オフショア開発先としてベトナムを選ぶ企業が増えています。ベトナムはオフショア開発に最適な特徴があり、魅力的な国であると言えます。しかしベトナムオフショア開発を成功させるには、メリット・デメリットなどを把握してリスクへの対応策も必要です。本記事では成功させるポイントやおすすめの企業もあわせてご紹介します。
【目次】
1. オフショア開発とは
2. ベトナムオフショア開発の基本情報
2-1. 国民性
2-2. 公用語
2-3. 経済状況
2-4. エンジニアの技術力
2-5. エンジニアの人月単価
2-6. エンジニアの平均月収
3. ベトナムオフショア開発が選ばれる理由とは
3-1. 優秀な人材が豊富
3-2. 日本語が話せるエンジニアが多い
3-3. コストパフォーマンスに優れている
3-4. 日本との時差が少ない
3-5. 他国に比べ安定したインフラ環境がある
4. ベトナムオフショアのデメリットやリスク
4-1. コミュニケーションの難しさ
4-2. 認識の齟齬がうまれる可能性
4-3. 習慣のズレによる納期遅れ
4-4. 管理部分でコストがかさむ可能性
5. ベトナムオフショア開発を成功させるポイント
5-1. 実績のある企業を選ぶ
5-2. 言葉や商習慣の違いを理解する
5-3. チームビルディングを確立する
6. ベトナムオフショア開発会社のおすすめ5選
6-1. バイタリフィ
6-2. コウェル
6-3. プライムスタイル
6-4. 株式会社エボラブルアジア
6-5. 株式会社ブンブジャパン
7. まとめ
1. オフショア開発とは
オフショア開発とは、ソフトウェアやアプリケーションなどのシステム開発を、海外の企業や子会社に委託や発注を行うことです。日本よりも人件費が安い海外で労働力を確保し、コストカットすることが最大の目的でありメリットです。
近年ではますますのIT化が進んでいます。その反面、日本は少子高齢化が要因となり、労働力が反比例して減少していく一方です。
また、各企業はエンジニアの確保が困難となっており、確保できたとしても人件費が高騰している、社内で人材育成しても優秀な人材はすぐに転職してしまうという問題を抱えていることでしょう。そのため、オフショア開発では、優秀なエンジニアを確保するといった観点からも取り入れるべき手法です。
先進国の多くではオンラインでの業務推進が当たり前となっている反面、日本では顔を付き合わせて仕事をしたいと考える企業が根強く残っている風潮でした。
しかしコロナ禍によって、オンラインでの業務推進が強いられたことによって、オンラインでの業務推進に抵抗がなくなったこともオフショア開発を後押ししています。
2. ベトナムオフショア開発の基本情報
ベトナムはオフショア開発において日本企業から最も選ばれています。ベトナムの特徴について解説していきます。
2-1. 国民性
ベトナムの国民性は、真面目で勤勉な性格であると言われています。また手先が器用かつ、繊細な仕事にも粘り強い耐性があります。システム開発は、トライアンドエラーを繰り返して進める必要があり大変根気のいる仕事ですが、ベトナムの国民性はシステム開発に必要な資質を兼ね備えています。
またベトナムの方は自身が思ったことをはっきりと伝える性格で、できる・できないが明確に分かりやすいです。
さらにベトナムのIT業界では、スキルによって給与水準が明確に異なります。自身の技術向上は顕著に収入にあらわれるため、熱心にスキルアップに務めている方が多いです。
日本人との資質と似ている部分がある、スキルアップのための向上心がある、また親日国であることが特徴です。
2-2. 公用語
ベトナムの公用語はベトナム語で、国民の90%ほどを占める民族「キン族」の言語です。近年ではその他の少数民族でもベトナム語が共通語になっているようです。そしてベトナムで人気の語学は英語と日本語です。
英語は第二言語にもなっていますが、英語力は地域や年齢によって差が大きいと言えます。しかしホーチミンやハノイなど都市に住む中流以上の家庭では、幼少期から英語の塾に通わせるなど英語教育に力を入れています。
