オフショア開発

2023.06.23

ミャンマーのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

ミャンマーのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

ミャンマーでのオフショア開発は、コストを抑えたい場合に最適です。しかし、ミャンマーならではの事情を考慮していないと、予定通りに開発できない場合もあります。この記事ではミャンマーのオフショア開発について、最新動向やミャンマーならではの特徴を加味して解説します。

目次

    1. オフショア開発とは

    オフショア開発とは、海外(Offshore)へシステム開発やWeb制作などの業務を委託することです。とくに日本よりも人件費(エンジニアの人月単価)の安い東南アジア諸国へ委託することで、コストを抑えて開発できます。

    オフショア開発の委託先は、ベトナムや中国が選ばれることが多いです。中国の経済発展に伴い委託費用が上昇しているため、近年ではベトナムへ委託するケースが半数近くまで占めています。

    さらにコストを抑えて開発したい場合、日本よりも大幅に物価の安い国を選ぶことが重要です。この記事では、コストを抑えて開発しやすいミャンマーについて紹介します。

    2. ミャンマーの最新動向を解説

    ミャンマーというと、政治情勢について気になる方も多いかもしれません。オフショア開発を委託する場合、ミャンマーの最新動向についても把握しておきましょう。

    2-1. クーデターの影響

    ミャンマーでは度々クーデターが発生しており、日本国内でも報道されることが多いです。

    20世紀には幾度かのクーデターが発生し、ミャンマーは長らく軍事政権が政治を行っていました。2011年には文民政権が発足しましたが、その後も民族対立・宗教対立が続き、2021年2月1日には再びクーデターが勃発し、現在に至ります。

    クーデター及び新型コロナウイルスの影響もあり、2021年の経済成長率はマイナス18%となるなど、ビジネスにも大きな影響を及ぼしていることが特徴です。

    2-2. 政治・経済状況の今後の見通し

    ミャンマーでは現在も民主派勢力が軍事勢力と対抗を続けています。今後の見通しが立っているとはいえず、インフラや公共サービスの質の悪化がオフショア開発の現場に与える影響も大きいです。とくに電力やインターネット環境、銀行などの機能が麻痺すると、システム開発のスケジュールが遅延する原因になります。

    経済成長率については2022年からはプラスに転じており、首都ヤンゴンなどはクーデター前の状況に戻っているともいわれているため、オフショア開発を委託する時点での情勢を慎重に見極めましょう。

    なお、ミャンマーは「アジア最後のフロンティア」ともいわれており、今後の成長を期待して進出する企業も多いです。オフショア開発を通じてミャンマーと繋がりを持っておくことは、今後のビジネスチャンスのきっかけとなるかもしれません。

    3. ミャンマーのオフショア開発の基本情報

    ▼ ミャンマーの基本的な情報は次の表の通りです。

    国民性チームワークや協調性を重視
    公用語ビルマ語
    経済状況ほかの東南アジア諸国と比べると軟調
    日本との時差2時間30分
    エンジニアの技術力一部に不安がある
    エンジニアの人月単価10万円~60万円程度
    エンジニアの平均年収60万円~120万円程度

    それぞれの詳細は次の通りです。

    3-1. 国民性

    ミャンマーの国民性は日本と合っているといわれ、チームワークや協調性を重視する傾向にあります。勤勉なエンジニアも多いので、比較的プロジェクトは進行しやすいといえるでしょう。

    3-2. 公用語

    ミャンマーの公用語はビルマ語(ミャンマー語)です。人口の6割程度をビルマ族が占めていますが、ミャンマーは多民族国家なので、シャン語やカレン語といった言葉も使われています。

    オフショア開発時のコミュニケーションとしては、日本語を使える場合もあります。ビルマ語とミャンマー語は文法が似ており、ミャンマー人の日本語能力は東南アジア諸国の中では高いためです。

    3-3. 経済状況

    ミャンマーはクーデターと新型コロナウイルスの影響もあり、ほかの東南アジア諸国と比べると経済状況がよいとはいえません。しかし、2022年以降は回復基調にあり、今後は成長していくと予想されています。インフラについても未整備な部分がありますが、都市部へオフショア委託する場合は問題ないでしょう。(ただし、月に1回程度は停電するといわれています)

