1. 海外エンジニアの平均年収は日本人エンジニアと比べて高い?低い?
ヒューマンリソシア株式会社の「2022年度版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.6」によると、世界98カ国のIT技術者の平均年収の中で、日本は世界20番目、アジア・太平洋地域の中では4番目でした。円安・ドル高の影響もありますが、給与水準面での国際競争力が低下している傾向にあるといえます。
2022年度版:データで見る世界のITエンジニアレポートvol.6
2. 海外エンジニアの平均年収
上位20か国の海外エンジニアの平均年収は以下の通りです。※1ドル157.26円換算
順位 | 国 | 平均年収 |
---|---|---|
1位 | スイス | 15,734,335円 |
2位 | 米国 | 14,021,459円 |
3位 | イスラエル | 13,387,701円 |
4位 | デンマーク | 11,129,605円 |
5位 | パナマ | 9,957,389円 |
6位 | ノルウェー | 9,612,518円 |
7位 | ドイツ | 9,284,788円 |
8位 | オーストラリア | 8,962,876円 |
9位 | フィンランド | 8,440,616円 |
10位 | オーストリア | 8,230,674円 |
11位 | オランダ | 8,217,779円 |
12位 | スウェーデン | 7,743,325円 |
13位 | アイルランド | 7,726,184円 |
14位 | 英国 | 7,650,699円 |
15位 | ニュージーランド | 7,552,883円 |
16位 | フランス | 6,989,735円 |
17位 | ベルギー | 6,885,786円 |
18位 | シンガポール | 6,667,352円 |
19位 | 香港 | 6,659,332円 |
20位 | 日本 | 6,028,877円 |
2-1. 1位はスイス、2位は米国がランキング
世界のエンジニアの平均年収1位はスイスで約1,573万円、2位は米国で約1,402万円となっています。4位以降もデンマーク、ノルウェー(6位)、ドイツ(7位)、フィンランド(9位)、オーストリア(10位)と、ヨーロッパ各国のエンジニアの平均年収がトップ10の大半を占めており、ヨーロッパではエンジニアの年収が高いことが分かります。
2-2. 日本のエンジニアの平均年収は20位
日本のエンジニアの平均年収は約603万円で、世界20位となっています。
アジア・太平洋地域の中では、オーストラリア(8位)、シンガポール(18位)、香港(19位)に次いで、日本は4番目です。
2-3. 先進国の中でもエンジニアの平均年収には差がある
先進国の中でも海外エンジニアの平均年収は国によって差があります。たとえば、日本人エンジニアの平均年収はスイスの3割強、米国の半分以下です。このような給与の違いは、各国の経済状況や労働市場の需要、生活費などに大きく影響されます。
3. 海外エンジニアの年収が比較的低い国
以下の国々は、日本よりエンジニアの平均年収が高くなく、同じアジア地域として日本との時差も少ないため、ITアウトソーシングの国として人気があります。
国 | 平均年収 |
---|---|
ベトナム | 150万円前後 |
中国 | 200万円~300万円 |
フィリピン | 300万円前後 |
タイ | 200万円弱 |
インド | 500万円前後 |
インドネシア | 120万円前後 |
海外エンジニアを採用する場合、上記の国を対象にすれば、比較的安価に採用できる可能性があります。
4. 海外エンジニアの活用手段としてオフショア開発という手も!
