タイのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

タイのオフショア開発の特徴とは?メリット・デメリットを解説!

タイは親日的で時差が少ないため、デザインなどのクリエイティブ業務をオフショアする場合に向いていることが特徴です。しかし、実際にオフショア開発を依頼する前に、具体的な情報を知っておきたい方も多いのではないでしょうか。この記事では、タイのオフショア開発の基本情報や得意分野、メリット・デメリットを紹介します。タイへのオフショアを検討している方はぜひご覧ください。

 

【目次】
1. オフショア開発とは
2. タイのオフショア開発の基本情報
2-1. 国民性
2-2. 公用語
2-3. 経済状況
2-4. 日本との時差
2-5. エンジニアの技術力
2-6. エンジニアの人月単価
2-7. エンジニアの平均年収
3. タイのオフショア開発はどのような分野が得意?
4. タイのオフショア開発のメリット
4-1. インフラが整備されている
4-2. デザイン制作などクリエイティブ業務に強い
4-3. 穏やかな国民性で日本人との相性が良い
4-4. 時差が少なくコンタクトが取りやすい
5. タイのオフショア開発のデメリット
5-1. タイ国内でのエンジニア数が不足している
5-2. 政情がやや不安定な傾向にある
5-3. 英語を話せるエンジニアが少ない
6. タイのオフショア開発会社のおすすめ4選
6-1. タイソフトウェアエンジニアリング株式会社
6-2. E-STAGE
6-3. J CREATION
6-4. 株式会社Gear8
7. まとめ

 

1. オフショア開発とは

オフショア開発とは、システム開発などのエンジニア業務を海外の関連会社や子会社、開発企業に外部委託することです。岸を意味する「shore」と、離れるを意味する「off」から成る「offshore」すなわち「海外」で開発することから、オフショア開発と呼ばれています。

 

日本よりも人件費の相場が安い国に業務を委託することで、社内で対応するよりもコストをかけずに開発できることが特徴です。また、人手不足が著しい国内でエンジニアを探すことは大変ですが、海外人材に依頼することでリソース不足対策にもなります。

 

そんなオフショア開発の委託先として人気なのが、東南アジアのタイです。ここからは、タイのオフショア開発事情を紹介していきます。

 

2. タイのオフショア開発の基本情報

▼ タイの基本情報は次の表の通りです。

国民性 比較的おおらかな「マイペンライ精神」
公用語 タイ語
経済状況 観光業が柱。コロナによる冷え込みから回復基調
日本との時差 2時間
エンジニアの技術力 デザイン面に強い傾向
エンジニアの人月単価 25万~35万円程度
エンジニアの平均年収 200万円弱

 

それぞれの項目について、詳細を解説します。

 

2-1. 国民性

タイの国民性は「マイペンライ精神」と表されることが多く、比較的おおらかであると言えます。

 

「マイペンライ」とは「大丈夫、なんとかなる」という意味のタイ語です。細かいことは気にしないという意味にも取れますが、困難な状況であっても諦めずに取り組むという側面もあります。

 

また、タイは仏教が盛んな国なので、敬虔な仏教徒として慈悲深い心を持っている人が多いことも特徴です。タイは「ほほえみの国」と呼ばれることもありますが、穏やかな人が多いことも影響しているでしょう。

 

日本も仏教の文化が根付いており、さらにタイは親日的と言われているため、タイ人と日本人は比較的仕事がしやすいことが特徴です。

 

ただし、タイをオフショア先として選ぶ場合には、タイと日本との違いについても理解しておいた方が良いでしょう。タイの国民性はおおらかとされていますが、人前で叱責されることは嫌がられる傾向にあります。

 

仮に指摘したいポイントがある場合は、会議中などフォーマルな場で注意するのではなく、一対一の個別ミーティングで伝えた方が良いでしょう。

 

2-2. 公用語

タイの公用語はタイ語です。

 

