1. オフショア開発とは
1-1. 概要
オフショア開発とは、システムやアプリ、サービスなどの開発業務を海外を拠点とする開発会社に委託することです。日本でも大手企業から中小企業まで、幅広い企業がオフショア開発を取り入れており、オフショア開発は日本のIT化を支えてくれています。
1970年頃からアメリカを中心にオフショア開発がスタートしましたが、1980年代に入ると日本もオフショア開発を導入するようになりました。はじめは多数の日本企業が進出していた中国から始まり、2000年代以降はインドやベトナムでもオフショア開発が行われています。
1-2. オフショア開発を取り入れる理由とは
日本の多くの企業がオフショア開発を取り入れる理由は、国内のIT人材が不足しており、IT人材の人件費が高騰しているからです。
日本では政府主導で国内企業のDX(デジタル・トランスフォーメーション)化が推進されていて、企業の業務IT化を助けるための補助金や助成金などがサポート制度として存在しています。
ですが、DX推進の担い手であるIT人材が圧倒的に足りていなく、想定通りに業務のIT化が進んでいないのが現状です。
経済産業省の調査によると、2030年までに45万人のIT人材が国内で不足するといわれており、不足を補うためにオフショア開発が積極的に行われています。
また、IT人材が不足していることで人件費が高騰しており、開発費を圧迫していることもオフショア開発が増えている要因の一つです。
中国やインド、東南アジアやアフリカでは、IT技術のあるエンジニアを日本よりも安い費用で雇用することが可能です。国によっては3分の1や5分の1で済んでしまうこともあり、オフショア開発を導入することで、より低価格でサービスを提供できるようになっています。
国によるITエンジニアの給与格差がある限り、オフショア開発の市場は拡大し続けることでしょう。
1-3. ニアショアとの違い
開発手段としては、オフショア開発の他にニアショア開発と呼ばれる方法もあります。ニアショア開発とは、国内の地方都市などある程度都心との距離が近い地域で開発を行うことです。
海外のオフショア開発ほどのコスト削減とはならないこともありますが、日本語でコミュニケーションすることができ、商習慣についても過度に気にする必要がないなど、安心感がある点がニアショア開発の大きなメリットと言えます。
近年では新型コロナウイルスのまん延防止策として在宅ワークに切り替える人が増えていますが、働く場所を選ばなくてよくなったことで地方へ移住する人がいるため、ニアショア開発も以前と比べて増えてきています。
1-4. オフショア開発ではどのようなことができる?
人材不足や人件費高騰のためにオフショア開発が増えていることは先述のとおりですが、オフショア開発を取り入れる理由はまだあります。日本の主なオフショア開発先は中国になりますが、日本より人件費がかからないにも関わらず中国のIT人材は日本語を話す人も多く、技術力の高さを十分に備えています。
つまり、オフショア開発を導入することで、日本での開発と品質の変わらない成果物を、コストを削減して仕上げることができるようになるのです。
また、国内ではお金を積んでも確保できない高度な技術を持った人材が、海外でなら見つかるといったケースも多々あります。オフショア開発はコスト削減の手段であり、且つより優秀な人材を確保するための新たな市場でもあるのです。
開発コストの高騰が続き、人材確保が難しい状況が続くうちは、オフショア開発を検討する企業が今後も増えていくはずです。
2. オフショア開発のメリット・デメリット
2-1. メリット
■優秀なエンジニアの確保
オフショア開発のメリットは、優秀なエンジニアを企業が欲しいタイミングで確保しやすい点にあります。
日本では慢性的にIT人材の不足が発生していますが、世界からオフショア開発を受託したい各国は、国をあげてIT人材の教育に力を入れています。
そのため海外ではITエンジニアとして働こうとする意欲の高い人材が増えており、競争力も激しいため、埋もれている優秀なエンジニアを見つけやすい環境にあります。
国内での需要が少ないため海外志向のエンジニアも多く、日本企業が多く進出している国では、英語はもちろん日本語を話せるエンジニアの方もいます。現地の日系企業を通してエンジニアを確保することも可能なため、言語の心配はほとんど気にならないはずです。
■開発コストの削減
