストでテストを実施できる「オフショアテスト」の利用が増加しています。
オフショア開発サービスを提供している企業の中には、開発のためのエンジニアだけでなくテスト専門のテストエンジニアを確保している企業も多いです。開発サービスとは別にテストサービスを提供しているケースや、開発エンジニアとテストエンジニアの両方をひとつのチームとして提供するケースもあります。
2. オフショアテストサービスを利用するメリット
自社でソフトウェアテストを行ったり、日本国内の企業にテストを委託せず、オフショアテストサービスを利用するメリットは以下の通りです。
- システム開発のコスト削減につながる
- 開発リソース不足の解決策になる
- 急なテストエンジニアの増員にも対応できる
- 効果的なテストを実施できる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
2-1. システム開発のコスト削減につながる
オフショアテストサービスを利用する1つ目のメリットは、システム開発のコスト削減につながることです。なぜなら、テスト工程はシステム開発の工程の一部であり、日本のテスターより海外のテスターの方が人件費が安いからです。
一般的なシステム開発の工程は以下の通りです。
- 要件定義
- 外部設計
- 内部設計
- コーディング
- テスト
- リリース
- 運用・保守
テスト工程にかかるコストを削減できれば、システム開発全体のコスト削減につながります。
2-2. 開発リソース不足の解決策になる
オフショアテストサービスを利用する2つ目のメリットは、開発リソース不足の解決策になることです。
日本国内ではエンジニアが慢性的に不足している状況が続いており、開発エンジニアだけでなくテストエンジニアも不足しています。
一方、アジア諸国を中心とした海外では開発エンジニア・テストエンジニアの数が増加しています。そのため、日本国内の開発リソース不足の解決策としてオフショア開発やオフショアテストが活用されているわけです。
2-3. 急な増員にも対応できる
オフショアテストサービスを利用する3つ目のメリットは、急な増員にも対応できることです。
日本国内でテストエンジニアを確保する場合は、急な増員に対応できないこともあるでしょう。一方、オフショアテストを利用する場合なら、日本と比べてテストエンジニアの母数が多いため、急な増員が必要になった場合でも、リソース確保を容易に行えます。
2-4. 効果的なテストを実施できる
オフショアテストサービスを利用する4つ目のメリットは、効果的なテストを実施できることです。
要件定義から外部設計、内部設計、コーディング、テスト、リリース、運用・保守まで、開発の工程のすべてを同じ企業へ依頼した場合、開発者の先入観から不具合を見落としてしまう恐れがあります。
一方、開発を依頼した企業とは別の企業へテストを依頼(第三者検証)すれば、専門性の高い、極めて客観的なテストを実施できるため、開発当事者では気づきにくい不具合や欠陥を発見できます。また、ソフトウェアテストに特化した企業なら、豊富な実績とノウハウから効果的なテストを実施できるでしょう。
3. オフショアテストサービスを利用するデメリット
オフショアテストサービスを利用するデメリットは以下の通りです。
- コミュニケーションロスが起こりやすい
- 求めている品質基準が異なる場合がある
それぞれのデメリットについて詳しく解説します。
3-1. コミュニケーションロスが起こりやすい
オフショアテストサービスを利用する1つ目のデメリットは、コミュニケーションロスが起こりやすいことです。
日本人テスターに依頼すれば、母国語同士でスムーズにコミュニケーションが取れるため、認識の齟齬が発生する可能性は極めて低いでしょう。
一方、オフショアテストの場合、実際にテストを実施するのは海外のテスターのため、仕様書に書かれた通りのテストは実施できても、依頼者の意図を正確に理解できない場合があるかもしれません。オフショアテストを依頼する場合は、テスターとの認識の齟齬が発生しないように、委託先と定期的にコミュニケーションを取りましょう。
3-2. 求めている品質基準が異なる場合がある
オフショアテストサービスを利用する2つ目のデメリットは、求めている品質基準が異なる場合があることです。
たとえば、ページに設置したボタンの反応速度が0.3秒だった場合、反応速度が遅いとするか問題ないとするのかはテスター次第となります。明確な基準を提示していなかった場合は、仕様通りに機能したと判断され、課題として報告されないかもしれません。オフショアテストを依頼する場合は、自社が求める品質基準を明確にして、仕様書に落とし込むようにしましょう。
