1. オフショア開発のメリット
オフショア開発のメリットを解説していきます。オフショア開発の大きな目的である人件費カットに加え、その他にもメリットがあります。
1-1. コストの削減ができる
オフショア開発における最大のメリットは人件費の削減です。
世界の先進国と違い20年近く人件費が変動していない日本と、人件費が上昇傾向にある海外とを対比して、本当に人件費のコストカットが可能であるのか疑問に感じるかもしれません。
しかし、IT業界では必要な人員が慢性的に不足しているため、人材を確保するには高待遇である必要があります。企業は優秀な人材確保に苦労し、離職率を低下させることも課題となっています。
IT業界は特殊で、人材に左右される業界です。資源や大規模設備、運送費などは不要でコストの大部分は人件費が占めます。不具合などが発生すれば、どんどん人件費がかさんでいきます。そのため人件費を少しでもカットできるような工夫が必要なのです。
1-2. 優秀な人材の確保ができる
オフショア開発は、海外の優秀な人材を確保できるというメリットがあります。IT業界の人材市場は流動性が非常に高いため、人材確保には高待遇が必要な話をしました。
日本の問題はそれだけではなく、少子高齢化がどんどん進み、労働人口の低下がますます危ぶまれています。そのため、そもそもの労働人口が少ないがゆえに、優秀な人材は希少性が高いのです。
国内の労働人口が少ないのであれば、海外の労働力に目を向けるほかありません。オフショア開発は、人件費削減の手段として取り入れられていますが、人員不足を解消するための手段にもなります。
1-3. 品質の維持
オフショア開発は日本と同等の品質を維持できます。プログラミングに必要な言語やツールは世界共通です。そのため、海外であってもITスキルがあれば、開発の作業内容や成果物は同じ品質を望めます。
そのためには、開発の進め方や指示の方法を工夫する必要がありますが、ポイントさえ押さえればしっかりとエンジニアを確保できるオフショア開発の方が、品質を維持しやすい可能性があります。
1-4. 自社専属の開発チームの構築がしやすい
オフショア開発では人件費が安いというメリットを活かし、プロジェクト毎の契約ではなく継続的な契約を行うことで、発注側専用の開発チームを構築し、チームとしてのスキル向上や知識の積み上げを行うことが可能です。
オフショア開発は単発のプロジェクトだけの要員としてではなく、開発チーム単位で継続して人員を確保することでエンジニア個人のさらなる成長を促すことができます。
発注者側との理解も深まるため、プロジェクトが継続するにつれて阿吽の呼吸で仕事を行うことができるようになり、長期的なメリットがあると言えます。
2. オフショア開発のデメリット
オフショア開発にはデメリットもあります。人件費カットや人材の確保といったメリットばかりに着目してしまいますが、しっかりとデメリットを把握しておくことも大切です。
2-1. コミュニケーション問題が起こりやすい
オフショア開発のデメリットとなる点は、コミュニケーションの問題です。当然のことながら言葉の壁は大きく、日本語・現地語・英語を織り混ぜながら、コミュニケーションを図る必要があります。
そのため言語能力のあるスタッフの人員配置、資料の翻訳などの手間が発生します。また言語能力があったとしても、どちらか一方あるいは双方が母国語ではないため、ニュアンスの食い違いによるミスが発生しやすいのも課題です。
2-2. 日本との時差による進捗管理がしにくい
オフショア開発は時差の問題も懸念点です。何か問題が起こっても、日本企業が就業時間外であれば翌日の報告となるなど、タイムリーな情報共有が難しい場合があります。
そのため納期にも少し余裕を持たせる必要があり、正確なタイムスケジュールでの管理が難しくなることが考えられます。
また国によって祝日も異なるため、時差の問題と同じく、連絡するにも相手が祝日であるといったことを考慮しなければなりません。
しかし、時差や祝日の違いについては裏を返せば、日本が稼働していない間にもプロジェクトを進行できるというメリットにもなりえます。
2-3. 文化・生活習慣の違いがある
オフショア開発では、日本と海外の文化の違いによる影響を考慮する必要があります。
例えば就業中でも礼拝の時間があれば仕事ができない、時間にルーズで納品に間に合わなくても気にしないなど多くの日本人の感覚では直接的に仕事に影響がでるのではないかと心配になることでしょう。
