プロジェクトマネージャー(PM)がオフショア開発において果たす役割とは?

プロジェクトマネージャー(PM)がオフショア開発において果たす役割とは?

プロジェクトマネージャー(PM)は、プロジェクトを成功に導くためのキーパーソンです。オフショア開発においては海外チームをマネジメントする能力も求められるため、多くの役割・スキルが求められます。この記事では、プロジェクトマネージャーがオフショア開発において果たす役割について解説します。

 

【目次】
1. プロジェクトマネージャー(PM)とは?
2. プロジェクトマネージャーとディレクターの違い
2-1. 役割の違い
2-2. 仕事内容の違い
3. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーの役割
3-1. プロジェクト全体の管理
3-2. チームのマネージメント
3-3. スケジュール管理・進捗管理
3-4. 予算管理
3-5. 品質管理
4. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーの平均年収
5. オフショア開発でプロジェクトマネージャーに起こりやすい課題とは
6. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに求められるスキル
6-1. マネジメントスキル
6-2. コミュニケーションスキル
6-3. リーダーシップ能力
6-4. 提案力・交渉力
6-5. 理解力
6-6. ビジネスマネジメント知識
6-7. 問題解決力
6-8. 技術に関するITスキル
7. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーが有利な経験は?
7-1. SE・プログラマーの実務経験
7-2. 海外のエンジニアとの共同作業経験
7-3. リモート環境でのマネジメント経験
8. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに役立つおすすめの資格
8-1. PMI® 試験・資格
8-2. プロジェクトマネージャ試験(PM)
9. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに就く際の注意点
9-1. オフショア開発チームと密接な関係を築く
9-2. 文化の違い・商習慣の違いを理解する
9-3. 現地スタッフへ論理的な説明を心掛ける
9-4. タスク管理の徹底をする
10. まとめ

 

1. プロジェクトマネージャー(PM)とは?

プロジェクトマネージャー(PM)とは、プロジェクトの進行管理を務め、プロジェクトマネジメントの総合的な責任者を指す言葉です。

 

定められた要件に従って、スケジュール通りにプロジェクトを完遂することが求められます。また、プロジェクトの進行に伴って、チームメンバーの管理や外部ステークホルダーとの渉外も必要です。さらにはプロジェクトにかかる予算管理や成果物の品質管理も、プロジェクトマネージャーの管掌です。

 

プロジェクトマネージャーとは、与えられたプロジェクトの成功に全責任を負っているとも言えるでしょう。

 

2. プロジェクトマネージャーとディレクターの違い

プロジェクトマネージャーと似た役職に、「ディレクター」があります。プロジェクトマネージャーとディレクターの仕事は一部重なる部分もあるため、しばしば混同されがちです。

 

しかし、ディレクターにプロジェクトマネージャーほどの責任はありません。ここからは、それぞれの違いについて紹介します。

 

2-1. 役割の違い

プロジェクトマネージャーとディレクターでは、求められる役割が異なります。

 

プロジェクトマネージャーに求められるのは、プロジェクトを成功させるために必要な全ての事項です。最近のプロジェクト管理ではQCD(品質 Quality・コスト Cost・納期 Delivery)という概念が重視されているため、主にこの3つを重点的にマネジメントします。

 

一方、ディレクターは制作物(納品物や成果物)の品質を任されています。プロジェクトマネージャーから与えられた予算とスケジュールの中で、求められる品質を満たした制作物を完成させることが、ディレクターの役割です。

 

2-2. 仕事内容の違い

プロジェクトマネージャーとディレクターでは求められる役割が異なることから、仕事内容にも違いがあります。

 

プロジェクトマネージャーはQCD管理が求められているため、制作はもちろん予算管理やスケジュール管理のために大人数をマネジメントする必要があります。

 

制作チームや開発チーム、経理チームなど、複数のチームをそれぞれマネジメントすることも少なくありません。そのため、大局的な目線や戦略的思考なども求められます。

 

