1.オフショア開発とは
オフショア開発とは、システム開発やアプリ開発、ソフトウェア開発などを海外企業や海外拠点に委託する開発手法です。
「オフショア」には海外という意味があり、日本国内ではなく、ベトナム、インド、中国、フィリピンなどの海外にある開発会社や開発チームへ業務を依頼するケースが一般的です。
以前のオフショア開発は、人件費の安い国に開発を委託し、開発コストを抑える目的で利用されることが多くありました。
しかし、近年では単なるコスト削減だけでなく、国内で不足するIT人材を補い、必要な開発体制を確保する手段としても再注目されています。
2.オフショア開発が注目されている理由
ここでは、オフショア開発が注目されている主な理由を解説します。
オフショア開発が注目される理由
- ①国内でIT人材を確保するのが難しくなっている
- ②国内のシステム開発費が高騰している
- ③海外エンジニアの技術力が向上している
- ④DX・AI・クラウド開発の需要が増えている
それぞれ詳しく解説していきます。
2-1.国内でIT人材を確保するのが難しくなっている
近年、日本国内ではエンジニアやIT人材の確保が難しい状況が続いています。
社内でエンジニアを採用しようとしても、採用競争が激しく、必要なスキルを持つ人材を確保できないケースは少なくありません。
そのため、海外の開発会社やエンジニアを活用し、必要な開発体制を確保する方法として、オフショア開発が再び選択肢に入るようになってきています。
特に、Webシステムや業務システム、アプリ開発などで継続的に開発リソースが必要な企業にとって、オフショア開発は人材不足を補う有効な手段のひとつになります。
2-2.国内のシステム開発費が高騰している
IT人材の需要が高まったことで、国内エンジニアの人件費も高騰しています。
その結果、システム開発会社へ依頼する際のコストも高くなり、中小企業や新規事業では予算に合わないケースが出てきます。
しかし、オフショア開発なら委託先の国や開発体制によって、国内開発よりも開発コストを抑えられる可能性があります。
特に、一定以上の開発ボリュームがあるプロジェクトや、継続的に開発チームを確保したい場合は、費用面でメリットを感じやすいでしょう。
2-3.海外エンジニアの技術力が向上している
オフショア開発が広がっている理由のひとつに、海外エンジニアの技術力向上があります。
ベトナム、インド、フィリピンなどでは、IT教育やエンジニア育成が進んでおり、先進国に引けを取らないほど技術力が向上しています。
また、クラウドやAI、データ活用など、比較的新しい技術領域に対応できる海外開発会社も増えてきています。
そのためコストメリットを獲得しつつも、高い技術水準で開発を進めることが可能になっています。
2-4.DX・AI・クラウド開発の需要が増えている
近年は、業務効率化やDX推進を目的に、システム開発の需要が上昇しています。
その一方で、国内だけで必要なエンジニアを確保することが難しく、開発したい内容があっても体制が整わない企業も多いのが実態です。
オフショア開発を活用すれば、プロジェクトの内容や時期に応じて、海外の開発リソースを前提に体制を構築することが可能になります。
そのため、DX・AI・クラウド開発などの需要が増えるなかで、開発体制を柔軟に確保する手段として、オフショア開発への関心が高まっています。
3.オンショア・ニアショア開発との違い
システム開発を外部に委託する方法には、オフショア開発のほかに、オンショア開発やニアショア開発があります。
オンショア開発とは、国内の開発会社や国内拠点にシステム開発を委託する手法です。
日本国内の企業とやり取りするため、コミュニケーションは取りやすいですが、人件費や開発コストは比較的高めになる傾向があります。
ニアショア開発とは、国内の地方拠点など、比較的近い地域に開発を委託する手法です。
日本国内で開発を進めるため、言語や商習慣の違いが少なく、オンショア開発よりは費用を抑えられる場合がありますが、オフショア開発に比べると得られるコストメリットは小さくなります。
それぞれの違いを整理すると、以下のようになります。
| 開発手法 | 委託先 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|---|
| オンショア開発 | 国内拠点 | コミュニケーションが取りやすいが、費用は高くなりやすい | 要件定義や仕様調整を重視したい場合 |
| ニアショア開発 | 国内地方拠点 | 国内対応を維持しながら、費用を抑えやすい | 国内品質とコストのバランスを取りたい場合 |
