フィリピンのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

フィリピンのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

フィリピンは時差が少なく英語も通じることから、オフショア開発の候補地となることが多い国です。しかし、フィリピンでのオフショア開発を成功させるためには、事前に知っておくべきポイントがいくつかあります。この記事では、フィリピンオフショア開発のメリット・デメリットや開発費用の目安、成功のポイントを紹介します。

 

【目次】
1. オフショア開発とは
2. フィリピンのオフショア開発の基本情報
2-1. 国民性
2-2. 公用語
2-3. 経済状況
2-4. 日本との時差
2-5. エンジニアの技術力
2-6. エンジニアの人月単価
2-7. エンジニアの平均年収
3. フィリピンのオフショア開発の現状とは?
4. フィリピンのオフショア開発の特徴
5. フィリピンのオフショア開発の費用目安(他国比)
6. フィリピンのオフショア開発のメリット
6-1. 英語力が高くコミュニケーションが取りやすい
6-2. 日本との時差が少ない
6-3. 人件費を抑えられる
6-4. IT人材が豊富
7. フィリピンのオフショア開発のデメリット
7-1. 日本語を習得しているエンジニアが少ない
7-2. 納期が遅延する場合がある
7-3. 治安の不安・政情不安がある
7-4. コミュニケーションコストがかかる
8. フィリピンでオフショア開発する際の成功ポイント
8-1. 文化・習慣の違いを理解する
8-2. 日本語がわかるオフショア開発企業を使う
8-3. 品質基準の浸透と品質管理の徹底をする
9. フィリピンオフショア開発企業のおすすめ3選
9-1. 株式会社LIG
9-2. 株式会社Sprobe (スプローブ)
9-3. 株式会社JGコーポレーション
10. まとめ

 

1. オフショア開発とは

オフショア開発とは、システム開発を人件費の安い日本国外に委託することです。海外を意味する「オフショア(offshore|岸から離れる)」が由来で、コスト削減の観点から導入する企業が増えています。

 

オフショア開発にはコスト削減だけではなく、海外の優秀なエンジニア人材を獲得できるメリットもあります。そのため、競合優位性を高める観点からも、今後ますますオフショア開発は盛んになるでしょう。

 

そんなオフショア開発でハードルとなるのが、言語の壁です。日本国外での開発となるため、コミュニケーションが難しくなる場合があります。そこで今回は、英語でのコミュニケーションが取りやすいフィリピンのオフショア開発について紹介します。

 

2. フィリピンのオフショア開発の基本情報

フィリピンでのオフショア開発に関わる基本情報は次の表の通りです。

国民性 人と人との繋がりを重視
公用語 英語、フィリピン語
経済状況 インフラやビジネス環境の整備が進んでいる
日本との時差 1時間
エンジニアの技術力 Web全般に強い傾向
エンジニアの人月単価 21万〜30万円程度
エンジニアの平均年収 300万円前後

 

それぞれの概要について紹介します。

 

2-1. 国民性

フィリピンの国民性としては、人と人との繋がりを重視する傾向が強いと言われています。そのような国民性を背景として、オフショア開発時にも親密な関係を築くことが期待できるでしょう。

 

また、フィリピンには家族を大切にする文化があり、仕事の優先度はそれほど高くありません。納期前の無理なスケジュールはトラブルの原因となることもあるため、注意しましょう。ただし、近年は自身のスキルアップを重要視するエンジニアも増えてきていると言われ、ストイックな働き方をする人材も一定数存在します。

 

2-2. 公用語

フィリピンの公用語は英語とフィリピン語です。フィリピンは歴史上アメリカの植民地であったこともあり、アメリカとイギリスに次いで英語を母国語とする国民が多いと言われています。

 

英語力を活かした英語サイト・越境ECの制作に定評があるため、海外進出を狙っている企業のオフショア先としてオススメです。

 

また、日本からのオフショア開発を多くこなしている企業では、日本語でのコミュニケーションが可能な場合もあります。ただし、この場合は日本語に堪能なスタッフが通訳としてアサインしているケースが多く、エンジニアが日本語を習得しているケースは稀です。

 

2-3. 経済状況

フィリピンの経済状況は、近年急速に発展しています。2016年に大統領に就任したドゥテルテ氏の経済政策のもと、インフラやビジネス環境の整備が進んでいることが特徴です。

