オフショア開発

2023.02.27

オフショア開発が失敗する理由とは?成功するための解決策を紹介

オフショア開発が失敗する理由とは?成功するための解決策を紹介

オフショア開発は、言葉の壁や文化の違いによる要因で、失敗するケースが少なくありません。リスク要因を十分に把握し対処しておかなければ、プロジェクトの成功は難しいでしょう。この記事ではオフショア開発において、よくある失敗事例と解決策をご紹介します。また会社選びも非常に重要となるため、選び方のポイントもあわせてご紹介します。

目次

    1. オフショア開発でよくある失敗事例とは

    オフショア開発では、事前にしっかりと対処しておかなければ、失敗することが多々あります。よくある失敗事例を解説していきます。

    1-1. 品質が期待通りではなかった

    オフショア開発では、開発の品質が期待している基準を満たしていないといったケースがあります。例えばソースコードの可読性が悪い、バグや不具合があるといったケースはよくある事例です。

    日本であれば、開発途中や納品の前にテスト確認することが当たり前ですが、国によっては、「指示内容にテスト項目がなかったからやらない」「トラブルがあっても報告なしに自己判断で進める」といった国民性の違いがあります。

    このように作業の捉え方に違いがあるため、結果的に期待通りの品質にならないといったことが起こり得るのです。

    1-2. コミュニケーションがうまくいかなかった

    オフショア開発には、難点であるコミュニケーションの問題があります。日本人同士のコミュニケーションでも難しい場合があるのに、言葉の壁や文化の違いがある海外であればなおさらのことです。

    言語能力に問題がなくてもやはりネイティブではないため、うまく指示が伝わっていないことがよくあります。進行しているうちに少しの認識のずれにより、方向性が大きくずれる結果となってしまったなど、さまざまな失敗が起こり得ます。

    1-3. コストオーバーしてしまった

    オフショア開発は、コストの管理が難しい可能性が大きいです。納期が間に合わないため、相談なくスケジュールを変更して後からトラブルになるなど、コスト面に関して意識が薄い部分があるからです。

    日本のスタイルであれば、スケジュール管理を行い、どれくらいの人件費が必要かといったコスト面をきっちり管理するでしょう。コストオーバーの可能性が見えれば、軌道修正しようと改善策を練るはずです。

    しかしそれは日本の常識なだけであり、海外であれば細かい数字にとらわれない傾向があります。

    1-4. 納期の遅延が起きてしまった

    海外ではコスト面の管理と同じく、納期に対しての意識が日本よりも厳しくありません。日本人であれば、納期を逆算して間に合わせようと対処しますが、海外の国では日常のスタイルを変えることなく、目の前の業務だけをこなして定時になれば帰社することも多くあります。

    納期に成果物が出来上がっていなくても気に止めることもないかもしれません。オフショア開発では納期の遅延はよくある話なのです。

    1-5. 仕上がりがイメージしたものと違った

    オフショア開発で納品された成果物は、想定しているものと仕上がりのイメージが異なることがよくあります。曖昧な指示内容でも、日本であれば受け手側が内容を汲み取って作業を行い、不明点や問題があれば確認をとるでしょう。

    しかし言葉や文化の違いもあり曖昧な表現は全く伝わっておらず、自己判断で作業を進めるケースもあります。

    また開発先の国では良いとされる画面設計であっても、日本人には馴染みがないということがあります。そのため要件は満たしていても、思っていたのと仕上がりイメージが異なるということが起きてしまうのです。

    2. オフショア開発を成功させるための解決策

    オフショア開発は、言葉の壁や文化の違いなどの要素から失敗事例を多く見受けます。しかし日本企業側もオフショア先に関しての知識が乏しいことにも原因があります。このような失敗を避ける解決策をご紹介します。

    2-1. 相互理解する

    日本での常識を押し付けるのではなく、国民性や商習慣を理解することが大切です。なぜ納期に間に合わないのか、トラブルを報告しないのかなどと責めるような態度をとれば、相手からやりづらいと思われてしまいます。

    納期が間に合わなさそうだから適当に仕上げる、事実を捻じ曲げて報告することや隠蔽するといった深刻な問題に繋がりかねません。できなくてもできると答えることや、納期にとらわれない面があるなど、どのような特性があるのか理解しておけば、未然に防止策を取れるでしょう。

    2-2. コミュニケーションを密に取る

    オフショア開発は、コミュニケーションのギャップが大きいため、意識的にコミュニケーションを図る必要があります。

    日本人は議論が苦手でシャイな面があります。そのため、曖昧な表現や暗黙の了解という日本人特有の文化があります。海外から見るとこの文化は、独特で分かりづらいと思われるでしょう。

    ちょっとしたことでも積極的にコミュニケーションを図ることで、認識のずれを修正しトラブルも共有しやすくなります。

    2-3. 開発の進捗を明確にする

    オフショア開発では、開発の進捗状況をこまめにチェックすることが大切です。納期だけを設定して成果物をチェックするだけでは、クオリティやイメージが違うというリスクが高くなります。定期的に成果物のチェックを行えば、不具合があったとしても早い段階で気づけ軌道修正が可能です。

    手間の掛かることですが、オフショア開発では重要なポイントとなります。

    2-4. 開発前に仕様を明確しておく

    開発前に自社内で明確な仕様書を作っておくことが大切です。日本であれば、明確な仕様書を作り上げていなくても、サンプルを見せてこのような感じでと依頼し、あとはコミュニケーションを図りながら柔軟な対応が期待できます。しかし海外ではそれは通用せず、仕様書に記載がなければやらないか、個人の判断で勝手に作業が進みます。