一方、ディレクターは、1つのチームで具体的なタスク処理を務めることが多いです。制作チームであればデザイナーとコーダーへの指示、開発チームであればエンジニアとプログラマーへの指示など、個別具体的な作業管理が求められます。

 

3. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャの役割

オフショア開発において、プロジェクトマネージャーには次のような役割が求められます。

 

プロジェクト全体の管理

チームのマネージメント

スケジュール管理・進捗管理

予算管理

・品質管理

 

これらは全てプロジェクトマネージャーとして必須の役割です。ここからは、それぞれの役割の詳細について解説します。

 

3-1. プロジェクト全体の管理

プロジェクトマネージャーはプロジェクトの全体、すなわち制作や開発のみならず、オフショア先企業との要件定義や、場合によってはクライアント企業への対応も管理しなければなりません。

 

特にオフショア開発においては、海外の委託先との間に入るブリッジSEとの連携も不可欠です。オフショア開発のプロジェクトマネージャーには、技術面だけではなく海外の文化や風習を加味してプロジェクトを進める力が求められます。

 

3-2. チームのマネージメント

プロジェクトに関わるそれぞれのチームをまとめることも、プロジェクトマネージャーの役割です。それぞれのチームの適性に合わせて担当者を割り当て、場合によっては採用にも携わります。そのため、プロジェクトをスムーズに進めるためのマネジメント力・コミュニケーション力が重要です。

 

3-3. スケジュール管理・進捗管理

プロジェクトを予定通りに進行させることも、プロジェクトマネージャーに求められるスキルです。プロジェクトには複数のチームが絡むため、1つの段取りが遅れると波及的にスケジュールに支障をきたします。そのため、あらゆる事態を先回りして進捗管理することが重要です。

 

また、ブリッジSEと連携しながら、海外チームの進捗管理も行います。オフショア先によっては納期にルーズな文化の国もあるので、段取りを細かく区切って進捗管理する工夫などが求められるでしょう。

 

3-4. 予算管理

プロジェクト全体の予算管理もプロジェクトマネージャーの仕事です。決められたスケジュールで進めることはもちろん、決められた予算内でプロジェクトを成功させなければなりません。どうしても予算が足りない場合は、予算増額の交渉もプロジェクトマネージャーが担います。

 

3-5. 品質管理

プロジェクトの成果物の品質管理も、プロジェクトマネージャーが責任を負います。記事の冒頭で紹介したディレクターも品質に責任を負っていますが、最終的な品質管理責任者はプロジェクトマネージャーです。

 

プロジェクトで定められている要件を満たすよう、制作チーム・開発チームをマネジメントしましょう。

 

4. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーの平均年収

ここまで紹介した通り、プロジェクトマネージャーに求められる役割は多岐にわたり、必要なスキルも多いです。そのため、プロジェクトマネージャーの平均年収は800万円~1,000万円程度と、他の開発職と比べると高い水準になります。

 

プロジェクトマネージャーは、システム開発に関わる全ての業務に携わるため、エンジニアとしての知識はもちろん、プログラマーやデザイナー、ディレクターなどその他職種のことも理解しなければなりません。

 

そのため、プロジェクトマネージャーになる場合は、いずれかの職種からのステップアップで昇進する流れが一般的です。

 

また、最近ではオフショア開発が盛んな傾向から、ある程度の語学力が求められる場合もあります。求められるスキルが増えるにつれ、今後プロジェクトマネージャーの平均年収は、ますます上がっていくでしょう。

 

5. オフショア開発でプロジェクトマネージャーに起こりやすい課題とは

オフショア開発でプロジェクトマネージャーに起こりやすい課題としては、海外の委託先のマネジメントです。

 