フィリピンやシンガポールなどタイと同じ東南アジアの国々では、英語が公用語の国もあります。そんな中タイの公用語はタイ語のみですが、タイ語の文法は英語と共通していることも多く、オフショア先は英語が通じることも多いです。

 

また、日系企業が多く進出していることから、日本語を学んでいる人が一定数存在しています。エンジニアやクリエイターに日本語が通じない場合も、通訳は比較的探しやすいと言えるでしょう。

 

2-3. 経済状況

タイの経済状況は、2023年時点ではGDPも伸びており良い状況と言えます。

 

タイ経済は観光業が柱です。2020年以降は新型コロナウイルスの影響もあり冷え込んでいましたが、中国が「ゼロコロナ」政策を終了したことで観光需要が復活しています。

 

また、IT関連では、デジタル産業がタイ政府の掲げる「タイランド4.0」という指針で重要産業の1つと位置付けられており、今後ますます新興されることが期待できます。

 

2-4. 日本との時差

タイと日本との時差は2時間です。日本の方が2時間早いため、日本時間の正午(12:00)は、タイ時間で午前10時(10:00)になります。

 

比較的時差が少ないため、オフショア開発時のコミュニケーションが取りやすいことが特徴です。

 

2-5. エンジニアの技術力

タイのエンジニアの技術力は、ソフトウェア開発よりもデザイン面で優れていると言われています。そのため、バックエンドエンジニアを求めるより、フロントエンドエンジニアを求める場合に、タイでのオフショアが向いているでしょう。

 

また、デザイナーやクリエイターの技術力にも定評があります。

 

2-6. エンジニアの人月単価

タイのエンジニアの人月単価は、概ね25万円~35万円程度です。ヨーロッパや南米と比べると安く、日本の新卒と同じくらいの相場感と言えます。

 

ただし、人月単価はオフショア先の都市やエンジニアのスキルによって前後することは覚えておきましょう。

 

2-7. エンジニアの平均年収

タイのエンジニアの平均年収は、200万円弱が相場です。タイ人の平均年収よりは高いですが、日本の年収相場と比べると圧倒的に安いと言えます。また、同じ東南アジアのシンガポールなどと比べても低水準のため、コストを抑えつつ時差の少ないオフショア先を探している場合にオススメです。

 

ただし、タイは経済発展が著しいため、今後は平均年収が上がっていくことが予想されます。

 

3. タイのオフショア開発はどのような分野が得意?

▼ タイでのオフショア開発では、次のようなジャンルが得意分野とされています。

 

デザイン

イラスト

グラフィック

 

具体的な例を挙げると、オシャレなホームページ制作、プロモーションに利用するアニメーションイラストの制作、ソーシャルゲームのキャラクター、アイテムなどのデザインなどのクリエイティブ業務が得意です。

 

Webデザイン、アプリデザイン、UIの改善などの業務や、イラスト制作、グラフィック制作などは、タイへのオフショアを検討すると良いでしょう。

 

ただし、タイのクリエイターのデザインは、日本人よりも原色が強い傾向にあるとも言われていることは覚えておきましょう。

 

4. タイのオフショア開発のメリット

タイへオフショア開発を依頼するメリットとしては、次の4点が挙げられます。

 

インフラが整備されている

・デザイン製作などクリエイティブ業務に強い

・穏やかな国民性で日本人との相性が良い

・時差が少なくコンタクトが取りやすい

 

それぞれの概要について解説します。

 

4-1. インフラが整備されている

タイは新興国の中でもインフラ(生活基盤)が整備されている国です。そのため、オフショアとして開発を委託した場合でも、安定したアウトプットが期待できます。大手自動車メーカーもタイに工場を構えるなど、オフショア先に必須となる「電力インフラ」が安定していることは折り紙つきです。

 

さらに、タイでは「デジタル経済社会省」という省庁が中心となり、国策としてITインフラの整備が進められています。

 

タイのインフラは今後ますます発展していくと考えられるため、今からオフショア委託先として関係を作っておいて損はないと言えるでしょう。

 

