マレーシアのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

マレーシアのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

オフショア開発というと、中国やベトナムへの委託を考える方が多いのではないでしょうか。もちろん、それらの国への委託には様々なメリットがありますが、近年ではマレーシアへの委託も人気となっています。この記事で、マレーシアへオフショア開発を委託するメリットやデメリット、事前に知っておきたいポイントを紹介します。

 

【目次】
1. オフショア開発とは
2. マレーシアのオフショア開発の基本情報
2-1. 国民性
2-2. 公用語
2-3. 経済状況
2-4. 日本との時差
2-5. エンジニアの技術力
2-6. エンジニアの人月単価
2-7. エンジニアの平均年収
3. マレーシアでオフショア開発が注目される理由
4. マレーシアのオフショア開発のメリット
4-1. 多言語開発が可能
4-2. 英語を話せるエンジニアが多い
4-3. タックスヘイブンがある
4-4. IT企業優遇制度「MSCステータス」の存在
5. マレーシアのオフショア開発のデメリット
5-1. 他のアジア諸国に比べ人件費がかかる
5-2. 国民性の違いがある
5-3. 離職率が高い
6. マレーシアでオフショア開発をする際に知っておきたいこと
6-1. 日本の雇用制度との違いがある
6-2. 日本に比べ休日が多い
7. マレーシアでオフショア開発をする場合の企業選びのポイント
7-1. セキュリティ対策をチェックする
7-2. 言語やコミュニケーションの高さをチェックする
7-3. 開発実績や得意分野を見極める
8. マレーシアオフショア開発会社のおすすめ4選
8-1. FPTソフトウエア・マレーシア株式会社
8-2. 株式会社タイレルシステムズ
8-3. Chiyoda Software Laboratory
8-4. Bridge International Asia Sdn Bhd
9. まとめ

 

1. オフショア開発とは

オフショア開発とは、日本よりもエンジニアの人件費(人月単価)の安い海外(Offshore)へ開発業務を委託することを指します。

 

この記事で紹介するマレーシアをはじめ、東南アジア各国は日本よりも物価が安いため、コストを抑えたシステム開発が可能です。また、コストが安いだけではなく、英語に強いエンジニアを獲得できたり、税制優遇を受けられたりするメリットがあります。

 

本記事では、日本ではオフショア開発の委託先としてあまり馴染みのないマレーシアについて紹介します。

 

2. マレーシアのオフショア開発の基本情報

 

国民性 マイペースでおおらかな人が多い
公用語 マレー語
経済状況 IT産業が盛ん
日本との時差 1時間
エンジニアの技術力 比較的高い
エンジニアの人月単価 10万円程度の場合もあれば、30~40万円前後の場合もある
エンジニアの平均年収 300万円程度

 

 

2-1. 国民性

マレーシアの国民性としては、マイペースでおおらかな人が多いと言われています。納期についてもルーズなことが多く、プロジェクトマネージャーであればスケジュール管理に悩むことが多いかもしれません。

 

また、休日もしっかりと取得する傾向が強いです。開発中であっても有給を取得されることも多々あるため、余裕をもったスケジュールを立てた方が良いでしょう。(マレーシアはそもそもの祝日・休日数も多いため、稼働日は要確認です)

 

2-2. 公用語

マレーシアの公用語はマレー語です。しかし、マレー語以外にも、中国語・英語・フランス語など、多種多様な言葉が使われています。とくに英語を話せる人が多いので、オフショア開発時には英語でのコミュニケーションがオススメです。

 

ただし、マレーシアの英語はイギリスの影響を受けており、なおかつ独特の方言があるとも言われています。また、中国語も北京語、広東語、客家語、福建語が話されており、マレーシアで使われている言葉は非常に多岐に渡ると言えるでしょう。

 

2-3. 経済状況

マレーシアはIT技術に優れているため、情報産業を中心に経済発展を遂げていることが特徴です。また、後述するようにタックスヘイブンやIT企業優遇制度「MSCステータス」を求める企業が多いため、世界中から優秀なシステム開発企業が集まっています。

 