    3-4. 日本との時差

    ミャンマーと日本との時差は2時間30分です。日本のほうが2時間半進んでいます。

    3-5. エンジニアの技術力

    ミャンマーはオフショア開発の歴史が浅く、ミャンマー国内のIT教育も充実しているとはいえないため、技術力には不安があります。PMやブリッジSEを任せられる人材も少ないので、ミャンマーでのオフショア開発は小規模案件から様子を見たほうがよいでしょう。

    3-6. エンジニアの人月単価

    ミャンマーのエンジニアの人月単価は20万円以下であることが多く、10万円前後で依頼できる場合もあります。ただし、PMやブリッジSEの人月単価は60万円程度になることもあるので、エンジニアのスキルによって格差が大きいことも特徴です。

    3-7. エンジニアの平均年収

    ミャンマーのエンジニアの平均年収は60万円から120万円程度と、ほかの東南アジア諸国と比べても非常に低い水準にあります。経済発展が続けばほかの国々と同水準まで伸びていくことが予想されますが、しばらくは100万円前後で推移すると考えてよいでしょう。

    4. ミャンマーのオフショア開発の特徴は?

    ミャンマーでのオフショア開発の特徴としては、開発コストの安さが際立っています。ミャンマーでは人月単価10万円程度のエンジニアも多いため、とにかくコストを抑えたい場合にはオススメです。

    コストがかからないことと合わせて、技術力には不安な面もあります。若い人材がエンジニアを目指して勉強していますが、まだまだ技術が高いとはいえません。そのため、ミャンマーでのオフショア開発は小規模なWebサイト制作・アプリ開発などに向いています。

    5. ミャンマーのオフショア開発のメリット

    ▼ ミャンマーでオフショア開発を行うメリットとしては、次の3点が挙げられます。

    人月単価が低くコストを抑えられる

    日本人に近い国民性で仕事がしやすい

    日本語学習の人気がある

    それぞれの詳細は次の通りです。

    5-1. 人月単価が低くコストを抑えられる

    ミャンマーは物価が安いこともあり、人月単価が低くコストを抑えられることは大きなメリットです。ミャンマーの人月単価相場は、オフショア委託先としては最安レベルの水準といえます。コストを重視する場合は、ミャンマーが最優先候補になるでしょう。

    5-2. 日本人に近い国民性で仕事がしやすい

    ミャンマーのエンジニアは勤勉で協調性を重視するなど日本人と近い国民性のため、プロジェクトを進めやすいこともメリットです。オフショア委託先によっては日本人プロジェクトマネージャーとの関係がうまくいかない場合もあるため、仕事のしやすさを重視する場合はミャンマーへオフショアすることがオススメです。

    5-3. 日本語学習の人気がある

    ミャンマーでは日本語学習の人気があることも、オフショア委託先としてのメリットです。ビルマ語は日本語と文法が似ており、日本語能力試験を受けるミャンマー人は世界で5番目に多いことから、日本語を扱えるエンジニアは今後ますます増えていくでしょう。また、中には日本語教育に力を入れているオフショア企業もあります。

    6. ミャンマーのオフショア開発のデメリット

    ▼ ミャンマーでオフショア開発をする際、次のようなデメリットには注意してください。

    経験値の高いエンジニアが不足している

    ・オフショア開発の事例が少ない

    ・政情不安による影響の可能性がある

    それぞれの詳細と対策は次の通りです。

    6-1. 経験値の高いエンジニアが不足している

    ミャンマーはオフショア開発の歴史が浅く、IT分野の教育制度も盛んではないことから、経験値の高いエンジニアは多くありません。技術力を要する開発の場合、求めている品質に満たない場合もあります。技術力を求める場合は、中国やベトナムなどを選んだほうがよいでしょう。

    6-2. オフショア開発の事例が少ない

    ミャンマーはオフショア開発の歴史が浅いため、開発事例が少ないこともデメリットです。開発実績が豊富な企業にオフショアしたい場合は、ベトナムなどのオフショア人気国で委託先を探すことをオススメします。

    6-3. 政情不安による影響の可能性がある

    ミャンマーは政情が不安定なため、オフショア委託先がデモや騒乱などに巻き込まれる可能性があります。また、電力や通信環境などのインフラに問題が生じると、開発の遅れは避けられません。

    安定した開発環境を求めたい場合は、ベトナムやマレーシアなど政情が安定している国へオフショアしましょう。

    7. ミャンマーでオフショア開発をする際の注意点

    ミャンマーでオフショア開発する際の注意点としては、委託先企業の技術の有無です。ミャンマーにはオフショア開発の実績が少ない企業も多いため、コスト面だけで委託先を選ぶと求めている仕様を実現できない場合もあります。

