オフショア開発

2023.06.06

オフショア開発におけるコミュニケーションの課題とは?具体的な解決策を解説

オフショア開発におけるコミュニケーションの課題とは?具体的な解決策を解説

オフショア開発での課題に、コミュニケーションの問題があります。日本企業と開発先がうまくコミュニケーションを図れなければ、開発プロジェクトも計画通りに進まず、コストオーバーや納期遅延といったリスクにつながり、オフショア開発の失敗という可能性もあり得ます。コミュニケーションにおいての課題やその解決策について解説いたします。

目次

    1. オフショア開発におけるコミュニケーションの課題とは

    オフショア開発には、コミュニケーションの課題がよく挙げられます。具体的にどのような課題がありコミュニケーションに影響しているのか、詳しく解説していきます。

    1-1. 言語の壁

    オフショア開発でまず問題となるのが、言葉の壁です。英語や日本語でのやりとりが可能な国を選定したとしても、どちらかあるいは両方が母国語ではないため、言葉の壁を感じるシーンは多々あります。

    打ち合わせや指示出しなど、日本人同士のやりとりという訳にはいかず、細かい表現ができなかったり、誤って認識されてしまったりといったケースが発生します。

    また、仕様書や要件定義書を作成した後に、翻訳作業が必要となりその分の工数やスキルが必要になります。途中に仕様変更があった場合も、翻訳作業をはさむため、タイムリーな指示が困難になると言えます。

    言葉の壁があることで、些細な翻訳作業のミス、エンジニアへの伝達不足などの問題が生じるリスクが高まってしまうのです。その結果、成果物の完成度や納期に大きく影響する事態を巻き起こしてしまう可能性があります。

    1-2. 文化の壁

    日本では当たり前のことであっても、海外では全く異なるのが文化です。歴史的な背景や環境が異なることで、文化の壁を感じることも多いでしょう。

    例えば、宗教によっては礼拝義務があるため勤務時間中であっても仕事ができない時間帯があったり、旧正月があるため長期連休のタイミングが日本と異なったりします。

    日本の文化を前提に開発を進めてしまうことで、業務に支障をきたすということが発生する可能性があります。

    1-3. 国民性・商習慣の壁

    国民性や商習慣の違いも理解しておかなければいけません。とくに時間や納期に対しての意識の差は大きいと言えます。

    日本人であれば、納期を厳守することは当たり前のこととし、納期が遅れそうと判断した場合には、なんとか間に合わせるよう対策するはずです。残業や休日出勤で補うといった企業もまだまだ多いことでしょう。

    しかし海外では、納期はあくまで目安として捉えており、納期に間に合わなければ遅らせればよいと考える国も散見されます。また納期だけではなく、仕事や成果物に対しての意識にギャップがあるのです。

    また知らないことを恥ずかしく思い知っているように振る舞う、注意されるのが苦手といった国民性の場合もあります。国民性の違いを把握しておかなければ、コミュニケーションに大きく影響する可能性があります。

    1-4. 物理的な距離の壁

    オフショア開発先は日本からも比較的近い、東南アジアであることがほとんどです。とはいえ物理的に距離があり、往復にも時間を要し時差も発生します。日本では直接顔を合わせたほうがコミュニケーションを図りやすいといった風潮があります。

    コロナ禍以降、オンラインでの顔合わせや打ち合わせに抵抗がなくなり、今では積極的に取り入れられるようになりました。しかしオンラインだけで完全なコミュニケーションをとることは、まだまだ難しいと感じている方も少なくありません。

    ネット環境が悪く会話が思うようにできないことや、画面越しでは相手の反応が分かりづらいなど、コミュニケーションにストレスを感じることもあるでしょう。

    また、どちらかが就業時間外にトラブルがあった場合にも、時差が弊害となってしまうことも考えられます。

    2. オフショア開発におけるコミュニケーションに必要なスキル

    オフショア開発でコミュニケーションのために、必要なスキルをご紹介します。語学力をいちから身につけることは難しいですが、思考の変化や工夫によって習得できるスキルもあります。

    2-1. 英語スキル

    言葉の壁を克服するには、一番は英語スキルといって良いでしょう。日本企業か開発先のどちらかに現地語や日本語をネイティブに話せる人がいれば言葉の壁は低くなりますが、日本語が可能な現地人は重宝されるため、人件費も高いと言えます。

    英語スキルを持っていれば、あらゆる国とのオフショア開発において英語を共通語にしている国も多いため、コミュニケーションを図りやすいといったメリットがあります。現地語や日本語ではできなかったやりとりも、英語が補助の役目を果たす場合もあります。

    2-2. 相手の立場に立って物事を考える力

    日本の常識を押しつけず、現地の文化や商習慣を理解して寄り添う姿勢が必要です。文化や商習慣の違いなどから、「忙しそうで相談しづらい」「頼らなくても一人でできる」といった思考が働いてしまうことは、あらゆるシーンで考えられます。

    トラブルが発生した際に、なぜ報告や相談をしなかったのかと後から責め立てるのでは逆効果です。困ったことやトラブルが起こった時のため、すぐに相談や報告ができる環境作りが大切です。