また、インフラ環境についても整っており、世界デジタル競争力ランキングでは日本と拮抗するほどの技術力を持っています。(2021年はマレーシアの方が上位、2022年は日本の方が上位と、マレーシアと日本は近年ではライバルの様相です)

 

2-4. 日本との時差

マレーシアと日本の時差は1時間です。

 

ベトナムやタイとの時差は2時間なので、マレーシアとの方が時差によるコミュニケーション障壁は少ないと言えます。

 

2-5. エンジニアの技術力

マレーシアのエンジニアの技術力は非常に高く、PHPやMicrosoft ASP.NET、Javaをはじめ、Python、Perl、Rubyに対応しているケースが多いです。

 

2-6. エンジニアの人月単価

マレーシアのエンジニアの人月単価は、他の東南アジア諸国などと比べると高いケースが多いです。

 

マレーシアではデジタル競争力の強化に力を入れており、技術力の高いエンジニアが多いことから、必然的に人月単価も上昇しています。人月単価が高い分、技術力には定評があります。高品質なシステムを開発したい場合にはマレーシアを候補に入れると良いでしょう。

 

ただし、経験が浅いエンジニアであれば、人月単価10万円程度で獲得できる場合もあります。

 

2-7. エンジニアの平均年収

マレーシアのエンジニアの平均年収は300万円程度と言われています。もちろん、キャリアが浅いエンジニアであれば、さらにコストを抑えることも可能です。ただし、マレーシアは経済成長率が著しいため、今後はさらに高止まりしていくと予想されます。

 

3. マレーシアでオフショア開発が注目される理由

マレーシアでのオフショア開発が注目される理由としては、言語面の特徴と制度面の特徴があります。まず、言語面の特徴として、マレーシアには多言語に強い人材が多いです。公用語のマレー語以外にも英語や中国語などが使われているため、グローバルなシステムを開発したい場合に強みを発揮します。

 

また、マレーシアには独自の制度があることも特徴です。オフショア開発でも恩恵を受けられるタックスヘイブンの存在(タックスヘイブン:税制優遇が著しい国・地域)や、IT企業優遇制度「MSCステータス」によって、オフショア開発企業は様々なメリットを享受できます。

 

4. マレーシアのオフショア開発のメリット

▼ マレーシアでのオフショア開発の代表的なメリットは、次の4点です。

 

多言語開発が可能

英語を話せるエンジニアが多い

タックスヘイブンがある

IT企業優遇制度「MSCステータス」の存在

 

それぞれの詳細を解説します。

 

4-1. 多言語開発が可能

先述した通り、マレーシアには多言語を扱うエンジニアが多いため、グローバルなシステム開発に向いています。また、マレーシアには海外からの移住者も多いため、様々な国の言葉に対応できるエンジニアも探しやすいことが特徴です。

 

4-2. 英語を話せるエンジニアが多い

マレーシアには英語を話せるエンジニアが多いことも特徴です。オフショア開発時にはエンジニアとのコミュニケーションが課題になることもあります。しかし、マレーシアでオフショア開発する場合は、英語でさえ会話ができれば意思疎通が図りやすいです。

 

4-3. タックスヘイブンがある

マレーシアでのオフショア開発の大きなメリットとして、タックスヘイブンの存在が挙げられます。マレーシア直轄領である「連邦領ラブアン」はオフショア開発でも恩恵を受けられるタックスヘイブンとして注目されています。

 

4-4. IT企業優遇制度「MSCステータス」の存在

マレーシア独自のIT企業優遇制度「MSCステータス」の存在も、オフショア開発に影響のあるポイントです。

 

「MSCステータス」とは、情報・知識の開発促進を目的に与えられる資格です。「MSCステータス」を付与された企業は最長10年間の法人税が免税されたり、外国人知的労働者(マレーシアからとっての日本人)に無制限で就労ビザを発給できたり、外資規制が撤廃されたりと様々なメリットがあります。

 

特に、就労ビザの発給には通常コストがかかるため、システム開発企業としては大きなコスト削減が見込めます。

 

5. マレーシアのオフショア開発のデメリット

マレーシアのオフショア開発には独特なメリットが多い一方で、考慮すべきデメリットもあります。

 