オフショア開発における大きなメリットは、人件費で圧迫されている開発コストを削減できることです。日本では人材不足が深刻でエンジニア確保のための人件費が高くなっており、開発全体の費用が膨らんでいます。
オフショア先は物価の安い国が多く、人件費も日本の3分の1程度で開発できるケースが多々あります。
クオリティ確保のためには委託先の見極めやプロジェクト開始後にも密にコミュニケーションを取る必要がありますが、ある程度の時間をかけてオフショア開発のノウハウを蓄積すれば、必要な分だけ委託をするなど上手く利用できるようになります。
2-2. デメリット
■時差が時差が生じる場合がある
オフショア開発でデメリットになる点は、委託先と距離が離れているため時差が生じることです。中国なら1時間、ベトナムなど東南アジアの国であれば2時間前後、インドの場合は3時間以上の時差があります。
コミュニケーションを取る際は、相手の業務時間も考慮して進めなければなりません。納期などの調整も、日本と海外どちらに合わせるかをハッキリさせなければ、日本の業務時間を過ぎたタイミングでの納品という事態も起こり得るため注意が必要です。
■コミュニケーションコストがかかる
オフショア開発の委託先は海外の企業になりますから、コミュニケーションを取るだけでもコストがかかります。自社に英語などを話せる従業員がいれば対応も可能ですが、専門用語を理解して正確に伝えなければならないため、ブリッジSEを活用することも多くなるでしょう。
追加で費用がかかることで、コスト削減のメリットが薄れてしまう恐れもあります。委託先が日系の企業であれば、若干割高にはなりますが日本人窓口を用意してくれるため、業務は進めやすくなります。オルグローラボでは自動翻訳ツールを駆使し、ブリッジSEを活用せずとも運用できるノウハウがあります。
■長期プロジェクトとして考える必要がある
オフショア開発を進める場合、コミュニケーションに障壁があり文化の違いもあるため、お互い仕事に慣れるまでには多少時間がかかります。
国内ならコミュニケーションの障壁がないためプロジェクト毎に人材を集めても比較的スムーズに業務に入れますが、海外の場合はコミュニケーションの方法やお互いの仕事の進め方を確認する必要があるため、手間がかかります。
オフショア開発を導入する場合、毎回お互いを知ることから始めていては手間と時間がかかってしまいますから、業務の進め方に慣れたチームで次のプロジェクトも継続するなど、長期目線で考えることがおすすめです。
3. オフショア開発委託先の選び方
3-1. 開発プロジェクトにあわせた契約形態で選ぶ
■請負契約
オフショア開発を委託する際は、自社の状況に合わせて契約形態を検討する必要があります。従来は請負契約が業務形態のほとんどを占めていましたが、近年ではラボ型契約も増えており、開発スタイルも選べるようになりました。
請負契約とは、開発を予定通りに完成させることや、成果物を約束する契約です。仕様書などをあらかじめ用意して、決められた納期を目安に完成させたい場合におすすめな契約形態です。
仕様書通りの開発をするため、開発側に品質を担保するよう要請できる点がメリットで、変更などの追加依頼には費用がかかる点がデメリットです。
■ラボ型契約
ラボ型契約では、半年から1年など決まった期間で契約し、要望に適した専属のエンジニアチームを編成します。請負契約の場合は依頼者が作業プロセスに関わることはほとんどありませんが、ラボ型契約の場合はエンジニア本人やブリッジSE、マネージャーと直接コンタクトを取り、業務の指示を行います。
期間での契約になるため業務の途中に仕様変更があっても追加料金がかからないメリットがあります。企画・設計・実装・テストのサイクルを繰り返して成果物を作り上げる形態でもあるため、定期的な業務発注がなければ費用が無駄になってしまうデメリットもあります。
3-2. コミュニケーションの取りやすさで選ぶ
オフショア開発で最も懸念されることは、コミュニケーションです。海外での開発ということで、話す言葉や文化はもちろんのこと、仕事に対する取り組み方や商習慣なども異なります。
多くの違いがある中で共通の目標に向かって業務を進めるためには、日本以上に密なコミュニケーションが必要になります。時間に遅れない、確認を取ってから仕事をするなど日本では当たり前なことでも、海外では理解しづらいケースもあります。
考えの違いを直接指摘しても仕事は進まないため、ブリッジSEやマネージャー、委託先の日本窓口を挟むなど、スムーズなコミュニケーションを取れる体制が整っている会社を選ぶとよいでしょう。
