ベトナムのオフショア開発の市場規模を分析!動向や今後についても解説

ベトナムのオフショア開発の市場規模を分析!動向や今後についても解説

日本のIT業界でも、人材不足の解消やコスト削減を目的に、海外へ業務委託するオフショア開発を実施する企業が増えています。委託先として注目されているのがIT新興国となったベトナムです。本記事では、オフショア開発が抱える課題を踏まえて、ベトナムにおけるエンジニアの質や人件費などのメリットおよび今後の動向について解説します。

 

【目次】
1. ベトナムの情報通信産業の規模について
2. ベトナムのオフショア開発の市場規模は?
3. ベトナムのオフショア開発の市場規模の大きさが与えるメリット
3-1. ベトナム国内のオフショア開発企業が増える
3-2. エンジニアの技術がさらに向上する
4. ベトナムでのオフショア開発が注目されている理由とは
4-1. 開発領域の幅が広い
4-2. 質の高いエンジニアが豊富
4-3. 日本との時差が少ない
4-4. 他国より費用が抑えられる
4-5. IT人材不足が解消できる
5. ベトナムのオフショア開発の動向と今後は?
6. まとめ

 

1. ベトナムの情報通信産業の規模について

ベトナムのICT(情報通信技術)産業は、売上高および輸出額で成長を続けています。2018年の総収入が989億米ドル、輸出額は940億米ドルと推定されます。

 

ICT産業の規模は10年間で16倍拡大し、主要産業のひとつとなりました。(Tạp chí Khoa học và Công nghệ Việt Nam』2020年5月29日「ベトナムにおけるデジタルトランスフォーメーションの推進より)

 

2020年には、当時のグエン・スアン・フック首相が「2030年に向けた2025年までの国家デジタル変革プログラム」を承認して、デジタル化により新しい技術とモデルをテストする先駆者になるという方向性を示しました。(『Dân trí』2020年6月4日「ベトナムは2030年までにデジタル国家になるという目標を設定しましたより)

 

2. ベトナムのオフショア開発の市場規模は?

ジェトロ(日本貿易振興機構)が2020年2月に調査したところ、日本企業の63.9%がベトナムで事業を行っており、その市場規模はASEANで最も高く、アジアとオセアニア地域で3番目です。

 

ベトナムは、当時136か国と地域からの総登録資本金が3,780億米ドルにのぼります。日本は、600億米ドル以上の投資資本を持つ、2番目に大きな投資国となりました。(FUJITSU・LS研『ベトナムにおけるICT人材育成と産学連携』より)

 

ベトナムにおけるICT産業の開発戦略では、ソフトウェアの主要輸出国にするため、2025年までにICT産業の輸出売上高は1,200億米ドル、さらにIT企業の数を5万にする必要があるとしています。(2020年1月22日『Nhan Dan』より)

 

3. ベトナムのオフショア開発の市場規模の大きさが与えるメリット

ベトナム政府は、ICT産業の発展を国策に掲げており、オフショア開発の市場規模拡大にともなうメリットが期待されます。

 

3-1. ベトナム国内のオフショア開発企業が増える

市場規模が大きくなれば、オフショア開発会社の増加に繋がるため、受託する側の競争力が強まって差別化が進みます。各社が特徴や独自性を打ち出してアピールしようと努力するため、発注先の選択肢が広がりサービスの向上も期待されます。

 

3-2. エンジニアの技術がさらに向上する

ベトナムのエンジニアは、Webシステムやスマホアプリ、医療用アプリ、ゲームなどのエンタメアプリ、業務システムなどさまざまなジャンルで能力を発揮します。

 

マーケティングで必要とされる膨大なデータ処理までこなす優秀なエンジニアが多いことで知られますが、オフショア開発企業が増えればさらに技術力の向上が期待されます。

 

4. ベトナムでのオフショア開発が注目されている理由とは

ベトナムにおけるICT産業の現状や、市場規模などについて見てきましたが、なぜオフショア開発がここまで注目を集めているのでしょうか。

 

4-1. 開発領域の幅が広い

ベトナムは、AI開発やブロックチェーン技術の活用で可能性を広げており、近頃はヒト・モノ・カネの情報を一元管理するERP(エンタープライズ・リソース・プランニング)も対象となっています。開発領域を拡大していることは大きな魅力と言えるでしょう。

 

4-2. 質の高いエンジニアが豊富

ベトナムのエンジニアは、PHPやRuby、Python、Javascript、Objective-Cなどソフトウェア開発に必要なプログラミング言語を得意としており、最新技術に対応できる人材が増えています。

 

4-3. 日本との時差が少ない

ベトナムと日本の時差は、2時間しかないことも特徴です。日本からリモート会議をしても時差はほとんど気にならず、コミュニケーションを取りやすいことはメリットと言えるでしょう。

 

4-4. 他国より費用が抑えられる

オフショア開発にかかる費用には、設計費用や開発管理のためのディレクション費用などがありますが、一番大きいのはエンジニアの人件費です。例えば、2004年のデータによると、日本のITエンジニアの年収は世界トップクラスでした。

 

主任・上級専門職クラスの給与は、日本が$64,500で世界2位に対して、中国は$12,400で27位、ベトナムは$8,300で31位と人件費に差があります。現在でもベトナムのオフショア開発により、人件費を抑えることが可能です。(『リクナビNEXT』「エンジニアライフ応援サイトTech総研」より)

 

4-5. IT人材不足が解消できる

日本国内のITエンジニアは、2030年までに約45万人不足すると言われています。ベトナムでは、生産年齢人口 (15歳〜64歳) が増え続け、2020年にはITエンジニアの総数は40万人になりました。

 

さらにIT人材の育成が国策に掲げられており、ベトナムの大学では、情報技術学生に対して日本語教育を行っているため、日本企業の人材不足解消につながります。

 

5. ベトナムのオフショア開発の動向と今後は?

ベトナム政府が2030年までを見据えた2025年までの国家DX Programでは、「デジタル政府」「デジタル社会」「デジタル経済」を三本柱に据えています。

 

開発目標のひとつとして、GDPに占めるデジタル経済の割合を、「2025年:20%」「2030年:30%」としています。

 

学生に向けた最新デジタル情報技術教育の充実や、労働者に対するデジタルスキルトレーニングなどを掲げており、今後はエンジニアの技術向上とともに、人材確保がオフショア開発の主なメリットとなる可能性があります。

 

6. まとめ

ベトナムは国内企業でもIT人材の需要が増えており、日本との経済水準やエンジニアの人件費の差が縮まりつつあることは注視する必要があります。しかし日本市場に向けたソフトウェア開発の割合が最も高いことから、オフショア開発の主要な相手国であることに変わりはありません。

 

オルグローラボ」では、ベトナムのオフショア開発事業をサポートしています。オルグローラボを利用すれば、業務スタートまでのプロセスを省略でき、納品後の保守運用までサポートしています。特にベトナムは上述したとおり、低価格で高品質な業務を依頼でき、国民性も良いのでおすすめです。