▼ 特に次の3点には気をつけましょう。

 

他のアジア諸国に比べ人件費がかかる

国民性の違いがある

離職率が高い

 

それぞれの理由と対策を紹介します。

 

5-1. 他のアジア諸国に比べ人件費がかかる

マレーシアでのオフショア開発は日本と比べればコスト削減になりますが、他のアジア諸国と比べると人件費が高いことはデメリットです。

 

オフショア開発の目的が単なるコスト削減の場合は、マレーシア以外に委託した方が良いでしょう。一方、人件費に相応の技術力には定評があるため、システムの品質を重視したい場合はマレーシアでの開発がオススメです。

 

5-2. 国民性の違いがある

マレーシアと日本では国民性に大きな違いがあり、プロジェクトの進行障壁になるケースがあります。とくにマレーシアのエンジニアは休みをしっかり取得する傾向にあるため、日本人プロジェクトマネージャーと意見がぶつかることもあるかもしれません。

 

しかし、価値観の相違はどこの国でオフショア開発をしても生じる問題です。相手の意見を尊重し、なるべく平穏にコミュニケーションを取るようにしましょう。

 

5-3. 離職率が高い

マレーシアのエンジニアは離職率が高いとも言われています。特にエンジニアは昇給が見込めない場合は短期間でも転職してしまうケースがあるので、エンジニアの待遇に力を入れている企業を見極めることが重要です。

 

また、マレーシアは日本とは異なる雇用制度を採用しているため、その点についても理解しておきましょう。(マレーシアの雇用制度については後述します)

 

6. マレーシアでオフショア開発をする際に知っておきたいこと

マレーシアでオフショア開発する場合には、マレーシアならではの特性として次の2つを考慮しなければなりません。

 

日本の雇用制度との違いがある

日本に比べ休日が多い

 

6-1. 日本の雇用制度との違いがある

マレーシアでオフショア開発する際は、雇用制度について知っておきましょう。マレーシアの有給休暇制度では、日本でも使われる「年次有給休暇」とは別に「病欠」の際にも使える休暇があります。

 

そのため、身体の調子が悪い際は通常の年次有給休暇ではなく、病欠の有給休暇を取得します。マレーシアのエンジニアが休みを気軽に取得することは、スケジュール立案の際にも考慮しておきましょう。

 

6-2. 日本に比べ休日が多い

マレーシアは日本に比べて休日が多いことも特徴です。日本の祝日が年間16日であることに対して、マレーシアの祝日は国としての祝日が年間14日程度、州としての祝日が2〜4日程度あり、合計すると日本よりも休日数が多くなります。

 

また、州ごとに祝日が異なるため、カレンダーは16通り存在することも特徴です。マレーシアには13の州と3つの連邦直轄領があり、それぞれ祝日が異なります。スケジュールを立てる際は、オフショア委託先がどの州のカレンダーで稼働しているかも確認しましょう。

 

7. マレーシアでオフショア開発をする場合の企業選びのポイント

ここまで紹介したマレーシアの特徴を踏まえて、オフショア開発時の企業選びでは次の3つのポイントを意識しましょう。

 

セキュリティ対策をチェックする

言語やコミュニケーションの高さをチェックする

開発実績や得意分野を見極める

 

それぞれの詳細は次のとおりです。

 

7-1. セキュリティ対策をチェックする

オフショア開発は海外での業務が主となるため、情報に対するセキュリティ対策には注意しましょう。

 

マレーシアの企業はオフショア開発を多く委託されているため、セキュリティ対策にも万全を期していることが多いです。ただし、油断することなく、開発を依頼する前にそれぞれの企業のセキュリティ対策を確認しましょう。

 

7-2. 言語やコミュニケーションの高さをチェックする

マレーシアには言語が堪能なエンジニアが多いと言われていますが、必ずしも全てのエンジニアが英語や日本語に精通している訳ではありません。

 

言語の壁があると要件定義や仕様書のやり取りに支障をきたし、品質に問題を生じることになります。ブリッジSEを含めて、言語やコミュニケーションの高さは必ず確認してください。

 