    指示出しをしたら認識に違いがないか確認する、疑問点や課題をタイムリーに解決できるよう、こまめに定例会を設けるなど、相手が不安なく仕事を進めやすいようにすることが大切です。

    2-3. 忍耐力

    言葉や文化、国民性・商習慣・物理的な距離といったあらゆる壁があるため、すぐに円滑なコミュニケーションがとれ、スムーズに開発プロジェクトが進むわけではありません。

    「言わなくても理解してもらえる」「伝えたつもり」という前提でいると、意図したとおりに相手に伝わっておらず、思わぬ結果につながるということはよくあるケースです。

    そんなときにいらだってしまったり、日本での常識を押しつけてしまったりすると、相手方からも敬遠され決してプロジェクトはうまくいかなくなります。

    オフショア開発は、開発者に理解してもらうように工夫して伝わるようにすることが大切です。コミュニケーションに要する手間や時間は、国内の開発に比べると増えるでしょう。

    プロジェクトに変更が発生したら、開発者に間違いなく伝わるよう仕様書を慎重に変更し、理解したか確認する作業が必要になってきます。何回も、「伝える・聴く」を繰り返す忍耐力が必要となってきます。

    3. オフショア開発におけるコミュニケーション課題の解決策

    オフショア開発におけるコミュニケーションの課題を解決する方法をご紹介します。

    3-1. 日本語習得者が多い国を選ぶ

    オフショア開発先の国によっては、日本語を習得してネイティブに話せる人が多い場合もあります。その国の歴史や日本との関係性、また日本の文化やビジネスに興味を抱いたなど、さまざまな背景があります。

    オフショア開発先として歴史の長い中国や、親日国であるベトナムは日本語を習得している人が多い国です。現地の言語や英語に不安がある場合には、日本語習得者が多い国を選べば不安を少なくできます。

    また日系のオフショア開発企業を選べば、日本人エンジニアが在籍している場合もあります。その場合には、日本語でのコミュニケーションが可能となり、課題を軽減できるようになるでしょう。

    3-2. ブリッジSEやプロジェクトマネージャー(PM)の質を見極める

    オフショア開発では、ブリッジSEやプロジェクトマネージャー(PM)の存在が重要です。

    日本企業と現地国で開発を担当するエンジニアの間には、ブリッジSEやPMが入り、双方の橋渡し役となります。日本企業の意向をエンジニアに指示し、エンジニアからの報告を日本企業に共有します。ブリッジSEはエンジニアを取りまとめる役割があり、PMはプロジェクトの責任者で、同じ人が担うこともあります。

    ブリッジSEやPMが、語学が堪能でコミュニケーションに問題がなければ、言葉の壁といった不安はある程度解決できます。言語能力だけではなく、文化や国民性などにも理解が深く、プロジェクト実績もあればより一層良いでしょう。

    3-3. 文化・国民性の違いを受け入れる

    オフショア開発先の文化や、国民性の違いを理解し受け入れることが大切です。

    日本の企業にとって常識であることも、海外ではその常識は通用しません。世界から見れば日本人の仕事に対する意識は独特であるとも言えます。そのためオフショア開発の国はどのような国民性か、仕事に対する意識や姿勢などをリサーチしておきます。

    そうすることで、ある程度のトラブルが起こってもカルチャーショックの負担を減らし、工夫次第でトラブルを未然に防ぐことが可能になります。文化や国民性を知ることは、プロジェクトの向き・不向きを判断できる材料となるかもしれません。

    3-4. 曖昧な表現を避けたコミュニケーションを取る

    曖昧な表現では意図した通りに伝わりません。

    日本人ははっきりとした物言いが苦手な国民です。相手を思って直接的な表現をしないように、気付かないうちに曖昧な表現をしているのです。この表現方法は、海外からすれば理解ができず、相手に解釈を任せてしまうことになるため、こちらの意図していない結果になる可能性は極めて高くなります。

    例えば、「時間があるときにやっておいて」と指示されても、「まだやらなくていいと思った」「時間がなかった」ということになることが目に見えています。数字や固有名詞を意識して伝えるようにすれば、曖昧な表現は避けられます。

    3-5. 仕様の指示は細かく伝える

    オフショア開発において仕様書の明確化は重要です。これはオフショア開発に限らず、開発プロジェクト全般に言えることです。そもそも仕様書を明確にできていない場合には、納期やコストを算出することもできず、計画通りには決して進みません。

    さらにオフショア開発の場合には、言語・文化・国民性の違いがあることから、「指示しなくても分かるだろう」は通用しません。文章ばかりではなく図解などを入れて、認識しやすいよう工夫が必要です。

    また仕様書の内容に間違いがないか、丁寧に確認する必要があります。仕様書の変更や修正は、翻訳の手間もかかりエンジニアに伝わるまでタイムラグが発生します。また修正や変更が認識されたのか、理解度の確認も必要になってきます。指示は細かく、間違いのないように伝わるよう注意しましょう。

    4. まとめ

    コミュニケーションにおいての課題やその解決策について解説しました。オフショア開発で課題となるコミュニケーションの問題は、これから初めてオフショア開発を導入する企業にとって、抱えやすい問題だと言えます。

    オフショア開発先の国について、国民性や商習慣を前もって把握しておき、必要な対策を講じることで成功の確率が高まります。

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