| オフショア開発 | 海外拠点 | 人材確保やコスト削減に強いが、管理体制が重要 | 開発リソース・コストメリットを確保したい場合 |
オンショア、ニアショア、オフショアは、どれか1つが必ず優れているというものではありません。
自社が求める開発内容や予算、スケジュール、必要なコミュニケーション量、管理体制によって、適した開発手法は変わります。
4.オフショア開発のメリット
オフショア開発を活用するメリットは以下のとおりです。
オフショア開発のメリット
- ①国内で不足するIT人材を確保しやすい
- ②国内開発よりも開発コストを抑えやすい
- ③必要に応じて開発体制を拡張しやすい
- ④開発スピードを高めやすい
それぞれ詳しく解説していきます。
4-1.国内で不足するIT人材を確保しやすい
オフショア開発の大きなメリットは、国内だけでは採用が難しいIT人材を容易に確保できる点です。
日本国内ではエンジニアの採用競争が激しく、必要なスキルを持つ人材をすぐに採用できないケースが多くなってきています。
オフショア開発を活用すれば、海外のエンジニアや開発チームを組み合わせることで、自社開発に必要な人材を確保しやすくなります。
特に、継続的な開発や複数プロジェクトを並行して進めたい企業にとって、国内人材だけに依存しない開発体制を構築できる点は大きなメリットです。
4-2.国内開発よりも開発コストを抑えやすい
オフショア開発では、委託先の国や開発体制によって、日本国内で開発するよりも開発コストを抑えられる可能性があります。
国内のシステム開発では、エンジニアの人件費やプロジェクト管理費が高くなりやすく、開発規模が大きくなるほど費用負担も増えやすくなります。
一方、オフショア開発では、海外の開発リソースを活用することで、人月単価を抑えながら開発体制を組める場合があります。
4-3.必要に応じて開発体制を拡張しやすい
オフショア開発は、プロジェクトの状況に応じて開発体制を拡張しやすい点もメリットです。
国内だけでエンジニアを確保しようとすると、採用や外部パートナーの調整に時間がかかることがあります。
しかし、オフショア開発会社を活用すれば、必要な時期や開発内容に合わせて、エンジニアやテスターなどの体制を組みやすくなります。
例えば、初期開発では少人数で始め、機能追加や本格運用のタイミングで開発メンバーを増やすといった進め方も可能になります。
社内リソースだけでは対応しきれない開発を進めたい企業にとって、柔軟に体制を調整できる点は大きな強みです。
4-4.開発スピードを高めやすい
国内でエンジニアを確保できない場合、開発の着手そのものが遅れてしまうことがあります。
しかし、採用活動や社内教育が不要なオフショア開発では、その分だけ早い段階で開発チームを組み、プロジェクトを進めることが可能です。
また、チームで開発体制を組める場合は、機能ごとに担当を分けたり、開発とテストを並行して進めたりすることで、さらなるスケジュール短縮につながる可能性があります。
5.オフショア開発のデメリット
オフショア開発には、人材確保やコスト面のメリットがある一方で、海外拠点と開発を進めるからこその注意点もあります。
オフショア開発の主なデメリットは以下のとおりです。
オフショア開発のデメリット
- ①言語や文化の違いで認識のズレが起きやすい
- ②進捗管理や品質管理が難しくなりやすい
- ③セキュリティや情報管理に注意が必要
- ④ブリッジSEやPMの体制によって成果が左右されやすい
それぞれ詳しく解説していきます。
5-1.言語や文化の違いで認識のズレが起きやすい
オフショア開発では、海外の開発会社やエンジニアとやり取りを行うため、言語や文化の違いによって認識のズレが発生しやすくなります。
例えば、日本側が「これくらいは伝わっているだろう」と考えていた内容でも、海外の開発チームには細かい意図まで伝わっていないケースがあります。
また、仕様書の表現が曖昧だったり、口頭での説明に頼りすぎたりすると、完成した機能や画面が想定と異なる可能性もあります。
そのため、オフショア開発では、仕様書や画面設計、参考資料などを使い、できるだけ具体的に要件を伝えることが重要です。
日本語対応が可能な担当者や、ブリッジSEがいる開発会社を選ぶことで、認識のズレを抑えやすくなります。
5-2.進捗管理や品質管理が難しくなりやすい
オフショア開発では、国内開発に比べて進捗管理や品質管理が難しくなりやすい点にも注意が必要です。
海外拠点と開発を進める場合、物理的な距離や時差があるため、進捗状況や品質が見えにくくなることがあります。
進捗や品質を開発会社に任せきりにすると、問題の発見が遅れ、納期遅延や手戻りにつながる可能性があります。