また小学校3年生からは英語が義務教育科目となるため、将来的に英語力は伸びると考えられています。
そして、20代の若者世代の傾向としては、英語よりも日本語が得意という方が多い傾向にあります。
アニメやマンガの影響、日本製の家電や食品に強い信頼があるなどの理由から、日本文化への関心が高く、将来日本企業で働くことを希望する人が増えるとともに、日本語を習得しようとする人たちが増えています。
2-3. 経済状況
ベトナムの国内総生産は3,626億USD(2021年)、コロナ以前の2019年はGDP成長率7.2%、過去5年間は7%前後をキープしており、安定して成長していると言えます。
コロナ禍によって2020年は2.9%、2021年は2.6%に落ち込みましたが、それでもプラスをキープしています。2022年上半期は回復傾向、世界的にみてトータル的に高水準の経済成長を遂げています。
2-4. エンジニアの技術力
ベトナムエンジニアの得意なプログラミング言語は、Javascript、Java、PHP、Python、C#です。世界的にもニーズの高い言語であるため需要が高いです。スマホアプリやWebシステム開発、ゲーム開発を行う企業があり、とくにスマホアプリは人気が高いものとなっています。
グラフィック系やUI/UXなど、デザイン系に対応している企業もあります。近年では大学とオフショア企業が協力しあい、AIやIoTなどを用いた先端技術を共同開発し、人材育成にも取り組んでいます。さまざまな分野でのオフショア開発企業があります。
2-5. エンジニアの人月単価
ベトナムエンジニアの平均人月単価は、およそ25〜40万円が目安とされています。業務内容やスキル、熟練度によって異なりますが、日本よりも人件費が抑えられます。
2-6. エンジニアの平均月収
ベトナムエンジニアの平均月収は、スキルによって幅がありますが、新卒~3年目くらいまでは、月におよそ300~500USD(およそ4~7万円)、5年目以降は管理職になる人が増え、およそ1,400~2,400USD(およそ19~32万円)と給与が上がっていく傾向です。
為替で多少の誤差があるものの、日本と比較すればかなり安価です。
3. ベトナムオフショア開発が選ばれる理由とは
オフショア開発先としてベトナムが選ばれる理由について解説していきます。
3-1. 優秀な人材が豊富
オフショア開発でベトナムが選ばれる理由として、国としてIT人材の輩出を掲げており、優秀なエンジニアが豊富にいます。大学など教育機関においてプログラミングの授業があり、IT企業へのインターンも必須要項であるなど、IT教育が盛んに行われているのです。
日本の新卒採用よりもベトナムの新卒採用のほうが、実践的な開発に取り組めます。
またエンジニアのスキルによって、給与の所得の増減幅が大きく異なります。その差は日本よりも大きく、自身のスキルを高めれば給与もアップするといったモチベーションが明確なところも、豊富な人材が育っている理由にあげられます。
個々が努力してスキルを向上できる勤勉な国民性が、結果的にエンジニアの水準を上げているのです。
3-2. 日本語が話せるエンジニアが多い
オフショア開発でベトナムが選ばれる理由は、日本語が堪能な人材が豊富にいることです。オフショア開発では、言葉の壁が大きな課題となります。発注企業のシステム開発の要望を伝えて、受注側である現地スタッフが内容を理解して進行していく作業は容易ではありません。
そこで日本企業と現地スタッフの橋渡し役となる、ブリッジエンジニアと呼ばれるポストが重要になります。
ブリッジエンジニアはシステム開発の知識を持ち合わせ、日本企業の文化などを理解している、日本留学の経験がある、日本文化に関心があるなどの人材が適しています。ベトナムには、日本語を話せるエンジニアが多いため、言葉の壁のリスクを低減させられます。
3-3. コストパフォーマンスに優れている