3-3. 開発実績の多さで選ぶ
海外と日本のギャップをできるだけ感じずに仕事を進めたい場合は、委託先の開発実績の数を確認することをおすすめします。海外での仕事の進め方を理解するには慣れと経験が必要で、多くの時間がかかります。
開発実績が多ければ、すでに多くのギャップを経験し対策を講じていると予想できるため、安心感につながることでしょう。実績が多ければ、オフショア開発をスムーズに進行させるためのアドバイスももらえるため、ゼロから手探りで進める手間を省くことができます。
3-4. 危機管理の力の高さで選ぶ
国内でも同様なことが言えますが、業務を依頼する場合は、情報漏洩などが起きないよう、十分なセキュリティ対策がなされているかを確認しておきましょう。
委託者が少しでも安心できるよう、危機管理の高さを強みにしている開発企業を選ぶことをおすすめします。また、万一の場合の保証がどのようになっているかも確認しておくとよいでしょう。納品後にバグが何度も発生して使い物にならないとなれば大きな損失になります。
3-5. ブリッジSE(ブリッジエンジニア)の質で選ぶ
クオリティの高い成果物を納品してもらうためには、委託先の企業に所属しているブリッジSEの質も確かめておく必要があります。
こちらの要望を正確に把握し、現場の従業員に指示をするのがブリッジSEの役割のため、橋渡しの部分でミスコミュニケーションがあると、思い通りの成果を上げることが難しくなります。
要望に応えられるだけの人員を確保できているのか、リーダーとなる人材はこちらの意図を十分汲み取れるだけのスキルを持っているのか、事前にしっかりと確認・調査をするようにしましょう。
4. オフショア開発におすすめの国13選
国 | 人月単価 | コミュニケーション言語 | 開発能力 |
---|---|---|---|
ベトナム | 約20万〜35万円 | ベトナム語 | 高水準 |
フィリピン | 約25万〜35万円 | 英語 | 高水準 |
インド | 約35万〜55万円 | 英語 | 世界水準 |
バングラデシュ | 約15万〜25万円 | 英語 | 一般的 |
マレーシア | 約20万〜30万円 | 英語 | 高水準 |
インドネシア | 約25万〜30万円 | インドネシア語 | 一般的 |
タイ | 約25万〜35万円 | タイ語 | 高水準 |
中国 | 約35万〜55万円 | 英語、日本語 | 高水準 |
ブラジル | 約45万〜65万円 | ポルトガル語 | 世界水準 |
台湾 | 約30万〜35万円 | 英語、日本語 | 世界水準 |
モンゴル | 約20万〜30万円 | モンゴル語、日本語 | 一般的 |
カンボジア | 約15万〜25万円 | クメール語 | 一般的 |
ラオス | 約15万〜25万円 | ラオス語 | 一般的 |
4-1. ベトナム
【メリット】
ベトナムでオフショア開発をするメリットは、ベトナムのIT市場が成熟期に入っており、信頼できる技術力を持ったエンジニアが豊富にいることです。ベトナムでのオフショア開発が注目され出したのは2012年頃からで、人件費の高騰が顕著になってきた中国の次の開発先にベトナムが選ばれるようになりました。
10年ほど経過した現在では、ベトナムでのオフショア開発についての実績とノウハウが蓄積されているため、多くの企業から選ばれる委託先となっています。
【デメリット】
対してデメリットは、ベトナムの公用語がベトナム語であることです。ベトナムでのオフショア開発は注目を集めているため英語だけでなく日本語を話せるエンジニアも多くいますが、母国語でないためミスコミュニケーションが発生することがあります。
ブリッジSEや日本窓口、通訳を通すなど、細かいニュアンスまで正確に伝えるためには対策が必要になります。
4-2. フィリピン
【メリット】
フィリピンでオフショア開発をするメリットは、英語力が高くミスコミュニケーションが生まれにくい点にあります。フィリピンでは国民の9割が英語を話すことが可能であるため、エンジニアとなればビジネスレベルの英会話が当たり前の水準です。
委託者側の意図を伝えやすいだけでなく、フィリピン側からの意見なども理解しやすいため、ストレスを感じにくい環境と言えます。
【デメリット】
コミュニケーションは取りやすいですが、文化の違いに戸惑うこともあります。日本では業務が間に合わなければ自然と残業をすることが多いと思いますが、フィリピンでは家族との時間が重要視されているため、終業の時間になれば仕事が残っていても退社する傾向にあります。