そのため、定例会議、チケット管理、レビュー、テスト工程などをあらかじめ設計しておくことが大切です。
開発会社を選ぶ際も、進捗報告の頻度や品質管理の仕組みまで確認しておく必要があります。
5-3.セキュリティや情報管理に注意が必要
オフショア開発では、海外の開発拠点と仕様書やデータを共有するため、セキュリティや情報管理にも注意が必要になります。
特に、個人情報や社内情報など、機密性の高い業務データを扱う場合は、慎重に管理体制を確認する必要があります。
契約書上の取り決めだけでなく、実際にどのようなルールで情報を扱っているかまで確認しておくと安心です。
5-4.ブリッジSEやPMの体制によって成果が左右されやすい
オフショア開発では、ブリッジSEやPMの体制によって成果が大きく左右されます。
ブリッジSEとは、日本側と海外開発チームの間に入り、要件や仕様、進捗状況を橋渡しする役割を担う人材です。
PMは、プロジェクト全体の進捗、品質、課題、スケジュールなどを管理する役割を担います。
この体制が弱いと、日本側の意図が正しく伝わらなかったり、海外チームの状況を正確に把握できない可能性があります。
6.オフショア開発でよくある失敗例と対策
オフショア開発でよくある失敗例は以下のとおりです。
オフショア開発でよくある失敗例
- ①納期遅延が発生する
- ②設計意図と違う成果物が納品される
- ③想定よりも品質が低くなる
- ④追加費用が発生して予算オーバーになる
それぞれの失敗例と対策を解説していきます。
6-1.納期遅延が発生する
オフショア開発でよくある失敗のひとつが、予定していた納期に間に合わないケースです。
要件が曖昧なまま開発を始めると、途中で確認事項が増えたり、仕様の認識違いが発覚したりして、開発スケジュールが遅れやすくなります。
また、海外拠点との時差やコミュニケーション不足により、確認や修正のやり取りに時間がかかることもあります。
納期遅延への対策
納期遅延を防ぐには、開発前に要件や優先順位を整理し、マイルストーン(プロジェクトにおける工程の区切り)を設定しておくことが重要です。
あわせて、定例会議やチャットツール、タスク管理ツールを活用し、進捗状況をこまめに確認できる体制を作っておきましょう。
遅れが発生した場合の報告ルールや対応方法も事前に決めておくと、問題が大きくなる前に対処しやすくなります。
6-2.設計意図と違う成果物が納品される
設計意図と違う成果物が納品されることも、オフショア開発で起こりやすい失敗です。
日本側が「当然伝わっている」と思っていた内容でも、海外の開発チームには細かいニュアンスまで伝わっていない場合があります。
特に、仕様書の表現が曖昧だったり、画面イメージや業務フローが不足していたりすると、想定と異なる機能や画面が作られてしまう可能性があります。
意図と違う成果納品への対策
このような失敗を防ぐには、仕様書だけでなく、画面設計、モックアップ、業務フロー、参考画面などを用意し、完成イメージを具体的に共有することが大切です。
受け入れ基準をあらかじめ決めておくことで、納品後に「想定と違う」となるリスクを抑えやすくなります。
6-3.想定よりも品質が低くなる
オフショア開発では、納品されたシステムやアプリの品質が想定よりも低くなる可能性もあります。
品質基準やテスト範囲が曖昧なまま進めると、不具合が多い状態で納品されたり、日本側が求める操作性や表示品質に届かなかったりする可能性があります。
また、開発コストの安さだけで委託先を選ぶと、レビューやテストに十分な工数が割かれず、結果的に修正対応が増えることもあります。
品質低下への対策
品質低下を防ぐには、開発前に品質基準やテスト範囲を明確にしておくことが重要です。
単体テスト、結合テスト、受け入れテストなど、どこまでを開発会社が対応し、どこからを日本側で確認するのかを事前に決めておきましょう。
さらに、確認体制や不具合発生時の対応フローを確認しておくことで、品質面のトラブルを防ぎやすくなります。
6-4.追加費用が発生して予算オーバーになる
オフショア開発では、当初の見積もりよりも追加費用が発生し、予算オーバーになることがあります。
主な原因は、要件変更や仕様追加、見積もり範囲の認識違いです。
例えば、発注側は当然含まれていると思っていた機能が見積もり対象外だったり、開発開始後に仕様変更を繰り返すと、その分だけ工数が増え、費用も膨らみやすくなります。
思わぬ予算オーバーへの対策
予算オーバーを防ぐには、契約前に見積もり範囲、対応工程、追加費用が発生する条件を明確にしておくことが重要です。
仕様変更が発生した場合の見積もり方法や承認フローも事前に確認しておきましょう。
7.オフショア開発に向いている企業・向いていない企業