 

フィリピンの人口は1億人を超えており、その大半が若年層です。若い働き手がフィリピン市場の中では高単価なエンジニア職を求め、IT人材が年々増加しています。

 

また、治安維持も注力されており、オフショア開発の委託先としても選びやすくなってきています。

 

2-4. 日本との時差

フィリピンと日本の時差は1時間です。日本の方が1時間進んでいます。時差がほとんどないため、オフショア開発時にコミュニケーションが取りやすいことが特徴です。

 

オンラインミーティングや不測事態時の即応体制など、時差の少なさはオフショア開発の委託先を選ぶ際に重視したほうが良いでしょう。特に保守業務まで依頼する場合は、日本の就業時間中に対応してもらえる委託先がオススメです。

 

2-5. エンジニアの技術力

フィリピンのエンジニアは、Web全般(JavaScript、PHP、HTML、CSS)に強い傾向にあります。そのため、Webサービスのオフショア開発先としてオススメです。

 

また、フィリピンのオフショア開発はデザイン面にも定評があり、日本国内向けサービスのデザインを任せても問題ないレベルです。ソーシャルゲームやスマホアプリなどのUIを任せても良いでしょう。

 

2-6. エンジニアの人月単価

フィリピンのエンジニアの人月単価は21万〜30万円程度です。これは東南アジア諸国の相場としては平均的な水準と言えます。

 

近年は中国やインドなど東アジア・南アジアのエンジニア単価が高騰してきているので、さらにコストを抑えてオフショア開発を進めたい企業は、フィリピンへ委託先を変更しても良いでしょう。

 

2-7. エンジニアの平均年収

フィリピンのエンジニアの平均年収は300万円前後です。こちらも他の東南アジア諸国と同水準と考えて良いでしょう。ただし、ベトナムやインドネシアのエンジニアと比べると、若干フィリピンの方がコストを抑えられます。

 

3. フィリピンのオフショア開発の現状とは?

フィリピンのオフショア開発の現状として、英語力を求める企業からの需要が増えてきています。日本企業が海外展開を進めるにあたり、英語版のホームページや越境ECサイトの制作を、英語が公用語のフィリピンに依頼するケースは今後ますます増えていくでしょう。

 

また、フィリピン経済も新型コロナウイルスの影響が下火になったことで回復基調にあり、さらなるインフラ整備にも期待できます。

 

一方、フィリピン経済全体の底上げと共に、エンジニアの人月単価・平均年収も高騰すると予想されます。現状では21万〜30万円が相場の人月単価も、今後はベトナムやインドネシアなどと同水準の25万円以上となる可能性は高いでしょう。

 

4. フィリピンのオフショア開発の特徴

フィリピンでのオフショア開発の特徴としては、先述した英語力が挙げられます。フィリピンにはネイティブの英語話者が多く存在するため、自然な表現での英語表現を求める企業が海外進出サービスをオフショア開発する場合に重宝されています。

 

また、技術としてはWeb全般(JavaScript、PHP、HTML、CSS)に強く、日本人好みのデザインにも対応してもらえることも特徴です。

 

5. フィリピンのオフショア開発の費用目安(他国比)

▼ フィリピンと他国を比較してのオフショア開発費用は、次の表の通りです。

エンジニア/人月単価の相場
フィリピン 21万~30万円
インド 30万~60万円
中国 35万~55万円
タイ 27万~37万円
インドネシア 24万~32万円
ベトナム 25万~40万円
ミャンマー 10万~20万円

 

インドや中国などの技術大国と比べると低水準であることが分かります。また、ベトナムやインドネシアと比べても若干低水準であることが特徴です。

 

フィリピンでのオフショア開発は技術力にも定評があるため、ミャンマーなど単価が安い国でオフショア開発するよりも、コスト対パフォーマンスは優れていると言えるでしょう。

 

6. フィリピンのオフショア開発のメリット

フィリピンをオフショア開発先に選ぶメリットとしては、次の4点が挙げられます。

 

英語力が高くコミュニケーションが取りやすい

日本との時差が少ない

人件費を抑えられる

IT人材が豊富

 

これらのメリットを重視する方は、フィリピンでのオフショア開発がオススメです。

 

