ルワンダのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

ルワンダのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

これまでのオフショア開発は、多くの日本企業が中国をアウトソース先として行ってきました。しかし、人件費が年々高騰しており安価な東南アジア諸国へアウトソース先を移行しているということが増えており、今アフリカのルワンダを後押しする機運があります。本記事ではなぜルワンダなのか、人件費削減だけではないメリットをご説明します。

 

 

【目次】
1.  オフショア開発とは?
2. ルワンダオフショア開発の基本情報
2-1. 人口
2-2. 公用語
2-3. 首都
2-4. 宗教
2-5. 主な産業
2-6. 経済成長率
3. ルワンダでオフショア開発する可能性
3-1. 開発スタイルが日本にあう
3-2. エンジニアが世界標準のツールを活用できる
3-3. アジア諸国より低コスト
3-4. IT人口が増加している
3-5. 開発の作業進行に向いた時差がある
3-6. 政府のICT産業振興推進
3-7. 英語での開発が可能
3-8. 通信環境の設備が整う
4. まとめ

 

 

1. オフショア開発とは?

オフショア開発とは、ソフトウェア開発などを海外の子会社や企業にアウトソースする手法のひとつです。開発には膨大な時間がかかるため、それに伴い人件費がかさみます。国内よりも人件費が安い海外で開発を行うことで、大幅なコスト削減が可能になります。


日本は慢性的なエンジニア不足といった問題を抱えています。働き手の人口減少に伴い、さらにエンジニアの確保は難しくなる可能性が危惧されています。オフショア開発であればそのような懸念も払拭することが可能になります。

 

2. ルワンダオフショア開発の基本情報

ルワンダについて基本的な知識を最初にご紹介していきます。

 

人口 1,296万人
公用語 ルワンダ語、英語、フランス語、スワヒリ語
首都 キガリ
宗教 カトリック教、プロテスタント教、イスラム教
主な産業 農業
経済成長率 10.9% GDP 110.7億USドル

 

 

2-1. 人口

ルワンダの人口はおよそ1,296万人(2021年)、世界191カ国のうち第74位です。ルワンダでは1994年に民族間の争いが起こりました。フツ系民族とその過激派が、ツチ系民族とフツ系の穏健派の80~100万人を大虐殺したといわれています。

 

明確な被害数は定かではありませんが、当時の人口730万人のうち10%ほどに相当します。そのような中、今では見事な復活をとげ、人口密度はアフリカの中でも最も高く、アジア勢と肩を並べ第15位です。

 

 

2-2. 公用語

ルワンダの公用語は、ルワンダ語・英語・フランス語・スワヒリ語の4言語です。ルワンダ語は古くから使われているローカル言語で、ルワンダ人同士の会話はほとんどルワンダ語を用います。英語は現在の教育言語であるため、都市部では英語が通じます。

 

2009年以前は、教育言語がフランス語でした。これはベルギーの植民地時代の影響で、ルワンダ語・英語・フランス語とトリリンガルの人も多いです。スワヒリ語は近隣国の公用語であるため、経済発展のために公用語に追加されました。

 

 

2-3. 首都

ルワンダの首都はキガリです。ドイツ植民地時代から中心都市として栄えており、ベルギーから独立した際の1962年、首都に指定されました。キガリの街並みは美しく清潔で、ゴミひとつ落ちていません。治安もよく安心して歩けます。

 

大統領のゴミゼロ都市対策が推進され、たくさんの清掃員が毎日清掃活動を行っています。またビニール廃止にも力を入れており、国外からの持ち込みまで徹底して禁止されているほどです。街を訪れる外国人にもクリーンな印象を与えるはずです。

 

 

2-4. 宗教

ルワンダの宗教は、カトリック教が57%とプロテスタント教が26%、残りはイスラム教徒とその他の宗教です。アフリカ全土で見れば、およそ50%の人々がイスラム教徒で、次いでキリスト教徒が多い傾向です。

 

アフリカ古来の信仰や宗教もありますが、実際に支持者がどれほどいるかは不明確で、イスラム教やキリスト教に融和していったと言われています。ルワンダはアフリカ全土と比較するとその割合は独特で、キリスト教が8割以上を占めています。

 

 

2-5. 主な産業

ルワンダの主な産業は、コーヒー豆と茶をはじめとする農業です。アフリカの内陸に位置している小さな国のため、貿易にも不利で資源もありません。しかしアフリカの赤道近くという立地ながら、標高は1500mであるため穏やかな気候を利用した農業栽培が盛んです。

 

そしてもう一つは観光業で、その目玉となるのが野生マウンテンゴリラの観賞ツアーです。マウンテンゴリラは絶滅危惧種に指定されていますが、その約半数はルワンダに生息していると言われています。

 

 

2-6. 経済成長率

ルワンダの経済成長率は10.9%、GDPは110.7億USドルです。(2021年)経済成長率の世界平均は5.8%であるため、ルワンダはコロナ禍においても安定した成長を維持できています。

 

ルワンダで大虐殺事件があった1994年以降は、積極的な経済開発を行い続けていますが、内陸地という不利が働き貿易力は乏しく、外国からの援助資金に頼っている状況です。

 

日本も経済基盤や農業開発、社会サービスの向上、人材育成の支援や協力を行っています。とくにICTの分野では日本がいち早く支援を開始し、今もなお継続しています。

 

 