オフショア開発でベトナムが選ばれる理由に、人件費の安さがあげられます。ベトナムの給与水準はスキルによって幅がありますが、同等のポジションでも日本と比較すると2分の1以下に抑えられます。優秀な人材を確保するのに困難、かつコストがかさんでしまう日本にとっては十分なメリットとなるでしょう。
またベトナムは、人件費以外のコストパフォーマンスも優れています。食事代や交通費、宿泊代など日本人の駐在や出張などにかかる費用が安く抑えられ、ベトナムにオフィスをレンタルする場合にも、賃料などを抑えられます。
3-4. 日本との時差が少ない
オフショア開発でベトナムが選ばれる理由に、日本とベトナムの時差が少ないことがあげられます。日本とベトナムの時差は2時間で、日本が10:00に始業開始の場合、ベトナムでは8:00です。
昼夜が逆転するような遠方な国でオフショア開発する場合には、打ち合わせの調整が困難となります。オフショア開発では綿密なコミュニケーションが必要であるため、日常的にストレスなく打ち合わせできる環境が必要となります。
またトラブルが発生した場合など、すぐに共有できる環境でなければ判断も遅れ、大きな問題につながる懸念もあります。報告しようにも日本が真夜中だった場合には翌朝などの対応となり、その間の工程がストップすることも考えられます。
時間というコストを無駄にしないよう、なるべくタイムリーに対応できる必要があります。ベトナムは2時間しか時差がないため、影響が少ないと言えるでしょう。
また物理的にもベトナムは近い国であると言えます。ベトナムの首都、ハノイや最大都市であるホーチミンと東京を結ぶ直行便も豊富にあり、東京からの往路は6〜7時間、復路は5〜6時間とアクセスの良さもメリットです。
3-5. 他国に比べ安定したインフラ環境がある
オフショア開発でベトナムが選ばれる理由は、インターネット通信のインフラが安定かつ安価であることです。
モバイルや固定回線の速度も問題なく、東南アジアのなかで速度を比較すると上位の位置付けです。さらに回線使用料金も、東南アジア内でもっとも安い料金で使用可能です。つまり安定した回線を低額で利用できるコスパの良さにも魅力があります。
4. ベトナムオフショアのデメリットやリスク
オフショア開発先としてベトナムはおすすめの国ですが、オフショア開発にはデメリットやリスクはつきものです。
4-1. コミュニケーションの難しさ
ベトナムオフショアにおけるデメリットには、コミュニケーションの難しさがあります。日本語とベトナム語の言葉の壁があるため、言語能力の高い人材が必要となります。また英語教育も行われていますが、そのスキルは人によって異なるため、コミュニケーションが難しいと感じてしまうかもしれません。
4-2. 認識の齟齬がうまれる可能性
ベトナムオフショアにおけるデメリットには、認識の齟齬が生まれる可能性があります。日本ではあいまいな表現であっても、受け手側がその意図をくみ取りうまい具合に調整してくれることが多いですが、ベトナム人ははっきり言ってくれないと分かりにくいと感じます。
「〇〇だろう」と思っていても相手には伝わらず、文化の違いから想定していたものとは異なる仕上がりにつながることや、不具合が発生してしまうなどの可能性が生まれてしまいます。仕様書を細かくするなど、こまめなチェックとフィードバックを行う必要があります。
4-3. 習慣のズレによる納期遅れ
ベトナムオフショアにおけるデメリットには、習慣のズレによる納期遅れのリスクもあります。日本人よりもスケジュールに対して意識が低いことが多く、緊急性が高い案件や難易度が高い案件でも納期を低く算出するなどのケースがあります。
本当に大丈夫かどうかを気にかけて、常にスケジュール管理への高い意識を持つ必要があります。
4-4. 管理部分でコストがかさむ可能性
ベトナムオフショアにおけるデメリットには、管理面でのコストがかさむことも考えられます。コミュニケーションを綿密に取りながら、こまめな品質チェックを行い、納期にゆとりをもってスケジュールを立てる必要があります。そのため管理面でのコストは日本国内で開発するよりかさむ可能性が高くなるでしょう。