6-1. 英語力が高くコミュニケーションが取りやすい

フィリピンは英語が公用語のため、英語でのコミュニケーションが簡単です。その他の東南アジア諸国では英語でのコミュニケーションが難しい場合もありますが、フィリピンが委託先であればコミュニケーションのハードルは極めて低いと言えます。

 

そのため、英語でのコミュニケーションが苦にならない企業は、フィリピンでのオフショア開発がオススメです。

 

6-2. 日本との時差が少ない

フィリピンと日本との時差は1時間だけなので、お互いの就業時間がほぼ一致することもメリットです。

 

オンラインMTGが行いやすかったり、突発的な事態にも対応しやすかったり、国内と同じような環境で開発を委託できます。コミュニケーションを密に取りたい場合は、時差の少ないフィリピンを選ぶと良いでしょう。

 

6-3. 人件費を抑えられる

フィリピンは中国やインドと比べると人件費が安いため、コストを抑えたシステム開発が可能です。フィリピン経済の成長に伴って人件費が上昇していくことも考えられますが、現状では緩やかな上昇に留まっています。

 

ただし、欧米からフィリピンへのオフショア開発ニーズも高まっており、エンジニア報酬は近いうちに上昇するとの予測もあります。

 

6-4. IT人材が豊富

フィリピンはオフショア開発先として人気のある国なので、IT人材の確保が日本国内よりは容易です。ただし、こちらも欧米からのオフショア開発ニーズに伴って、今後はエンジニア不足が心配されています。

 

7. フィリピンのオフショア開発のデメリット

フィリピンでのオフショア開発を進める際は、メリットだけではなくデメリットも把握しておきましょう。

 

日本語を習得しているエンジニアが少ない

納期が遅延する場合がある

治安の不安・政情不安がある

コミュニケーションコストがかかる

 

それぞれのデメリットの概要と対策について解説します。

 

7-1. 日本語を習得しているエンジニアが少ない

フィリピンには日本語を習得しているエンジニアが少なく、その点はデメリットです。

 

フィリピンは公用語が英語のため、欧米からのオフショア開発に強みを持っています。そのため、わざわざ日本語を学ぶエンジニアはほとんどいません。(最も、他の国でも日本語を習得しているエンジニアは貴重な存在です)

 

フィリピンでのオフショア開発時には、英語でのコミュニケーションを前提としておきましょう。

 

7-2. 納期が遅延する場合がある

フィリピンでのオフショア開発は、納期が遅延する場合があります。納期にルーズな風習があるため、スケジュール管理は厳密に行ったほうがよいでしょう。開発フェーズを細かく区切り、それぞれの締切を持たせる管理方法がオススメです。

 

なお、納期が遅れがちになることは、他の東南アジア諸国でのオフショア開発でもありがちなデメリットです。

 

7-3. 治安の不安・政情不安がある

フィリピンの治安は以前と比べれば改善されつつありますが、いまだ治安・政情は安定していません。

 

治安が安定していないため、オフショア委託先がトラブルに巻き込まれる可能性もあります。また、電力インフラに問題が起きればスケジュール遅延は免れません。

 

フィリピンでのオフショア開発時にはトラブルが発生する前提で、余裕をもったスケジュールを立てておいた方が安心です。

 

7-4. コミュニケーションコストがかかる

フィリピンのエンジニアとのやり取りは英語が前提ですが、やはり日本のエンジニアと比べるとコミュニケーションコストがかかることはデメリットです。

 

自社に英語が堪能な社員がいれば問題ありませんが、そうでない場合には通訳を利用することや、日本語に対応しているオフショア委託先を探すことを検討しましょう。

 

8. フィリピンでオフショア開発する際の成功ポイント

▼ ここまで紹介したメリット・デメリットを踏まえ、フィリピンでオフショア開発する際の成功ポイントは次の3点です。

 

文化・習慣の違いを理解する

日本語がわかるオフショア開発企業を使う

品質基準の浸透と品質管理の徹底をする

 

オフショア委託先を探す際は、上記3点を満たしているかチェックしましょう。

 

8-1. 文化・習慣の違いを理解する

まず、フィリピンと日本では文化・習慣が異なっていることを理解しましょう。

 

フィリピンの方は人と人との繋がりを重視すると紹介しましたが、家族に対する想いも日本より強い傾向にあります。そのため、休日出勤や残業への拒否感はかなり強いです。納期直前だからといって、無理なスケジュールを通すことはできません。