3. ルワンダでオフショア開発する可能性

なぜルワンダでのオフショア開発の可能性が高まっているのか、その理由について解説します。

 

 

3-1. 開発スタイルが日本にあう

ルワンダの国民性は業務を完遂させる真面目さと勤勉さがあり、日本人と通ずる部分があります。システム開発は気力・体力ともに消耗します。とくに不具合やバグが発生した際の作業は根気が必要です。

 

トライアンドエラーを繰り返しながら問題解決を図れる粘り強さ、開発の進捗を確認しながら柔軟な対応ができる気質も必要になってきます。控えめな性格でチームワークにも向いているため、マネジメントによる成長も望めます。将来的なパートナーとして期待できる存在です。

 

 

3-2. エンジニアが世界標準のツールを活用できる

ルワンダのエンジニアには海外留学を経験した人も多く、主要な開発ツールは使いこなせます。ルワンダで使用されている言語はJavaやPHP、HTMLなどをメインに世界標準のツールを使用しており、グローバルに活躍できるエンジニアが育っています。

 


また、スマートフォンの普及率も高いため、アプリ開発の案件も増加してくるでしょう。さらにルワンダには、カーネギーメロン大学の分校があります。カーネギーメロン大学は、工業系に強いアメリカの名門大学であり、エンジニアの創出を後押ししています。

 

 

3-3. アジア諸国より低コスト

ルワンダの人件費はアジア諸国と比較すると低コストに抑えられます。とはいえ、アジア諸国の人件費が徐々に上昇しているように、ルワンダの人件費も決して安いとは言い難い状況になっているのが現状です。

 

その理由は、ルワンダの潜在的に秘められた価値に注目が集まりつつあるからです。ルワンダの人件費の高さや安さだけに価値があるのではなく、ITスキルの高い優秀な人材が揃っていることで、将来的に結果を残せる働きをしてくれる期待値が高いと言えます。良い人材を確保するには、それなりのコストは必要です。

 

 

3-4. IT人口が増加している

ルワンダは内陸地であることから輸出業が難しく、決して資源にも恵まれている環境ではありません。そのため近年では、エンジニアを目指す若者が増加傾向にあります。とくに大虐殺事件以降、労働力となる年齢層の人口が減ったため、若い世代への育成に取り組んできた背景があります。

 

これからの働き手の割合が多い状況であるルワンダは、少子高齢化社会である日本とは全く異なります。ますますエンジニア不足に悩まされる日本は、ルワンダに救われるかもしれません。

 

 

3-5. 開発の作業進行に向いた時差がある

日本とルワンダの時差は7時間あります。そのため1~2時間の稼働重複時間を作ることが可能になります。

例えば9時~18時の業務時間であれば、ルワンダで9時の場合、日本では16時となるので業務時間内に2時間の重複時間があります。

 

昼夜が逆転しているほどの時差がある国では、打ち合わせなどの場合、どちらかが業務時間外での対応が必要となりますが、重複している時間があることでストレスなくコミュニケーションを図れ、トラブル時も遅滞なく対応がしやすいといった利点があります。

 

重複のない時間帯は作業を進行できるためメリハリとバランスがあると言えるでしょう。

 

 

3-6. 政府のICT産業振興推進

ルワンダは国をあげてICT産業の振興に注力しており、教育や環境整備を行っています。2000年に就任したカガメ大統領の絶大なリーダーシップのもと国が先導をきって推進し、ルワンダ復興の起爆剤になっています。

 

上述したとおり、日本もICT分野において教育などのソフト面、環境整備などのハード面、ともに支援が続いています。

 

特に2014年から実施された「African Business Education Innovation for youth(ABEイニシアティブ)」は、アフリカの若者を育成するプロジェクトで、日本の歴史上でも例のない大規模な支援制度です。日本もルワンダの発展に大きな影響を与えています。

 

 

3-7. 英語での開発が可能

ルワンダでは2009年以降、教育言語がフランス語から英語に変わることで公用語に加わりました。小学校の授業から段階的に英語が用いられ、徐々に習得していくようです。フランス語が得意な世代から、今後は英語が得意な世代が増加してくるでしょう。

 

共通語に英語が加わった理由は、グローバルビジネスを見据えていることが考えられます。ICTの教育を受けた若者世代は、英語も堪能というわけです。アフリカは同じ国であっても民族ごとの言語を使用することが多く、公用語でのコミュニケーションが難しい場合もあります。英語が可能という利点は大きいでしょう。

 

 

3-8. 通信環境の設備が整う

ルワンダの主要都市には通信網が完備されており、人口のほとんどが携帯電話を使用できるほど、通信環境が整っています。首都圏ではスマホ使用者がほとんどで、アプリでのオンライン決済やタクシー配車なども可能です。

 

ルワンダはアフリカの内陸地という不利な状況では、農業や観光業だけでは経済は成り立たないと判断し、環境の整備に投資してきました。イノベーションを目標とし大きな成果を得られる将来を見据えての環境整備です。たくさんのものを失い一から立ち上がった精神は、戦後の日本とどこか重なる部分があるかもしれません。

 

 

4. まとめ

オフショア開発はコスト削減だけが目的ではなく、日本と同等レベルでの開発が行えるかが重要です。そのため、業務を完遂できる国民性であるか、国をあげてIT技術者の育成に取り組んでいるかなどが要因となります。

 

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