5. ベトナムオフショア開発を成功させるポイント
ベトナムオフショア開発を成功に導くためには、デメリットやリスク面を把握して対応策が必要です。ポイントを解説します。
5-1. 実績のある企業を選ぶ
ベトナムオフショア開発を成功させるポイントは、自社の開発プログラムに適した実績のある企業を選定することです。選定の際には、過去の開発実績を見せてもらい、どこの工程をどれくらいの期間で完納したか確認します。
ソースコードなどを見せてもらえれば、どれくらいのスキルをもった人材がいるのか見えてきます。
また想定している開発と同じくらい規模感や分野であれば、過去の実績がノウハウとなります。
5-2. 言葉や商習慣の違いを理解する
ベトナムオフショア開発を成功させるポイントは、言葉や商習慣の違いを理解することです。言葉や商習慣の違いがストレスやトラブルのもとになり、失敗に終わるケースが少なくありません。日本のビジネススタイルを当たり前にせず、ベトナムの国民性や文化を尊重することが大切です。
日本では相手を思うばかりにあいまいな表現を使用してしまいがちですが、はっきりと明確な指示であるほうがベトナム人にとっては伝わりやすいです。そしてコミュニケーションの機会を増やして、日本人が思う必要以上に認識を確認することが必要です。
認識の齟齬が生まれないよう、指示した内容や決まった内容については、仕様書への追加や議事録作成などテキストに残るようにします。あとから振り返った際にも、共通の認識で開発を進められます。
5-3. チームビルディングを確立する
ベトナムオフショア開発を成功させるポイントは、チームビルディングを確立することです。オフショア開発のメリットとして、エンジニアを確保してプロジェクト終了後もメンバーが解散せず、自社の知見を蓄積していけることにあります。
一部の作業を任せるだけなど下請け扱いにはせず、自社の開発チームの一員として加わってもらいます。仕事のパートナーとして接しマネージメントを行っていけば、エンジニアのスキルアップにつながります。チームビルディングを確立できれば、徐々に開発スピードも上がっていくでしょう。
また人員が頻繁に変わることがないような体制であることや、人員入れ替えのときには引き継ぎをしっかりしてくれるような企業が望ましいです。
6. ベトナムオフショア開発会社のおすすめ5選
ベトナムオフショア開発会社におすすめの5社をご紹介します。それぞれ得意とする分野や特徴があります。
6-1. バイタリフィ
バイタリフィは2008年からの豊富な開発実績を有する、ベトナムオフショア開発の老舗企業です。ベトナムのホーチミンとハノイにそれぞれ拠点があります。
6-2. コウェル
コウェルはベトナムオフショア開発拠点だけではなく、宮崎県にもニアショア拠点があり、双方を組み合わせた提案が可能な企業です。
6-3. プライムスタイル
プライムスタイルは新規事業コンサルティングも行っているため、アイデア出しの段階から相談できるところが強みの企業です。
6-4. 株式会社エボラブルアジア
株式会社エボラブルアジアは、2012年よりオフショア開発を行っており、マーケティングからゲーム開発、システム開発など幅広い分野で事業展開しています。
6-5. 株式会社ブンブジャパン
株式会社ブンブジャパンは、金融業界や医療業界など日本独自の仕様に適したシステム開発に特化した事業展開を行う企業です。
7. まとめ
ベトナムがオフショア開発先として選ばれる理由について解説しました。ベトナムはメリットの多い国ですが、文化や意識の違いによって、オフショア開発が失敗につながるケースもあります。
せっかく優秀なエンジニアを確保したからには、能力を最大限に発揮してもらうための企業努力を怠ってはなりません。有益になるようしっかりとコミュニケーションをとりマネージメントも図りましょう。
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