    とくにベテランエンジニアに参画してもらいたい場合、ミャンマーで見つけることは難しいでしょう。委託先の技術力に信頼が持てるか否か、よく確認してから依頼することをオススメします。

    また、インフラや政情不安の影響から、開発スケジュールが遅れがちになることは否めません。現地のエンジニアにとっても不可抗力的な事象で開発を進められないこともあるので、ミャンマーならではの事情として理解を示すことが重要です。

    8. ミャンマーオフショア開発会社のおすすめ4選

    ▼ 最後に、ミャンマーオフショア開発会社を4社紹介します。

    グローバルイノベーションコンサルティング株式会社

    株式会社第一コンピュータリソース

    METATEAM株式会社

    ・株式会社キャピタルナレッジ

    それぞれの企業の特徴は次の通りです。

    8-1. グローバルイノベーションコンサルティング株式会社

    グローバルイノベーションコンサルティング株式会社(以下、GIC)は、日本語を扱える300名のミャンマー人エンジニアを抱えているオフショア開発企業です。

    経験に乏しいといわれるミャンマーでのオフショア開発ですが、GICには10年の実績があります。コストを抑えつつ、実績豊富な企業でオフショア開発したい場合にオススメです。

    会社名グローバルイノベーションコンサルティング株式会社
    拠点東京(日本)
    ヤンゴン、マンダレー(ミャンマー)
    カリフォルニア(アメリカ)
    対応ジャンルWEBアプリケーション構築
    モバイルアプリ開発(iOS、Android)
    ECサイト構築
    開発ツールJava、.NET(VB/C#/ASP)、C#/C++/C、JavaScript/jQuery、CSS/HTML/WordPressなど多数

    8-2. 株式会社第一コンピュータリソース

    株式会社第一コンピュータリソースも、2008年設立と歴史の長いオフショア企業です。オープン系システムの開発を得意としています。

    ミャンマー拠点の社内公用語は日本語で、エンジニアとのコミュニケーションが取りやすいことが特徴です。また、中国にも拠点があり、ホスト系の開発は北京で対応しています。(中国拠点の社内公用語も日本語です)

    コストを抑えつつ、コミュニケーションを取りやすいエンジニアに依頼したい場合にオススメです。

    会社名株式会社第一コンピュータリソース
    拠点ヤンゴン、マンダレー(ミャンマー)
    北京(中国)
    対応ジャンルオープン系システム開発
    ホスト系システム開発
    開発ツールJava、.netなど

    8-3. METATEAM株式会社

    METATEAM株式会社(旧:シアトルコンサルティング株式会社)は日本語に対応できるミャンマー人ブリッジSEとプログラマーを擁したオフショア企業です。やりとりは全て日本語で行えるため、安心してコミュニケーションを取れます。

    要件定義から品質保証まで1つの開発チームで行うため、一貫したサービスを受けられることが特徴です。ブリッジSEは日本での就業経験が4年以上あるため、日本基準の開発が期待できます。

    会社名METATEAM株式会社
    拠点日本
    ミャンマー
    対応ジャンルシステム開発
    Web制作
    開発ツールJavaScript、PHP、Java、HTMLなど

    8-4. 株式会社キャピタルナレッジ

    株式会社キャピタルナレッジは、モンゴルとミャンマーに拠点を構えるオフショア開発企業です。ラボ型オフショア開発とオフショア受託開発に対応しています。

    モンゴル人エンジニア、ミャンマー人エンジニアともに日本語に対応しているため、コミュニケーションが取りやすいことが特徴です。

    会社名株式会社キャピタルナレッジ
    拠点大阪、東京(日本)
    ウランバートル(モンゴル)
    ヤンゴン(ミャンマー)
    対応ジャンルアプリ開発
    サイト制作
    開発ツールphp、Laravel、React、Swift、JavaScript、CSS3、HTML5、JAVA、Node-jsなど

    9. まとめ

    ミャンマーでのオフショア開発には、コストを抑えられたり日本語を扱えるエンジニアを獲得できたり、一定のメリットがあります。しかし、経験に乏しいエンジニアも多く、政情不安から開発スケジュールに遅れが出る懸念も忘れてはいけません。

    コストを重視する場合にはミャンマーへのオフショア委託がオススメですが、技術や品質も重視する場合はベトナムなど実績が豊富な国へのオフショアも検討しましょう。

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