オフショア開発は、海外の開発チームと連携するため、自社側にも一定の要件整理力や進捗確認の体制が求められます。
そのため、オフショア開発を検討する際は、自社がこの開発方法に向いているのか、向いていないのかを判断する必要があります。
ここではオフショア開発に向いている企業と向いていない企業について、解説します。
7-1.オフショア開発に向いている企業
オフショア開発に向いているのは、国内だけでは開発リソースを確保しにくく、海外エンジニアを活用して開発体制を整えたい企業です。
また、新規開発だけでなく、既存システムの改修や機能追加を中長期で進めたい企業にも適しています。
さらに、要件や仕様をある程度整理できる企業も、オフショア開発と相性がよいといえます。
以下のような企業はオフショア開発に向いています。
オフショア開発に向いている企業
- 国内でエンジニアを採用できず、開発リソースを確保したい企業
- 中長期で開発チームを構築したい企業
- 要件や仕様を整理しながら外部パートナーと開発を進められる企業
- 社内に確認担当者や意思決定者を置ける企業
- コストを抑えながら一定規模以上の開発を進めたい企業
オフショア開発は、単に安く開発を依頼する方法ではなく、国内で不足する開発体制を補う手段です。
そのため、発注側も開発会社と連携しながら、進捗確認や意思決定を行える体制を整えておくことが重要です。
7-2.オフショア開発に向いていない企業
要件がまったく整理されていない企業や、開発会社にすべてを丸投げしたい企業は、オフショア開発に向いていない場合があります。
オフショア開発では、言語や文化、時差の違いがあるため、曖昧な指示や口頭中心のやり取りでは認識のズレが発生しやすくなります。
また、短期間で細かい仕様変更を繰り返したい企業にも注意が必要です。
変更のたびに海外チームとの確認や調整が必要になるため、コミュニケーションコストが増え、結果的にスケジュール遅延や追加費用につながることがあります。
加えて、金融、医療、公共系など、非常に厳格なセキュリティ基準が求められる開発では、委託先の情報管理体制を慎重に確認する必要があります。
特に、以下のような企業はオフショア開発に向いていない可能性があります。
オフショア開発に向いていない企業
- 要件や仕様がまったく整理されていない企業
- 短期間で細かい仕様変更を何度も行いたい企業
- 数週間程度で完了する小規模・短納期の開発を依頼したい企業
- 厳格なセキュリティ要件があり、海外拠点への情報共有が難しい企業
ただし、上記に当てはまるからといって、必ずしもオフショア開発を利用できないわけではありません。
要件整理やプロジェクト管理から支援できる開発会社を選べば、初めての企業でもオフショア開発を進めやすくなります。
8.オフショア開発の費用相場
オフショア開発の費用は、委託先の国、エンジニアのスキル、契約形態、開発内容などによって上下します。
ここでは、オフショア開発の費用相場について、国別・スキル別・国内開発との比較に分けて解説します。
8-1.国別に見るオフショア開発の人月単価
オフショア開発の人月単価は、委託先の国によって異なります。人月単価とは、エンジニア1人が1か月稼働した場合にかかる費用の目安です。
オフショア開発のプログラマー単価は、主要国でおおよそ1人月あたり27万円〜58万円前後とされており、国や職種によって差があります。
以下は、国別の人月単価の目安です。
| 国 | 人月単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| ベトナム | 約40万円〜71万円 | 日本企業向けの実績が多く、コストと品質のバランスを取りやすい |
| インド | 約38万円〜68万円 | IT人材が豊富で、AI・データ活用・大規模開発などに強みがある |
| 中国 | 約58万円〜85万円 | 単価は高めだが、技術力や大規模開発への対応力がある |
| フィリピン | 約37万円〜64万円 | 英語対応に強く、Web開発や運用支援にも向いている |
| ミャンマー | 約28万円〜58万円 | 比較的コストを抑えやすいが、情勢や体制面の確認が必要 |
| バングラデシュ | 約34万円〜83万円 | コスト面の魅力がある一方、職種によって単価差が大きい |
上記はあくまで目安であり、同じ国でも開発会社やエンジニアの経験、対応範囲によって費用は変わります。
また、国別の単価だけで委託先を決めるのはおすすめできません。
国ごとの費用感を把握したうえで、開発会社ごとの実績、体制、日本語対応、セキュリティ管理まで確認することが大切です。