    特にイメージは人によっても異なります。レイアウトやフローなどの図を取り入れる、「この・その」など曖昧な表現を避け、5W1Hを明確にするなど、伝わりやすさを工夫しましょう。

    2-5. ノウハウを蓄積しやすい

    オフショア開発では、開発のエンジニアを固定してもらうことが大切です。プロジェクトに関する知識を積み重ねていくことで、エンジニアはよりスピーディーに業務を進められます。

    会社ごとの開発の特色のようなものは少なからず存在します。したがって、エンジニアの入れ替わりが激しいと育成に時間がかかるため、エンジニアを固定しておければ、企業にとっても長期的メリットがあると言えます。

    2-6. 委託先国の特徴を把握する

    日本のオフショア開発先として代表的な5カ国を比較してみます。国によって特徴は大きく異なります。

    特徴
    ベトナム・勤勉で真面目な性格であるため日本人と好相性、親日国。
    ・IT技術と日本語の習得を国を掲げて推進。
    ・オフショア開発先として近年ではシェアNo.1の国。
    インド・英語が堪能であるため、欧米圏のオフショア開発先として人気で実績も豊富。そのため日本語を習得する必要性がなく、英語でのやりとりになる。
    数字に強くロジカルシンキングが得意で、規模の大きいプロジェクトでも任せられる。
    中国・かつては中国が主流だったが、人件費が高騰しているためあまりコストカットは望めない。

    ・人口も多いためスキルの高いエンジニアが揃っており、最新技術を用いた開発が可能。
    日本語を話せる人は多いが、数年前には反日デモが起こった。

    フィリピンオフショア開発先としては経験が浅い。
    複雑な案件や大きなプロジェクトは難しい。
    下流工程をメインにするとよい。
    ミャンマー勤勉で我慢強さがあり日本人と好相性。
    2021年に軍事クーデターが起こり、内政に不安な面がある。
    インフラ整備が進んでいない。

    2-7. 日本人マネージャーを配置する

    オフショア開発では、プロジェクトをまとめるプロジェクトマネージャーや、エンジニアとのパイプ役であるブリッジSEに、日本人を配置するのが得策です。日本企業の意思を十分に理解し、現地で指示や管理を行う必要があるからです。

    現地の人を起用する場合には、言語能力に問題がなく、オフショア開発の経験や実績に申し分ない人を選任しましょう。オフショア開発には現地のエンジニアだけではなく、日本企業とをつなぐ人材選びが大切です。

    3. オフショア開発を成功させるための会社の選び方

    オフショア開発を成功させるには会社選びも非常に重要です。会社を選ぶ際のポイントをご紹介します。

    3-1. 開発実績のある会社を選ぶ

    オフショア開発先の候補となる会社には、これまでの実績内容を可能な限り、情報提供してもらいましょう。どのレベルのものをどのくらいの期間で、どれくらいの人数で制作したのかを確認します。エンジニアのスキル感をある程度把握することは、判断材料となります。

    また問題ないレベルの成果物を仕上げていたとしても、エンジニアが豊富に揃っていない会社であれば、急にクオリティが下がるといった問題が起こりかねません。優秀なブリッジSE一人に頼っている会社である場合は、リスクが高くなります。

    3-2. コミュニケーションがしっかり取れるかを確認する

    日常会話や仕事内容の指示の把握に問題ないレベルか、日本の文化や商習慣に理解があるか、といったポイントを確認します。特に問題なく会話が出来ていたように思えても、指示した内容とは違ったものが成果物に上がってくる可能性もあります。

    また柔軟に対応してくれる国民性であるかも大切です。日本側も海外の文化を理解することは大切ですが、相互の歩み寄りが大切です。

    オフショア開発先の国に日系企業が運営している会社もあるため、言語に不安がある場合には、日系企業に依頼することも検討しましょう。

    3-3. 予算部分のみにこだわりすぎず余裕を持たせる

    オフショア開発のメリットはコストを抑えてシステム開発が出来るという点にありますが、それだけにとらわれてはいけません。人材配置やスケジュールの面でコストをカットしようとすると、リスクが高まってしまうからです。

    コミュニケーションの問題をクリアにするため、優秀なプロジェクトマネージャーやブリッジSEを配置するには、一般のエンジニアより高待遇でなければなりません。

    また国内と同じような開発スケジュールをとるのも得策ではなく、定期的なチェックや時差があることも考慮したスケジュール設定が必要です。予算にこだわりすぎてコストカットを行うとリスクヘッジができず、余計な損失を与えかねません。

    3-4. プロジェクトにあった会社を選ぶ

    開発の内容によって依頼する会社を選ぶことが大切です。オフショア開発先には、Webサイトやスマホ用アプリケーションといった基本的な開発技術や、AIを活用したシステムなど、高度な技術を要するものがあり、必要としている技術やその規模も異なるはずです。

    自社のプロジェクトの内容や、規模の大きさに適した会社を選定することが大切です。

    4. まとめ

    オフショア開発に限らず、国内での開発であっても失敗するリスクはあります。それが言葉の壁や文化の違いがある海外であればなおさらです。

    コミュニケーションを密にとり、受取手の認識の違いがないように、日本人や言語能力が高い人をマネージャーに配置することで、コミュニケーションや文化の壁といった問題は解決できます。

    そして任せっきりにするのではなく、明確な仕様書の作成や、定期的なテスト環境を設けるなどの対策を行うことで成功に大きくつながるでしょう。会社選びも実績があるか技術に問題がないかなどをチェックして、慎重に選定します。

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    特にベトナムは上述したとおり、低価格で高品質な業務を依頼でき、国民性も良いのでおすすめです。