海外エンジニアの活用を検討する場合、オフショア開発という選択肢もあります。
オフショア開発とは、海外の企業へ開発を委託(アウトソーシング)する、もしくは、海外に自社の開発拠点を子会社として開設することです。一方、日本国内で、自社とは離れた別地域で開発を委託する手法はニアショア開発と呼びます。前述したように、日本よりもエンジニアの平均年収が安価な国があるため、日本国内でエンジニアを採用するより、海外のエンジニアを採用した方が人件費を抑えられる場合があります。
もし自社でオフショア開発を行う場合は、海外に開発拠点を構築し、現地でエンジニアを採用する必要があります。拠点を構築する費用やエンジニアの採用コストなど、開発を開始するまでに初期費用が発生します。初期費用を抑えたい場合は、オフショア開発自体を他の企業へ委託することも可能です。自社でエンジニアを採用・雇用することなく、サービス費用を支払うだけで大丈夫です。一般的には、他の企業へ委託するケースの方が多いようです。
オフショア開発については、下記の記事で詳しく解説しています。
受託開発としてのオフショア開発には、請負型とラボ型の2種類があります。
請負型オフショア開発とは、発注側企業が指定した要件定義に従って受注側企業が開発を行い、納期に成果物を納品するサービスです。契約形態は請負契約のため、成果物の納品をもって契約は終了します。開発費用は、契約時と納品時に分けて支払うケースが一般的です。開発自体を他の企業へ委託する形となるため自社の負担は少なくなりますが、契約締結後の仕様変更などは基本的にできません。
一方、ラボ型オフショア開発とは、自社が行う開発に必要なエンジニアを一定期間提供してもらえるサービスです。提供を受けるエンジニアは受注側企業と雇用契約、もしくは業務委託契約を締結しており、エンジニアに対して賃金を支払う必要はありません。契約形態は準委任契約のため、受注側企業に成果物を納品する義務はなく、利用している期間は費用が発生し続けます。契約時にエンジニアが作業する時間を決め、作業時間に応じてサービスの利用料を毎月支払います。
請負型オフショア開発、およびラボ型オフショア開発のどちらにおいても、エンジニアと発注側企業が雇用契約などの契約を締結するわけではありません。海外のエンジニアを雇用するわけではないため、エンジニアを活用できるのは契約期間のあいだだけです。将来的に海外のエンジニアを日本国内で活用したり、海外でのビジネスを拡大したりすることを考えている場合、受託型のオフショア開発サービスを利用するのではなく、自社で海外に開発拠点を構築することを検討しましょう。
オフショア開発については、下記の記事で詳しく解説しています。
5. オフショア開発を活用するメリット
オフショア開発を活用するメリットは以下の3点です。
- 優秀な外国人エンジニアが確保できる
- コスト削減が期待できる
- 対応できる業務の幅が広がる
それぞれのメリットについて詳しく解説します。
5-1. 優秀な外国人エンジニアが確保できる
オフショア開発を活用するメリットの1つ目は、優秀な外国人エンジニアが確保できることです。
日本では少子高齢化・労働人口の低下が進んでおり、優秀な日本人エンジニアを見つけるのは容易なことではありません。新卒のエンジニアを採用した場合、一定期間は自社で教育・研修を行う必要があり、個人差はありますが、戦力になるまでに時間がかかります。
一方、ベトナムや中国、インドなどのアジア諸国はオフショア開発の開発先として活用される機会が多く、優秀な外国人エンジニアがたくさん活躍しています。オフショア開発を活用することで、幅広い開発言語やフレームワークに関する知識があるだけでなく、さまざまな分野における開発経験を持つ優秀な外国人エンジニアを自社の開発に活用できます。
5-2. コスト削減が期待できる
オフショア開発を活用するメリットの2つ目は、コスト削減が期待できることです。
オフショア開発では、自社がエンジニアと直接雇用契約を締結するわけではないため、エンジニアへ毎月支払う人件費(給与や賞与、残業代、労務管理費、社会保険料、福利厚生費、教育・研修費など)を自社で負担する必要はありません。ラボ型オフショア開発の場合は、毎月一定の利用料を支払うだけで、優秀な外国人エンジニアを確保できます。また、日本人エンジニアよりも海外のエンジニアのほうが人月単価が低いため、国内で開発するよりもオフショア開発の方が安く開発できます。
ただし、エンジニアの採用コストを削減できたからといって、開発のトータルコストも削減できるとは限りません。開発期間が長くなるほどサービスの利用期間も長くなるため、トータルコストが膨れ上がる可能性はあります。