4. オフショア開発でソフトウェアテストを依頼できる企業6社
オフショア開発でソフトウェアテストを依頼できるおすすめの企業は以下の6社です。
1. オルグローラボ株式会社
2. SHIFT ASIA CO., LTD.
3. バルテス株式会社
4. Japan Quality Co., Ltd.
5. Lotus Quality Assurance Joint Stock Company
6. GMOランシステム株式会社
それぞれの企業の概要からおすすめポイントまで詳しく紹介します。
4-1. オルグローラボ株式会社
オルグローラボ株式会社は、ラボ型オフショア開発サービスやコーディングスクール運営、エンジニア採用支援を展開している企業です。
オススメのポイント
- お問い合わせから最短1日でプロジェクトの開始が可能
- 月額料金はエンジニアの給与とサービス費のみ
- 業務システムやWEBアプリケーション、スマートフォンアプリなど豊富な開発実績
会社名 | オルグローラボ株式会社 |
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URL | https://allgrow-labo.jp/ |
TEL | 03-5784-4330 |
本社所在地 | 東京都渋谷区神泉町10-10 VORT渋谷神泉ビル 6階 |
設立年 | 2014年 |
事業内容 | 【ラボ型オフショア開発事業】 ソフトウェア開発、Web開発、モバイルアプリ開発、 WEB制作、ECサイト構築、業務系システム開発、 各種運用保守、QA(品質保証)など ※参考 PHPプログラマー:約230,000円/月~ HTMLコーダー:約175,000円/月~ Reactエンジニア:約290,000円/月~ 【コーディングスクール事業】 【エンジニア採用支援事業】 |
4-2. SHIFT ASIA CO., LTD.
SHIFT ASIA CO., LTD.は、ベトナムのハノイとホーチミンに拠点を持つオフショア開発会社です。エンタープライズ向けソフトウェア開発やWebサイト/LP制作、Web/モバイルアプリケーション開発、PoC/MVP開発などの受託開発を行っています。
オススメのポイント
- 標準化されたテスト手法と900以上のテスト観点を組み合わせた非属人化されたテスト手法
- 単体テストから結合テスト、システムテスト、受入テストまで対応
- 最適な端末や環境の組み合わせでテストを実施
- ISTQBの認定を受けた経験豊富なテスターが100人以上在籍
会社名 | SHIFT ASIA CO., LTD. |
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URL | https://shiftasia.com/ja/ |
TEL | (+84) 28-3822-3341 |
本社所在地 | 130 Suong Nguyet Anh Street, Ben Thanh Ward, District 1, HCMC, Vietnam. |
設立年 | 2016年 |
事業内容 | ソフトウェアテスト・品質保証 ソフトウェア開発 |
4-3. バルテス株式会社
バルテス株式会社は、ソフトウェアテスト支援やマイグレーションテスト支援、アジャイル開発テスト支援、テスト自動化支援、品質コンサルティング、モバイルアプリ/Web開発などを行っている企業です。
オススメのポイント
- ブリッジSEによる日本語でのコミュニケーションが可能
- ISTQBの資格を取得したテスターが在籍
- AnyTestを利用した多端末テストを実施
会社名 | バルテス株式会社 |
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URL | https://service.valtes.co.jp/s-test/service/offshore/ |
TEL | 06-6534-6561 |
本社所在地 | 大阪市西区阿波座1-3-15関電不動産西本町ビル8F |
設立年 | 2004年 |
事業内容 | ソフトウェアテストサービス 品質コンサルティングサービス ソフトウェア品質教育サービス セキュリティ・脆弱性診断サービス その他品質評価、品質向上支援サービス |
4-4. Japan Quality Co., Ltd.
Japan Quality Co., Ltd.は、ヒューマンクレストグループのベトナム現地法人として2015年に設立された、ベトナムのダナンに拠点を構えるテスト・QAを専門とする会社です。
オフショアテストサービス事例;
・基幹システムの機能テストと負荷テスト
・アジャイル開発におけるテスト支援
・WEBサービスの機能テスト
オススメのポイント
- 基幹系システムからWebサービス、モバイルアプリ、IoT製品まで対応
- テスト担当者と直接日本語でやり取りできる
- 古い端末から最新の端末までAndroidとiOS合わせて約80端末でテストを実施
- 10名のエンジニアがISTQBを取得
会社名 | Japan Quality Co., Ltd. |
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URL | https://www.vn.japanquality.asia/ |
TEL | +84-236-3981-399 |
本社所在地 | 16F, Da Nang Software Park, 02 Quang Trung, Thach Thang ward, Hai Chau district, Da Nang City, VIET NAM |
設立年 | 2015年 |
事業内容 | マニュアルテスト Lynx RakAPIt 負荷テスト リバーステスティング QAサポート |
4-5. Lotus Quality Assurance Joint Stock Company
Lotus Quality Assurance Joint Stock Companyは、2016年にLotus Groupが設立した、ベトナムの第三者保証会社です。