オフショア委託先の企業・エンジニアを日本企業や日本人エンジニアと同じように扱うと、文化や風習の違いからトラブルになりやすいと言われています。オフショア委託先とのトラブルを避けるためには、プロジェクト全体のことを考えつつ、オフショア委託先に配慮して仕事を割り振る必要があるでしょう。

 

また、オフショア先との時差やコミュニケーション不足が起因して、スケジュールが遅れがちになったり、要件定義がうまくいかないことも課題です。物理的に距離が離れている分、コミュニケーションを密にとり、認識齟齬が起こらないようにしましょう。

 

6. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに求められるスキル

オフショア開発において、プロジェクトマネージャーに求められる役割は多岐にわたります。

 

▼ 全ての役割を果たすためには、次のようなスキルが必要です。

 

マネジメントスキル

・コミュニケーションスキル

・リーダーシップ能力

・提案力・交渉力

・理解力

・ビジネスマネジメント知識

・問題解決力

・技術に関するITスキル

 

プロジェクトマネージャーを選ぶ際には、上記のスキルを持ち合わせているか確認しましょう。また、これからプロジェクトマネージャーになりたい人は、自分に足りていないスキルを把握することが重要です。

 

ここからは、それぞれのスキルについてプロジェクトマネージャーの具体的な仕事と絡めて紹介していきます。

 

6-1. マネジメントスキル

プロジェクトマネージャーはエンジニア的なスキルよりも、プロジェクト全体をまとめるマネジメント力が求められます。

 

そのため、エンジニアとして優秀な人材よりも、チームをまとめられる人材の方がプロジェクトマネージャー向きです。

 

6-2. コミュニケーションスキル

プロジェクトマネージャーは、各チーム同士のベクトルを合わせ、プロジェクトを成功させなければなりません。利害が一致しないスタッフ同士をまとめられるようなコミュニケーションスキルも、プロジェクトマネージャーには必要です。

 

6-3. リーダーシップ能力

各チームをまとめると同時に、場合によっては強力にプロジェクトを引っ張るリーダーシップ能力も不可欠です。

 

プロジェクトを成功させるためには、多少は強引さも必要になります。コミュニケーションをとりつつ、チームを牽引できる人材がプロジェクトマネージャー向きです。

 

6-4. 提案力・交渉力

プロジェクトに関わるチーム・オフショア先・クライアントなど、ステークホルダー同士の認識を合わせるための提案力や交渉力も必要です。

 

全員が納得するような策を考案できる能力とも言えます。

 

6-5. 理解力

ステークホルダーの要求を理解する能力も重要です。

 

プロジェクトを予算内・スケジュール内に完了させるためには、クライアントからの要求に言いなりになるのではなく、本当に実現したい機能はどのような要件なのか理解し、適切に定義づける力が必要になります。

 

6-6. ビジネスマネジメント知識

プロジェクトを成功させるだけではなく、プロジェクトから利益を出すこともプロジェクトマネージャーの仕事です。

 

そのため、経営者的な目線も必要なスキルと言えます。

 

6-7. 問題解決力

プロジェクト進行中には、どれほど気をつけていても不測事態が発生します。そのような問題発生時に、適切に対応して解決する力もプロジェクトマネージャーに必須のスキルです。

 

6-8. 技術に関するITスキル

最後に、基本的な技術に関するITスキルも求められます。

 

プロジェクトマネージャー自身は作業をしませんが、現場で働くエンジニアやプログラマーと問題なく意思疎通できる知識は身に着けておきましょう。

 

7. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーが有利な経験は?