日本側の納期で働いてもらう場合、時間に余裕を持ってプロジェクトを進めなくてはなりません。
4-3. インド
【メリット】
インドでのオフショア開発のメリットは、高いスキルを持ったIT人材が豊富にいることです。インドは元々高度な数学教育を取り入れており、世界三大難関大学のひとつに数えられるインド工科大学があります。
アメリカのIT企業が新卒に数千万円のオファーを出すなど、インドのIT人材のポテンシャルは世界から高い評価を得ています。
【デメリット】
技術の高さが世界から認められるようになり、人件費が高騰している点はオフショア開発におけるデメリットと言えます。また、日本との時差が3.5時間あり、それぞれの就業時間を考慮しながらスケジュールを組まなければなりません。
意欲的な人材が多いインドですが、成果主義で常により良い条件を求めているため、待遇に不満があれば短期間で辞めてしまいます。
4-4. バングラデシュ
【メリット】
バングラデシュでのオフショア開発のメリットは、人件費が他国よりも安いことが挙げられます。物価が安いためエンジニアの人件費も大きな負担にはなりません。日本人の5分の1ほどで優秀なエンジニアを確保できるケースも多々あり、技術的には発展途上ではありますが、コスト重視で開発を行いたい場合は検討の価値は十分にあります。
【デメリット】
国が主導してIT人材の育成を行っておりますが、インフラ整備が不十分のため、通信が途切れてしまう場合があります。
また、日本企業との実績がそれほど多くないため、時間にルーズ、中途半端な形で成果物が納品されるなど、日本式の仕事の流れに慣れていない部分が多々あります。バングラデシュでオフショア開発をする場合、長期的な目線でのやりとりが大切になります。
4-5. マレーシア
【メリット】
マレーシアでのオフショア開発のメリットは、多民族国家であるため、その多様性を開発にも活かせることです。マレーシアの住民の7割がマレー語を話していますが、英語や中国語、ヒンドゥー語を話す人もいます。
開発ではスムーズに多言語展開を採用することができるため、マレーシアを拠点に他国へビジネスを展開しようと考えているならおすすめの国になります。
【デメリット】
マレーシアではエンジニアの人件費が他国と比べてそれほど安くはありません。IT企業を優遇する制度があるため、世界からIT企業が進出しており、エンジニアの需要が伸びていて給与も年々上昇しています。
開発コストを抑えられるのがオフショア開発の魅力ではありますが、日本よりは削減できるものの、大幅なコストカットは望めないでしょう。
4-6. インドネシア
【メリット】
インドネシアでのオフショア開発のメリットは、世界第4位の人口を持つ国の市場にも進出できることです。
インドネシアでの開発実績は他の東南アジアの国に比べて少ないものの、人口が多く携帯電話も普及率100%であるため、現地でのサービス提供なども視野に入れている場合には大きなチャンスとなります。
【デメリット】
デメリットは開発実績がまだ少ないことと、英語を話せるエンジニアもそれほど多くないことです。オフショア開発のノウハウを持つ企業でなければ、業務の進行に苦慮するかもしれません。
また、英語でのコミュニケーションができない場合もあるため、英語人材を探すか日系の企業への依頼を検討する必要があります。
4-7. タイ
【メリット】
タイでのオフショア開発のメリットは、日本語でも業務をスムーズに進められる点です。タイには日系企業が1,700社以上進出しており、日本語をネイティブレベルで話せる人材も豊富にいますし、タイ語を話せる日本人も多くいます。
コミュニケーションの部分でストレスを感じることはほとんどないでしょう。通信環境も良く、インフラの整備も進んでいます。
【デメリット】
タイでも人材が不足し始めていることから、人件費の高騰がみられます。日本に比べればコストダウンはできますが、東南アジアの他の国よりも人件費は高い傾向にあります。
また、政情が不安定でクーデターも発生しているため、業務に支障をきたす可能性があります。タイへ開発を委託する際は、リスクも十分理解しておく必要があります。
4-8. 中国
【メリット】
中国でのオフショア開発のメリットは、高い技術力とコミュニケーションのしやすさ、時差の小さな点が挙げられます。中国は日本のオフショア開発の最大の委託先であり、毎年優秀なIT人材が輩出されています。
意欲的な人材が多く、英語だけでなく日本語を話すエンジニアも多いのが特徴です。時差も1時間ほどなので、時差を気にせず通常通りの業務が可能です。