しかしながら、日本では常識的な考えであるからといって、海外でも同様のスタイルを求めることは困難です。どちらの文化や生活習慣が正解というわけではなく、その国の文化や国民性を受け入れる姿勢が大切です。
日本文化を押し付けてしまうと相手側も仕事にやりづらさを感じ、お互いがストレスを抱えるため決してよいビジネス環境とは言えません。
2-4. 商習慣の違いがある
日本と海外では、ビジネススタイルが異なる点が多種多様にあります。例えば支払いの方法ひとつでも大きく違いがあります。日本では月末締めの翌月支払いという支払いタイミングが多いと思われます。
お互いの信用があるためこのような取引が成り立つわけですが、もともとは受け手側が下手といった主従関係があったことも影響しています。そして値引き交渉なども当たり前であるため、価格提示を少々上乗せすることもよくあることでしょう。
しかし、海外では取引に上下関係はなく、対等な立場でやりとりをします。また支払いのタイミングも国によってさまざまで前払いが当たり前の国もあれば、いかに支払いを遅らせるかというスタイルの国もあります。
日本は空気を読むのが上手ですが、それは意見を率直に述べるのが苦手だからです。直接的な表現を避けるため、海外からは理解されない部分が大きいでしょう。
2-5. 小規模開発ではコストメリット効果が感じにくい
オフショア開発は小規模プロジェクトの場合、コストメリットをあまり感じられないでしょう。オフショア開発のデメリット部分をカバーするために、国内開発ではあまり必要のないリスク対策が必要だからです。
リスク対策におけるコストは、プロジェクトの大きさに関わらず一定数は必要です。大きなプロジェクトであればあるほど、人件費の削減額も比例して大きくなります。
オフショア開発にすることでのコストカットと、開発にかかるコストの費用対効果を十分に検討しなければなりません。少ない人員や工数でのプロジェクトではコストカットの効果を感じられず反対にコストオーバーの可能性も考えられます。
3. オフショア開発を成功させる方法
オフショア開発を成功させるポイントは、対策を講じることです。
まずはコミュニケーションの壁を取り除くため、言語能力に問題のない人員配置を行います。現地のエンジニアと日本企業との橋渡し役となるブリッジSEや、プロジェクトマネージャーを日本から駐在させる、または、現地国の人を採用する場合は、経験や実績に申し分ない人を専任します。
コミュニケーション面でのリスクを大きく軽減でき、文化や生活習慣の違いもカバーしやすいです。しかし近年、自動翻訳サービスの発展に伴い、特にテキストでのコミュニケーションに関してブリッジSEや通訳を介さずとも行えることがほとんどとなっています。
また全工程を現地に一任すると、想定していた物と違うものがあがってくるというリスクが高まり、修正するための大きな工数がかかります。オフショア開発の初期段階では一部の工程のみを依頼し、徐々にその規模を増やしていくと、リスクを最小限に抑えられます。
全工程を一任する場合であっても、定期的なテスト環境を設け小まめなチェック体制を徹底する必要があります。また何かトラブルがあった場合には、国内でも開発が代行できるような体制作りをしておくリスクヘッジも必要です。
その他にも、ビジネスにはコミュニケーションは欠かせません。開発の委託という認識ではなくビジネスパートナーであることを念頭におき、積極的なコミュニケーションが必要です。
お互いの文化や価値観の違いにも理解が深まることで、あらゆるリスク回避や開発者のモチベーション向上にもつながるでしょう。
4. まとめ
オフショア開発には、メリットとデメリットの両面があります。デメリットを十分に把握して対策しておくことが、オフショア開発成功の鍵となります。
またあまりに小規模のプロジェクトでは、コストパフォーマンスはあまり感じられません。オフショア開発のデメリット部分をカバーするためにコストを投じる必要があるからです。
開発にかかるコストとオフショア開発によってどれくらいのコストカットが可能かを算出すること、オフショア開発では海外環境であるため日本とは異なる部分を受け入れて対策をすることが成功のポイントです。
ベトナムのオフショア開発会社比較20選!大手会社を一覧で紹介
「オルグローラボ」では、ベトナムでのラボ型オフショア開発事業を展開しています。オルグローラボを利用すれば、貴社の開発チームにベトナムの優秀なエンジニアを加え、長期的にプロジェクトにアサインすることができます。お客様のニーズに合わせた柔軟なチーム編成が可能ですし、プロジェクト開始から運用まで、継続的なサポートを提供しています。ぜひお気軽にお問い合わせください!