オススメのポイント
- 厳しい品質保証プロセスに準拠したソフトウェアテストサービスを提供
- ISTQB・PSM・PMPを取得したテスターがテストを実施
- 理論だけでなく実践的なスキルや知識を身に付けた人材を提供
会社名 | Lotus Quality Assurance Joint Stock Company |
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URL | https://jp.lotus-qa.com/qaservices/ |
TEL | (+84) 24-6660-7474 |
本社所在地 | 14th Floor, MHDI Building., 68 Nguyen Co Thach St., Nam Tu Liem Dist., Hanoi, Vietnam |
設立年 | 2016年 |
事業内容 | テストサービス 品質管理パッケージ マネージドQAサービス |
4-6. GMOランシステム株式会社
GMOランシステム株式会社は、GMOインターネットグループの一員で、日本・ベトナム市場向けソフトウエアのオフショア開発を行い、情報技術のソリューションサービスを提供している会社です。
オススメのポイント
- 日本語と英語に対応できる80名以上のテストエンジニアが在籍
- テスト上流から下流までトータルサポート
- 様々なプラットフォームでの検証実績が豊富
会社名 | GMOランシステム株式会社 |
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URL | https://runsystem.net/ja/testing-service/ |
TEL | 03-5962-0056 |
本社所在地 | 東京都渋谷区桜丘町26番1号 セルリアンタワー9F |
設立年 | 2007年 |
事業内容 | オフショア開発 web開発 業務アプリ開発 スマートフォンアプリ開発 |
5. オフショアテストサービスを利用する際のポイント・注意点
オフショアテストサービスを利用する際のポイント・注意点は以下の通りです。
- 日本企業との実績があるかをチェックする
- 仕様書や契約内容は詳細まで定めておく
- 開発のブラックボックス化を防ぐ
それぞれのポイント・注意点について詳しく解説します。
5-1. 日本企業との実績があるかをチェックする
オフショアテストサービスを利用する際のポイント・注意点の1つ目は、日本企業との実績があるかをチェックすることです。
海外のエンジニアにオフショアテストを依頼する場合、コミュニケーションが課題になります。日本語特有のニュアンスが理解できなかったり、作成したドキュメントが間違って翻訳されていたりすると、テストが適切に実施されません。日本企業との実績が豊富な企業であれば、言語面での問題を発生させないためのノウハウが蓄積されている場合が多いです。ブリッジSEや日本語が話せるスタッフ・エンジニアがいるかについても事前に確認しておきましょう。
また、スマートフォンやタブレット用にアプリの多端末テストを実施する場合、日本で広く使われている端末での動作確認が必要です。日本企業との実績が豊富な企業なら、優先してテストする必要のある端末はどれかを把握しており、用意している端末の数も多いでしょう。
5-2. 仕様書や契約内容は詳細まで定めておく
オフショアテストサービスを利用する際のポイント・注意点の2つ目は、仕様書や契約内容を詳細まで定めておくことです。
テスト仕様書とは、どのような手順でソフトウェアテストを実施するのかを記載したドキュメントです。テスト仕様書があいまいな内容だと、何を確認するテストなのかを正確に理解できなかったり、テストを実施する際に誤った解釈をしてしまったりする恐れがあります。たとえば、テスト仕様書に「正しく動作する」と書かれている場合、発注側と委託先のあいだで「正しい動作」の解釈が異なる可能性が考えられます。テスト仕様書や手順書、契約書を作成する際には、詳細な内容まで具体的に定めておきましょう。
5-3. 開発のブラックボックス化を防ぐ
オフショアテストサービスを利用する際のポイント・注意点の3つ目は、開発のブラックボックス化を防ぐことです。
「開発のブラックボックス化」とは、委託先企業がどのように開発を行っているのか、どこまで開発が進んでいるのかなど、発注側に情報が伝わらない状態を指します。請負型開発の場合、納期までに仕様通りの成果物が納品されるため、開発のブラックボックス化は大きな問題とはなりません。一方、ラボ型開発の場合、開発のブラックボックス化は開発する製品・サービスの品質や開発期間、開発コストに大きく影響します。開発を任せきりにしておくと、自社の求める品質とはかけ離れていたり、開発ペースが予定より大幅に遅れてしまうかもしれません。
上記はオフショア開発の課題ですが、オフショアテストにも当てはまります。また、ラボ型オフショア開発ではテスト工程を含めて依頼するケースもあります。オフショアテストを依頼する際には、定期的に進捗状況を確認し、品質が求める水準に達しているかをチェックすることが重要です。また、委託先の作業がブラックボックス化しないよう、適切な管理を行う必要があります。
6. まとめ
今回は、オフショア開発におけるテスターの役割とオフショアテストとは何かについて解説しました。
オフショアテストサービスを利用するメリット・デメリット、利用する際のポイント・注意点は以下の通りです。
メリット | システム開発のコスト削減につながる 開発リソース不足の解決策になる 急な増員にも対応できる 効果的なテストを実施できる |
テデメリット | コミュニケーションロスが起こりやすい 求めている品質基準が異なる場合がある |
ポイント・注意点 | 日本企業との実績があるかをチェックする 仕様書や契約内容は詳細まで定めておく 開発のブラックボックス化を防ぐ |
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