8-2.スキル別に見るオフショア開発の人月単価
オフショア開発の費用は、国だけでなく、担当するエンジニアのスキルや役割によっても変化します。
一般的に、実装を中心に担当するプログラマーよりも、設計やマネジメントを担うシニアエンジニア、ブリッジSE、PMの方が単価は高くなります。
主要国の職種別単価の目安は以下のとおりです。
| スキル・職種 | 役割 | 人月単価の目安 |
|---|---|---|
| プログラマー | 仕様に沿った実装、テスト補助など | 約27万円〜58万円 |
| シニアエンジニア | 詳細設計、実装、技術的な判断 | 約40万円〜72万円 |
| ブリッジSE | 日本側と海外チームの橋渡し、要件・仕様の調整 | 約40万円〜83万円 |
| PM | 進捗、品質、課題、スケジュールの管理 | 約58万円〜85万円 |
オフショア開発では、実装エンジニアの単価だけを見るだけではなく、プロジェクト全体を管理する人材の費用も含めて考える必要があります。
特に、初めてオフショア開発を利用する場合や、要件が複雑な開発では、ブリッジSEやPMの役割が重要になります。
これらの人材を配置することで費用は上がりますが、認識のズレや納期遅延、品質低下を防ぎやすくなります。
8-3.国内開発とオフショア開発の費用差
国内エンジニアの人月単価は80万円〜100万円程度が目安とされており、ベトナムなどのオフショア開発は、国内開発よりも費用を抑えやすい傾向があります。
| 開発方法 | 人月単価の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 国内開発 | 約80万円〜120万円以上 | コミュニケーションしやすいが、人件費や採用・教育費が高くなりやすい |
| オフショア開発 | 約30万円〜80万円前後 | 国や職種によって差はあるが、国内より費用を抑えやすい |
例えば、同じ期間で複数名の開発チームを組む場合、オフショア開発の方が人月単価を抑えられる可能性があります。
特に、一定以上の開発ボリュームがあるプロジェクトや、中長期で開発チームを確保したい場合は、コストメリットが出やすくなります。
一方で、小規模な開発や短納期の案件では、オフショア開発の立ち上げや仕様共有にかかる工数が負担になる場合があります。
そのため、国内開発とオフショア開発を比較する際は、人月単価だけでなく、以下の項目も含めて確認しましょう。
オフショア開発の比較ポイント
- ブリッジSEやPMの費用が含まれているか
- テストや品質管理の範囲は明確か
- 仕様変更時の追加費用はどのように発生するか
- 保守運用まで依頼できるか
オフショア開発は、国内開発より費用を抑えられる可能性がありますが、最終的には、単価だけでなく、品質や管理工数、追加費用などの条件を含めた総額で比較することが大切です。
9.オフショア開発で人気の委託先国
オフショア開発では、委託先の国によって費用感や得意領域、コミュニケーションのしやすさが異なります。
開発したいシステムの内容や必要な技術力、予算、コミュニケーション体制、セキュリティ要件などを踏まえて、自社に合う委託先国を選ぶことが重要です。
オフショア開発で人気の委託先国の特徴は以下のとおりです。
| 委託先国 | 特徴 | 向いている開発 |
|---|---|---|
| ベトナム | 日本企業向けのオフショア開発実績が多く、コストと技術力のバランスを取りやすい | Webシステム、業務システム、アプリ開発、ラボ型開発 |
| インド | IT人材が豊富で、高度な技術領域や大規模開発に強みがある | AI、データ活用、大規模システム、グローバル向け開発 |
| 中国 | 技術力や開発スピードに強みがある一方、近年は単価が高くなりやすい | 大規模開発、AI開発、製造業向けシステム |
| フィリピン | 英語力が高く、グローバル向け開発や運用支援と相性がよい | Web開発、英語圏向けサービス、運用・サポート業務 |
| ミャンマー | 比較的コストを抑えやすいが、政治・社会情勢や開発体制の確認が必要 | 小〜中規模開発、コスト重視の開発 |
| その他の東南アジア諸国 | タイ、インドネシア、マレーシアなどでも開発委託先が増えている | 現地向けサービス開発、東南アジア市場向け開発 |
オフショア開発の委託先国を選ぶ際は、単価の安さだけで判断しないことが大切です。
国ごとの特徴を把握したうえで、開発会社の実績、日本語対応の有無、PMやブリッジSEの体制、品質管理、セキュリティ対策まで確認しましょう。
10.オフショア開発に関するよくある質問
10-1.オフショア開発とは簡単にいうと何ですか?