7-3. 開発実績や得意分野を見極める

オフショア開発を委託する企業・エンジニアの開発実績や得意分野は要確認です。マレーシアには技術の高いエンジニアが多くいますが、中には経験が浅いエンジニアもいます。

 

特に人月単価が安い場合は駆け出しのエンジニアであることが多いので、対応しているプログラミング言語だけではなく、開発実績のある言語・環境まで確認した方が良いでしょう。

 

8. マレーシアオフショア開発会社のおすすめ4選

▼ 最後に、マレーシアでオフショア開発する場合におすすめの企業を4つ紹介します。

 

FPTソフトウエア・マレーシア株式会社

株式会社タイレルシステムズ

・Chiyoda Software Laboratory

・Bridge International Asia Sdn Bhd

 

それぞれの詳細は次のとおりです。

 

8-1. FPTソフトウエア・マレーシア株式会社

FPTソフトウエア・マレーシア株式会社は、マレーシアをはじめ日本、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、オーストラリアの各地に拠点を持つシステム開発企業です。

 

マレーシアの会社ですがベトナムへのオフショア開発も行っており、コストを抑えて開発することができます。また、拠点が多いことからエンジニアリソースも豊富に抱えており、スケーラブルな開発を提供してくれることも特徴です。

 

会社名 FPTソフトウエア・マレーシア株式会社
拠点 クアラルンプール(マレーシア)
日本、アメリカ、ヨーロッパ、東南アジア、オーストラリアなど
対応ジャンル アプリケーション・デバイス開発
レガシートランスフォーメーション
開発ツール AWS、Azure、Predix、Cloudereなど

 

 

8-2. 株式会社タイレルシステムズ

株式会社タイレルシステムズは、東京とマレーシアに拠点を構える企業です。Webサイト制作やスマホアプリ開発に対応しています。

 

日本人スタッフがいるため、コミュニケーションが取りやすいことが特徴です。実績も豊富なので、マレーシアでのオフショア開発を検討している場合は一度ホームページを確認してみてください。

 

会社名 株式会社タイレルシステムズ
拠点 東京(日本)
クアラルンプール(マレーシア)
対応ジャンル Webサイト制作
スマホアプリ開発
クラウド DevOps
開発ツール LAMP+CakePHP、MySQL、Linuxなど

 

 

8-3. Chiyoda Software Laboratory

Chiyoda Software Laboratoryは、現在マレーシアで20年以上の実績があるシステム開発企業です。

 

代表者は日本人で、日本語はもちろんマレーシアならではの英語や中国語にも対応しているなど、コミュニケーションに力を入れています。日本の品質基準に沿ったシステム開発を得意としているので、オフショア開発での品質に不安を感じている方にオススメです。

 

会社名 Chiyoda Software Laboratory
拠点 クアラルンプール
対応ジャンル 業務アプリケーションシステムの開発
業務アプリケーションシステムの運用支援
RPA業務設計および実装
開発ツール Windows 全般 (Oracle, SQL Server, MS-Access, .Net)
オープンソース系環境(Linux, PostgreSQL)
など

 

 

8-4. Bridge International Asia Sdn Bhd

Bridge International Asia Sdn Bhdは、マレーシアを拠点としてITサービス事業を展開している会社です。

 

専門的な知識と経験をもつ日本人とマレーシア人の混合チームでさまざまな企業の事業成長をサポートしています。

会社名 Bridge International Asia Sdn Bhd
拠点 マレーシア
対応ジャンル 海外事業 ビジネスコンサルティング
デジタルマーケティング施策支援
インサイドセールス
開発ツール CMSや各種デジタルマーケティングツール

 

 

9. まとめ

マレーシアは人件費が他のアジア諸国と比べて高いため、技術力にも定評があります。タックスヘイブンやIT企業優遇制度「MSCステータス」などマレーシアならではのメリットも多いため、品質を重視しながらコスト面でも優遇を受けたい場合にオススメです。

 

一方、マレーシアは休日が多かったり、エンジニアが休みを多く取得したり、日本とは異なる国民性が問題になることもあります。開発のしやすさを重視する場合は、ベトナムなど日本からのオフショア実績が豊富な国を選ぶと良いでしょう。

 

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