4-2. デザイン制作などクリエイティブ業務に強い

タイでのオフショア開発は、デザイン制作などクリエイティブ業務に強いことも特徴です。

 

日本国内でデザイナーを探すと、クラウドソーシングを使っても単価が高くなりがちです。一方タイは日本より安い単価にも関わらず人材が豊富に揃っていますから、低コストで優秀なデザイナーを見つけられます。

 

また、日本からタイへオフショア委託している企業も多いため、タイのクリエイターも日本人の好みを研究しています。レギュレーションさえ定めておけば、質の良いクリエイティブを安く大量に制作してもらうこともできるでしょう。

 

4-3. 穏やかな国民性で日本人との相性が良い

タイ人は穏やかな国民性で日本人との相性が良いことも、タイへオフショア開発を依頼するメリットの1つです。

 

オフショア開発では現地スタッフとのコミュニケーションが取れないと、思い通りのアウトプットが得られない場合もあります。タイへのオフショアは意思疎通の面からも、日本企業向きと言えるでしょう。

 

冒頭で紹介したおおらかな「マイペンライ精神」による納期遅れを懸念する方もいるかもしれませんが、適切にディレクションすればスケジュール管理は可能です。

 

4-4. 時差が少なくコンタクトが取りやすい

タイへオフショア開発を依頼する大きなメリットとしては、時差が少なくコンタクトが取りやすいことも挙げられます。

 

時差が離れすぎているとコミュニケーションに時間がかかり開発スケジュールが押すこともあります。一方、タイと日本の時差はたった2時間なので、就業時間中にオンラインMTGを設定することも可能です。

 

5. タイのオフショア開発のデメリット

▼ タイでのオフショア開発には多くのメリットがありますが、次のようなデメリットも存在します。

 

・タイ国内でのエンジニア数が不足している

・政情がやや不安定な傾向にある

・英語を話せるエンジニアが少ない

 

委託前には、これらのデメリットも認識しておきましょう。

 

5-1. タイ国内でのエンジニア数が不足している

エンジニア需要の高まりが影響し、タイ国内でのエンジニア数が不足していることは、タイへオフショア委託する際に考慮すべきデメリットです。

 

タイは日本と同様に労働人口が減少しつつあり、それに伴いエンジニアの絶対数が需要に追いついていない傾向もあります。タイ政府としてエンジニア確保に力を入れているので優秀な人材は早めに確保しておきたいところです。

 

5-2. 政情がやや不安定な傾向にある

タイの政情はやや不安定なことも、オフショア委託先として考慮すべきポイントです。

 

タイは王政国家ですが、2014年には軍事クーデターが発生しています。また、タクシン首相派と反タクシン首相派の対立や、与党が多党連立であることに起因する権力抗争、さらには若年層を中心とした反体制デモなど、必ずしも治安が良いとは言えません。

 

仮にオフショア先が政情不安によって業務に支障が出る場合、開発スケジュールに遅れが出る可能性もあることは考慮しておきましょう。

 

5-3. 英語を話せるエンジニアが少ない

タイは英語が公用語ではないため、英語を話せるエンジニアが多くありません。(当然、日本語が話せる人材はさらに少ないです)

 

もちろん英語が話せるエンジニアもいますが、そのような優秀なエンジニアは単価が高くなります。単価を抑えてオフショア委託したい場合は、英語力以外のスキルを重視して委託先を探すと良いでしょう。

 

また、意思疎通に通訳を介する場合は、指示が明確になるように注意しましょう。抽象的な指示では認識齟齬が生じます。

 

オフショア開発をスムーズに進めるためにも、エンジニア領域に知見のある通訳を見つけ、具体的なレギュレーションを提示することがポイントです。(なお、タイは日本企業の進出が多く、日本語通訳の需要が多いため、他国よりは通訳が見つけやすい傾向にあります。)

 

6. タイのオフショア開発会社のおすすめ4選

最後に、タイへのオフショア開発会社を依頼する場合に検討したい4社を紹介します。

 