ここまで紹介した役割・スキルを鑑みて、次のような経験はオフショア開発におけるプロジェクトマネージャーとして有利な実績と言えます。

 

SE・プログラマーの実務経験

海外のエンジニアとの共同作業経験

リモート環境でのマネジメント経験

 

7-1. SE・プログラマーの実務経験

基本的なIT技術・知識を習得する観点から、オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーにとってSE・プログラマーの実務経験はかなり有利です。

 

7-2. 海外のエンジニアとの共同作業経験

オフショア開発では海外チームに作業を任せることになるので、海外のエンジニアとの共同作業経験も有利です。特に、オフショア先として選ばれやすい東南アジアのエンジニアとの共同作業経験があると良いでしょう。

 

7-3. リモート環境でのマネジメント経験

オフショア開発は必然的にリモートで行われるため、リモート環境でのマネジメント経験もあると望ましいです。

 

同じオフィスでマネジメントするのと、リモートでマネジメントするのとでは、リモートでマネジメントする方が難しいでしょう。メールやWebMTGで正確に指示が出せるスキルが、リモート環境では求められます。

 

8. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに役立つおすすめの資格

▼ オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに役立つおすすめの資格としては、次の2つが挙げられます。

 

PMI® 試験・資格

プロジェクトマネージャ試験(PM)

 

それぞれの概要は次の通りです。

 

8-1. PMI® 試験・資格

国際的な機関であるPMI®(Project Management Institute)が認定するプロジェクトマネジメントの資格として、プロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測る「PMP®(Project Management Professional)試験」、プロジェクト・チームメンバー、新人のプロジェクト・マネジャー、大学生、大学院を対象とした「CAPM®試験」などが実施されています。

 

プロジェクトマネージャーとしての実力を客観的に測定したい方にオススメの試験です。

 

8-2. プロジェクトマネージャ試験(PM)

独立行政法人情報処理推進機構が実施する試験として、プロジェクトマネジメント業務を単独で、又はチームの一員として担う方を対象とした「プロジェクトマネージャ試験」が実施されています。

 

専門分野を持ったIT人材として、スキルアップしたい方にオススメの試験です。

 

9. オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに就く際の注意点

▼ 最後に、オフショア開発におけるプロジェクトマネージャーに就く際の注意点を4つ紹介します。

 

オフショア開発チームと密接な関係を築く

文化の違い・商習慣の違いを理解する

現地スタッフへ論理的な説明を心掛ける

タスク管理の徹底をする

 

それぞれの具体的な注意点と、対処方法は次の通りです。

 

9-1. オフショア開発チームと密接な関係を築く

オフショア開発チームはプロジェクトの開始と共にジョインするため、コミュニケーションが薄くなる傾向にあります。しかし、プロジェクトの成功にはオフショア開発チームのコミットメントも欠かせません。

 

プロジェクトが開始したら、まずはオフショア開発チームと密接な関係を築くことを意識しましょう。

 

9-2. 文化の違い・商習慣の違いを理解する

オフショア開発チームと日本企業には、文化の違い・商習慣の違いが必ず存在します。それらの違いを理解し、オフショア開発チームが気持ちよく働ける環境を用意することも、プロジェクトマネージャーに求められる仕事です。

 

9-3. 現地スタッフへ論理的な説明を心掛ける

オフショア先の現地スタッフへは、論理的な説明を行うよう心がけましょう。オフショア先への指示は、明確にしなければ伝わりません。「言わなくても分かるだろう」「このくらいはやってくれるだろう」という油断は、プロジェクト失敗の原因となります。

 

9-4. タスク管理の徹底をする

プロジェクトをスケジュール通りに進行させるためにも、オフショア先のタスク管理は徹底しましょう。先述したように、オフショア先の国の文化によっては納期が守られない場合もあります。段取りを細かく設定し、それぞれのタスク完了日は順守させることが重要です。

 

10. まとめ

オフショア開発を成功させるためには、プロジェクトマネージャーが求められている仕事を忠実に行う必要があります。しかし、はじめてプロジェクトマネージャーを任されている場合は、どこから手を付けたらいか分からない場合もあるかもしれません。

 

初めてプロジェクトマネージャーを務める方は、こちらの記事で紹介したプロジェクトマネージャーがオフショア開発において果たす役割を参考に、オフショア先との良好な関係を築くようにしてみてください。

 

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