5-3. 対応できる業務の幅が広がる
オフショア開発を活用するメリットの3つ目は、対応できる業務の幅が広がることです。
ラボ型オフショア開発で提供してもらえるエンジニアは、幅広い開発言語やフレームワークに精通しており、基幹システムやWEBアプリ、スマホアプリ、WEBサイトなどさまざまな分野の開発に対応できます。たとえば、社内のシステムを管理するエンジニアしかいない場合も、オフショア開発を活用すれば、最新技術を活用した新規ビジネスを立ち上げたり、集客に活用できるスマホアプリ・WEBサイトを開発したりすることが可能です。自社で海外に開発拠点を構築するラボ型オフショア開発であれば、自社の開発だけでなく他企業からの受託開発まで、対応できる仕事の範囲を広げられます。
6. オフショア開発の活用が向いているケース
オフショア開発の活用が向いているケースは以下の4つです。
- 定番のWEBシステムやアプリ開発
- 長期継続するような案件
- 既存システムの保守・運用
- テスト工程
それぞれのケースについて詳しく解説します。
6-1. 定番のWEBシステムやアプリ開発
オフショア開発の活用が向いているケースの1つ目は、定番のWEBシステムやアプリ開発です。
ラボ型オフショア開発で提供してもらえるエンジニアは、幅広い開発言語やフレームワークに精通しています。基幹システムからWEBアプリ、スマホアプリ、WEBサイトまで、さまざまな分野の開発に対応できます。アジャイル開発が採用されることが多いラボ型オフショア開発では、ユーザーやクライアントの意見を反映する必要があるWEBシステム開発やアプリ開発が向いています。
一方、組み込み系ソフトウェア開発などのような仕様の変更を前提としない開発に向いているのは、ウォーターフォール開発を採用する請負型オフショア開発です。仕様の変更・追加を前提とした開発を行う場合は、請負型オフショア開発ではなくラボ型オフショア開発を利用しましょう。
アジャイル開発については下記の記事で詳しく解説しています。
6-2. 長期継続するような案件
オフショア開発の活用が向いているケースの2つ目は、長期継続するような案件です。
ラボ型オフショア開発は契約時に指定した作業時間に応じて費用が発生するサービスのため、仕様の変更や追加が発生しても、毎月支払う費用は変わりません。
一方、請負型オフショア開発の場合、開発の成果物が納期に納品された段階で契約が終わります。開発途中の仕様変更や納品後の機能の追加、納品した製品サービスの保守・運用については基本的に対応しません。長期継続するような案件の場合は、請負型オフショア開発ではなくラボ型オフショア開発を利用しましょう。
逆に、組み込み系ソフトウェア開発などのように仕様の変更を前提としない開発については、請負型オフショア開発がおすすめです。
6-3. 既存システムの保守・運用
オフショア開発の活用が向いているケースの3つ目は、既存システムの保守・運用です。
前述したように、ラボ型オフショア開発は契約時に指定した作業時間に応じて費用が発生するサービスのため、新規開発だけでなく既存システムの保守・運用にも利用できます。
一方、納期までに完成した製品やサービスを納品する請負型オフショア開発は、継続して作業することが前提となる既存システムの保守・運用には向いていません。
既存システムの保守・運用だけを委託する場合や開発から保守・運用まで委託する場合は、請負型オフショア開発ではなくラボ型オフショア開発を利用しましょう。逆に、開発後の保守・運用を自社で行う場合については、請負型オフショア開発がおすすめです。
6-4. テスト工程
オフショア開発の活用が向いているケースの4つ目は、テスト工程です。
前述したように、ラボ型オフショア開発は契約時に指定した作業時間に応じて費用が発生するサービスなので、新規開発や既存システムの保守・運用と同様に、リリース前のシステムの動作テストや機能の検証といったテスト工程だけでも利用できます。
7. まとめ
今回は、海外エンジニアの平均年収について解説しました。海外エンジニアの平均年収は国によってかなりの差があります。新興国のオフショア開発サービスを利用すれば、比較的安価で海外のエンジニアへ依頼ができます。
オフショア開発を活用するメリットとオフショア開発の活用が向いているケースは以下の通りです。
メリット | 優秀な外国人エンジニアが確保できる コスト削減が期待できる 対応できる業務の幅が広がる |
向いているケース | 定番のWEBシステムやアプリ開発 長期継続するような案件 既存システムの保守・運用 テスト工程 |
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