・タイソフトウェアエンジニアリング株式会社

・E-STAGE

・J CREATION

・株式会社Gear8

 

それぞれの会社に強みや特徴があるので、自社がオフショア委託したいジャンルに合わせて選んでみてください。

 

6-1. タイソフトウェアエンジニアリング株式会社

タイソフトウェアエンジニアリング株式会社は日系のシステム会社で、タイで25年以上にわたって活動しています。日系企業のみではなく、タイ企業をクライアントとした業務も担っていることが特徴です。

 

オフショア開発だけではなく、システム開発後の運用保守業務も行っているため、システムに関する業務を完全にアウトソースしたい場合でも対応してもらえます。

 

また、日本企業と企業の協業支援も行っているので、タイへの進出を検討している企業にもオススメです。

 

会社名 タイソフトウェアエンジニアリング株式会社
拠点 タイ バンコク
対応ジャンル オフショア開発、システム運用保守
(計画、設計、プログラミング、試行、現地研修)
パッケージソフトウェアの作成
ソフト開発のツール Microsoft Visual Basic,
Microsoft Visual C++,
Microsoft SQL Server,
ORACLE,
Xcode Objective-C++
Eclipse,
Java
RPA
Salesforce

 


6-2. E-STAGE

E-STAGEはタイを拠点とした企業です。WordPressやWIXを中心としたサイト制作実績が豊富ですが、スマートフォンアプリケーション(Android,IOS)の開発や業務支援システム(ERP)の開発、Webアプリ(会員制サイト、在庫管理システム、支払い/顧客管理システムなど)の開発にも対応してもらえます。

 

タイ国内企業向けにオープン系のシステム受託開発業務を行っている企業ですが、日本からのオフショア開発の場合は日本人担当社がフロントに立ってくれることが特徴です。

 

問い合わせはタイ語もしくは英語での受付ですが、日本語でのやり取りも希望することはできます。

 

会社名 E-STAGE (THAILAND) CO.,LTD
拠点 タイ バンコク
対応ジャンル スマートフォンアプリケーション開発
ホームページ制作
WEBシステム開発
オフショア開発
業務支援システムERP開発
ソフト開発のツール WordPress
WIX
Bootstrap
Concrete5
Amazon AWS
Windows Azure
GCP

 

 

6-3. J CREATION

J CREATIONは、タイのバンコクを拠点とするデザイン事務所です。日本企業のゲーム向け2Dイラスト制作・3DCG制作などのクリエイティブ制作を行っています。

 

制作はタイ人スタッフが行いますが、品質管理は日本人が監修していることが特徴です。デザインの好みは日本とタイで異なる面もありますが、日本人担当者が品質を担保してくれるため安心して任せられます。

 

また、近年のSNSマーケティングで重要視されている「LINEスタンプ」の制作にも実績があり、アイデア出しから依頼できます。

 

会社名 J CREATION
拠点 タイ バンコク
対応ジャンル 2Dイラスト事業
3DCG制作事業
LINEスタンプ制作事業
ソフト開発のツール クリエイティブ制作が主

 


6-4. 株式会社Gear8

株式会社Gear8(ギアエイト)は、札幌とバンコクなどに複数拠点を置くWebサイト制作会社です。

 

日本にも拠点がある企業なので、コーポレートサイトやサービス紹介サイトなどを制作したい時にオススメと言えます。また、言葉の壁がないことも依頼しやすいポイントです。

 

ディレクションチームとしてWebサイト制作以外のコンサルティングや広告代理業も行っているため、総合的なWeb活用が強みです。

 

会社名 株式会社Gear8
拠点 タイ バンコク・チェンマイ
台湾 台北
日本 札幌・福岡
対応ジャンル Webサイト制作
マーケティング戦略の立案
ソフト開発のツール WordPress
MovableType

 

7. まとめ

タイでのオフショア開発は、デザインなどのクリエイティブ業務を委託したい場合に向いています。一方、バックエンドの開発などを委託したい場合は、タイ以外の国へのオフショアを検討した方が良いでしょう。

 

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