【デメリット】
中国は国としての発展が著しいため、IT人材の人件費が上昇しており、以前に比べて開発コストが高くなっている傾向があります。そのため第二の中国になるような、新たなオフショア開発先を探す企業も増えてきました。
また、中国は国による監視体制が敷かれており、通信に関するリスクを抱えながらの業務になります。
4-9. ブラジル
【メリット】
ブラジルでのオフショア開発のメリットは、ラテンアメリカ随一のIT産業国家が輩出する優秀な人材を確保できる点です。技術力の高さは世界が注目しておりニーズも年々高まっています。
日本との時差が12時間でちょうど昼夜逆転しているため、24時間の保守管理が必要な業務についてはブラジルへの委託が適しています。
【デメリット】
技術力の高さが注目されていることもあり、他のオフショア開発地域に比べて人件費の高騰がデメリットになります。
多くの企業において、オフショア開発そのものの目的はクオリティそのままにコストカットできる点にありますので、費用対効果をしっかりと見極める必要があります。
4-10. 台湾
【メリット】
台湾でのオフショア開発のメリットは、世界水準の技術を持ったIT人材を確保できる点と行き来しやすい距離にある点です。
台湾は世界に名だたる電子メーカーが多く存在しており、米国の大手企業も人材発掘に力を入れています。日本との距離が近く、いざとなれば行き来できる距離にあるため安心感があります。
【デメリット】
世界の企業が人材獲得に訪れているため、人件費が高騰しており、人材確保が年々難しくなっている状況があります。また、慎重な検討よりも効率的に業務を遂行することに重きをおいているため、価値観がぶつかることがあります。
4-11. モンゴル
【メリット】
モンゴルでのオフショア開発のメリットは、日本人に似た真面目な国民性と発展途上のIT環境です。モンゴル人は仕事に対する価値観が日本人と似ており、真面目な気質の人が多い国です。IT技術については発展途上ではありますが、人件費が安く成長への伸びしろが十分にあります。
【デメリット】
ITについては発展途上であるため、オフショア開発に慣れた企業やノウハウが蓄積されている企業でなければ、業務遂行に苦慮する恐れがあります。
4-12. カンボジア
【メリット】
カンボジアでのオフショア開発のメリットは、開発コストを十分に下げることができる点です。カンボジアのオフショア開発の歴史は他国に比べると浅いため、人件費が安く、コスト重視の企業におすすめです。
【デメリット】
教育水準が低く生活インフラも発展途上であるため、技術力は十分ではありません。密なコミュニケーションを取ったり、具体的な指示を出すようにして、こちらの意図を分かりやすく伝える必要があります。
4-13. ラオス
【メリット】
ラオスでのオフショア開発のメリットは、カンボジアと同じように人件費を大幅に抑えられる点です。IT系の教育機関は徐々に増えつつあるため、新たなオフショア開発地域としてのポテンシャルがあります。
【デメリット】
技術力が発展途上にある点と人材が少ないことが現状の課題です。開発コストを抑えることはできますが、事前の技術教育などは必要になるでしょう。
5. オフショア開発の現状と動向
日本のオフショア開発を長年支えてきたのは中国で、現在でもその地位は変わりません。ですが、中国の経済成長に伴い人件費が高騰しているため、次なる委託先を模索している状況です。
現在注目されている国としてはベトナムの人気が高く、次いでフィリピンやインドなどが候補として検討されています。ベトナムは親日国であり、日系企業も多く進出していることから、心理的な障壁が低い印象を持たれています。
ただし、都市部では開発コストが徐々に上がってきているため、コスト削減のみが目的の場合、ベトナム内の地方に目を向けるケースや技術的に未開の別の国を検討する動きも出てきています。
6. まとめ
オフショア開発は国によって技術力やコスト、国民性など異なる特色があるため、自社の目的と現地の状況を適切にマッチングさせる必要があります。検討先の情報をしっかりと収集し、慎重に検討することが大切です。
「オルグローラボ」は、ベトナムでのオフショア開発をサポートしています。ベトナムでの開発はコストをおさえつつ優秀な人材を確保でき、穏やかな国民性を持ち合わせていることが特徴です。オルグローラボでは、プロジェクトスタートから保守まで一貫した支援を行います。