オフショア開発とは、システム開発やアプリ開発などを海外の開発会社や海外拠点に委託する開発手法です。
日本国内ではなく、ベトナムやインド、フィリピンなどの海外エンジニアを活用する点が特徴です。開発コストの削減や、国内で不足するIT人材の確保を目的に利用されます。
10-2.オフショア開発とニアショア開発の違いは何ですか?
オフショア開発は海外に委託する方法で、ニアショア開発は国内の地方拠点などに委託する方法です。
オフショア開発はコストメリットや人材確保の面で強みがあります。一方、ニアショア開発は国内で進めるため、言語や商習慣の違いが少なく、コミュニケーションを取りやすい点が特徴です。
10-3.オフショア開発の費用相場はいくらですか?
オフショア開発の費用相場は、国や職種によって異なりますが、エンジニア1人月あたり30万円〜80万円前後が目安です。
オフショア開発は、国内開発よりも人月単価を抑えやすい傾向があります。ただし、ブリッジSEやPM、品質管理、仕様変更対応などの費用も含めて総額で比較することが重要です。
10-4.オフショア開発で人気の国はどこですか?
オフショア開発で人気の国は、ベトナム、インド、中国、フィリピン、ミャンマーなどです。
特にベトナムは、日本企業向けの開発実績が多く、コストと技術力のバランスを取りやすい国として選ばれています。
インドは高度なIT人材、フィリピンは英語対応、中国は大規模開発や技術力に強みがあります。
10-5.オフショア開発はなぜ失敗するのですか?
オフショア開発が失敗する主な原因は、要件の曖昧さやコミュニケーション不足、進捗管理・品質管理の不備です。
海外チームとの開発では、言語や文化、時差の違いによって認識のズレが起きやすくなります。要件定義や仕様書、管理体制を整え、委託先と密にコミュニケーションを取ることで想定どおりの開発を進めやすくなります。
10-6.小規模な開発でもオフショア開発は向いていますか?
小規模な開発でもオフショア開発は利用できますが、短納期・単発の案件では向いていない場合があります。
オフショア開発では、立ち上げや仕様の共有、管理体制の構築に一定の工数がかかります。そのため、数週間で完了する小規模案件よりも、一定以上の開発ボリュームがある案件や継続的な開発に向いています。
10-7.オフショア開発会社を選ぶときの注意点は何ですか?
オフショア開発会社を選ぶ際は、費用だけでなく、実績、開発体制、日本語対応、品質管理、セキュリティ体制を確認することが重要です。
単価の安さだけで選ぶと、認識のズレや手戻りによって結果的に費用が増える可能性があります。ブリッジSEやPMの有無、進捗報告の頻度、テスト体制、契約範囲まで事前に確認しておきましょう。
10-8.オフショア開発はセキュリティ面で問題ありませんか?
オフショア開発でも、適切な管理体制を整えればセキュリティ面のリスクを抑えることは可能です。
オフショア開発は、海外拠点と仕様書やデータを共有するため、情報管理には注意が必要です。国内開発と同様に、NDAの締結、アクセス権限の管理、開発環境の制限、ソースコード管理などの対策を確認しておくことが大切です。
11.まとめ
オフショア開発は、国内で不足するIT人材を補い、開発コストを抑えながら必要な開発体制を確保しやすい手法です。
一方で、言語や文化の違い、進捗管理、品質管理、セキュリティ面には注意が必要であり、委託先の体制や実績を慎重に確認する必要があります。
自社の開発内容や予算、管理体制に合う開発会社を選び、要件整理やコミュニケーション体制を整えたうえで進めることが重要です。