1. オフショア開発のニーズは日本/世界ともに増加している
オフショア開発を利用している企業は、日本を含む世界で増加しています。2017年頃からオフショア開発の利用増加の傾向が見え、市場規模は増え続けています。
日本ではIT人材の確保が難しくなっていることが問題視されています。さらに2030年には数十万人規模のIT人材不足になると言われています。今では、オフショア開発は当たり前の方法となっており、今後もますますの規模拡大が予想されています。
2. オフショア開発のこれまでの動向を解説
オフショア開発はこれまで中国が主流でした。中国に進出しシステム開発を行う日系企業が増え始め、2000年代に入ると中国でのオフショア開発が盛んに行われていました。
オフショア開発先として、中国は距離も近く人件費の安さなどもあり選ばれていました。しかし今では中国は、IT先進国に成長をとげ人件費が高騰し、オフショア開発の目的であったコストカットのメリットが見込めないようになりました。そのため高度なスキルを求めるためといった活用方法に変わってきています。
2020年以降、中国の代わりとなるオフショア開発先として東南アジア圏の国が選ばれるようになってきており、とくにベトナムでは近年オフショア開発先として人気の国です。
3. オフショア開発の最新動向は?
オフショア開発において、依頼する企業の規模や業種の変化について、またオフショア開発を行う目的の変化について、最新動向をご紹介します。
3-1. 依頼する企業の規模や業種はどう変わった?
オフショア開発を依頼する企業は、コロナ禍以前から初期にかけてはベンチャー企業やスタートアップ企業が多く、製品開発を目的としたオフショア開発がほとんどでした。コロナ禍による世界情勢や生活スタイルの変化を、新たな市場と捉えてビジネスモデルを生み出す企業が活発的になったと考えられます。
2022年に入るとコロナ禍でのスタートアップが落ち着き、中小企業の利用が増えてきています。新規でのプロジェクト開発を社内で行い、既存システムの運用や保守を外部に委託する活用方法に流れている傾向があります。
3-2. オフショア開発を行う目的が変化している
近年のオフショア開発では、人件費のコストメリットという目的よりもリソース確保の目的に変化しつつあります。
その背景には、日本国内におけるIT業界の需要拡大と労働人口の減少といった理由があります。
IT市場が急速に成長しており、今後もさらなる市場規模の拡大が見込まれます。AIやIoTなどの最新テクノロジーや、クラウドサービスの利用、DX化などさまざまな企業が活発に導入しているため、ITニーズが高まっています。
そのような状況の中、日本は少子高齢化に伴い、労働人口は減少しています。労働人口の減少は、需要が高まっているIT業界にさらなるダメージを与えており、ITリソースの確保が問題となっているのです。国内の優秀なIT人材は、その希少性から人件費が高騰しているといった問題もあります。
一方で、オフショア開発先として選ばれる国は、IT人材の教育やIT産業を推進している国も多くあり、ITリソースが豊富です。
開発実績もあるため、技術面での不安は解消されており、人件費のコストメリットだけではなく、ITリソースの確保ができるというメリットが大きくなっているのです。オフショア開発を行う目的が変わってきていると言えるでしょう。
4. オフショア開発における委託先の現状と知っておきたい動向
オフショア開発先として注目されている委託先の現状と知っておきたい動向について、解説します。
4-1. 【中国】の現状・動向
中国は、上述した通り、最も古くからオフショア開発先として知られている国です。オフショア開発の歴史も古く、多くの日本企業が中国に進出していた経緯もあるため、日本との仕事のために日本語を習得していた中国人も多くいます。そのため言語の壁という問題は他の国に比べると低いです。
中国は今やIT先進国として、エンジニアの技術も非常に優れています。そのため、人件費も高騰しており、昔のように人件費削減のためのオフショア開発先という選択肢はなくなっています。反対にコストが高くなってでも、技術の優れたエンジニアを求めるといった目的で選ばれる国となっています。
4-2. 【インド】の現状・動向
インドは、母国語であるヒンディー語と英語が公用語になっており、コミュニケーションを図る場合には、英語がメインになります。そのため、インドは、欧米企業からオフショア開発先として選ばれています。
インドはIT大国として、高い技術をもったITエンジニアが豊富にいます。しかしインドは中国に次いで人件費の単価が高騰しています。そのためインドも中国と同じように、コストメリットではなく、その技術力の高さから上流工程をアウトソースすることで、オフショア開発のメリットが見込めます。
英語でのコミュニケーションが可能であり、上流工程を扱うプロジェクトの場合であれば、オフショア開発先として選択肢のひとつになるでしょう。
4-3. 【フィリピン】の現状・動向
フィリピンは、フィリピン語に加え英語も母国語とされており、大卒レベルであれば英語でのコミュニケーションは問題なく行えます。東南アジアの中では大学の進学率が高いと言われています。
日本語を習得している方は少ないですが、親日国でもあるため国交も安定しており、時差が1時間という点もオフショア開発の進めやすさがあります。
人件費の面ではコストカットが見込める点が大きなメリットです。日本のオフショア開発先としてはまだ実績が少ないため、大きなプロジェクトではなく、下流工程からアウトソースする方法が望ましいです。
4-4. 【ベトナム】の現状・動向
ベトナムは日本のオフショア開発先として、最も人気のある国です。
ベトナムでは日本語を教える小学校もあり、日本語を話せる方も多いです。日本語でコミュニケーションを図れることは、オフショア開発での大きなメリットになります。
国策として、IT教育を推進していることもあり、若い世代のエンジニアが多数育っており、IT関連の仕事も人気です。エンジニアの技術力の向上とオフショア開発先としてニーズの高さの理由から、スキルを持った人材の単価は高騰している傾向にあります。
しかし一般的な技術レベルであれば、中国やインドと比較するとコストメリットも出しやすく、豊富な人材が揃っており安定した人材の確保ができるでしょう。
4-5. 【ミャンマー】の現状・動向
ミャンマーの人件費は安いためコストメリットが見込めます。ミャンマーは親日的で協調性のある国民性であるため、日本人との気質が合いやすくチームワークにも向いているといえます。オフショア開発ではコミュニケーションが重要になるため、協調性のある国民性はメリットがあると言えます。
しかしオフショア開発の実績が少なく、エンジニアのレベルも発展途上です。国全体の平均年齢が若いためベテラン層は薄く、経験豊富なエンジニアも少ないです。インフラの整備も遅れているといった実情があります。
4-6. 【バングラデシュ】の現状・動向
バングラデシュでの日本企業のオフショア開発事例は少ないようですが、オフショア開発先として最も人件費が安いという特徴があります。
バングラデシュのエンジニアは英語を話せる人が多いため、アメリカ企業から委託を受けているという特徴があります。技術レベルではまだまだ発展途上な部分もありますが、国の方針でIT産業を推進している動向があるため、将来的に優秀なエンジニアを確保しやすくなると考えられます。
5. まとめ
オフショア開発は、世界的にみても需要が高まり、開発国も国をあげてIT産業の推進を図っているため、今後ますます優秀なエンジニアが育っていくことが期待できます。
ニーズが高まっているため、国によっては人件費の安さというメリットは過去のようには見込めない可能性がありますが、リソース不足の問題を抱える日本にとっては、優秀なエンジニアを確保できるようになる面でのメリットがあります。
そのため、日本でもオフショア開発は企業にとって欠かせない手段のひとつになります。
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