 

フィリピンの文化・習慣を尊重し、余裕を持ったマネジメントを行いましょう。

 

8-2. 日本語がわかるオフショア開発企業を使う

コミュニケーション面のデメリットを解消するために、日本語がわかるオフショア開発企業を使うことをオススメします。

 

フィリピンは英語が通じるとはいえ、要件定義や仕様書などは専門用語が使われることも多いです。そのため、一般的な英語力以外に、システム分野の英語力も必要になります。

 

スムーズに開発を進めるためにも、日本語が通じるオフショア開発を選んだ方が安心です。

 

8-3. 品質基準の浸透と品質管理の徹底をする

品質基準の浸透と品質管理を徹底することも、フィリピンでのオフショア開発を成功させるポイントです。

 

日本の品質基準は、世界基準で見ると厳しいと言われています。そのため、日本の基準をオフショア委託先に予め明確に示しておくことが重要です。

 

マニュアルの整備や納品物に対するフィードバックを通じ、共通の品質基準を浸透させましょう。

 

9. フィリピンオフショア開発企業のおすすめ3選

最後に、フィリピンオフショア開発に対応している企業を3つ紹介します。

 

株式会社LIG

株式会社Sprobe (スプローブ)

株式会社JGコーポレーション

 

それぞれの企業の特徴は次の通りです。

 

9-1. 株式会社LIG

株式会社LIGは、日本国内でもWeb制作やシステム開発でお馴染みの会社です。フィリピンのセブ島に100名以上のエンジニアがいる開発拠点「CODY Web Development Inc.」を構えており、豊富なリソースを保有しています。

 

株式会社LIGはフィリピンでのオフショア開発をスムーズに進めるため、英語が堪能な日本人トランスレーター(いわゆるブリッジSE)を配置していることが特徴です。

 

開発中も定例ミーティングでスケジュールを管理し、デザイン面は日本人スタッフのレビューが入るため、安心して任せられます。

 

会社名 株式会社LIG
拠点 東京・フィリピン(セブ)・ベトナム
対応ジャンル Webサービス開発
アプリ開発
パッケージ導入(CRM・CMS・SFA)
ソフト開発のツール JavaScript、Java、PHP、C++、C#、SQL、Python、Ruby、Shell、VBA、Visual Basicなど多数

 

 

9-2. 株式会社Sprobe (スプローブ)

株式会社Sprobe (スプローブ)は、多くの実績があるオフショア開発企業です。

 

アジャイル型、ウォーターフォール型どちらの開発方式にも対応しており、クライアントに最適なプランを提案してくれることが特徴です。また、エンジニアを正社員で抱えているため教育コストが発生せず、費用と期間を抑えた開発を可能としています。

 

会社名 株式会社Sprobe
拠点 東京・フィリピン
対応ジャンル システム開発
ソフト開発のツール JavaScript、PHP、Typescript、 Python,、Swift、 Kotlin Flutter、 Java、J2EE、C#、C、 C++など多数

 

 

9-3. 株式会社JGコーポレーション

株式会社JGコーポレーションは、戦略立案や計画策定からシステム開発まで、開発業務全般に対応してくれるオフショア企業です。

 

新規のシステム開発はもちろん、既存システムの老朽化に伴った刷新や複雑化しすぎたシステムの効率化など、ITに関わる課題全般を解決してくれます。また、日本にも拠点があるため、言語の壁がないことも強みです。

 

会社名 株式会社JGコーポレーション
拠点 東京・フィリピン
対応ジャンル システム開発・保守
Microsoft製品の導入
ソフト開発のツール Azure、Dynamics、Power Appsなど

 

10. まとめ

フィリピンは時差の少なさや英語でのコミュニケーションの容易さから、日本企業にとって選択肢にあがりやすいオフショア開発先です。人件費を抑えつつ豊富なIT人材を見つけられるため、多くの日本企業が実際に活用しています。

 

ただし、日本とフィリピンのビジネス慣習が異なることによる納期遅延やトラブル、また、政情不安による不測事態など、考慮すべきデメリットも存在します。フィリピンでオフショア開発する場合は、これらのデメリットも知ったうえで余裕を持ったスケジュールを組みましょう。

 

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